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太陽光発電は停電時に使える?蓄電池の有無で変わる範囲と備え
太陽光発電は停電時に使える?蓄電池の有無で変わる範囲と備え

停電したとき、太陽光発電や蓄電池でどこまで電気が使えるのか。答えは、蓄電池があるかどうかと、蓄電池が停電時にどこまで電気を送るタイプかで大きく変わります。

  • 太陽光発電だけの家:「自立運転」に切り替えると、晴れた昼間に、専用のコンセントから使えます(手で切り替える機種のほか、自動で切り替わる設定がある機種もあります)。夜は使えません
  • 蓄電池がある家:貯めた電気で夜も使えます。停電すると自動で切り替わる機種もあります。家じゅうで使えるか、決めた場所だけかは、蓄電池のタイプ(全負荷・特定負荷)で決まります

省エネ相談室では、2022年から2026年にかけて、アンケートをいただいたお客様1,301件の声を集計しました。不安な点の欄に丸を付けた方は143件で、そのうち19件が「停電時」でした。

引渡しのときの説明の評価では、「停電時の説明」も回答1,240件のうち98.2%の方に5段階の「4」か「5」を付けていただいています。それでも、引渡しの3つの説明(試運転・連系の説明・停電時の説明)の中では、「3」を付けた方がいちばん多かったのが停電時の説明でした(停電時22件・連系の説明12件・試運転9件)。説明を聞いても、ふだん使わない操作はわかりにくさが残りがちです。だからこそ、前もって備えておくことが大切です。

この記事では、アンケートでいただいた声も紹介しながら、停電時に使える範囲と、いざという時に慌てないための備えをまとめます。

停電時に使える範囲の比較。太陽光発電だけの家は自立運転に切り替えると晴れた昼間に専用コンセントだけ使え、夜は使えない。蓄電池がある家は夜も使え、範囲は全負荷なら家じゅう、特定負荷なら選んだ部屋・コンセントだけ

目次

太陽光発電だけの家は、停電中も「晴れた昼間に、専用コンセントだけ」使える

停電すると発電は止まる。「自立運転」に切り替えると使える

停電すると、太陽光発電のパワーコンディショナ(発電した電気を家で使える形に変える機器)は運転を止めます。そのままでは発電していても家の電気は使えません。

パワーコンディショナを「自立運転」に切り替えると、自立運転用のコンセント(非常用コンセント)から電気が使えるようになります。家のふだんのコンセントすべてに電気が戻るわけではありません。

福岡市も、停電時の自立運転の手順をホームページで案内しています。大まかな流れは次のとおりです。

  1. 自立運転用コンセントの場所を確認する
  2. 取扱説明書で「自立運転モード」への切り替え方を確かめる
  3. 主電源ブレーカーをオフにする
  4. 太陽光発電ブレーカーをオフにする
  5. 「自立運転モード」に切り替える
  6. 使いたい機器を自立運転用コンセントにつなぐ

停電が直ったら、逆の順番で元に戻します。操作はメーカーや機種によって違うため、必ずお手元の取扱説明書で確認してください。

使えるのはコンセント1か所あたり最大1,500Wが目安。夜と、日が弱いときは使えない

自立運転で使える電気には上限があり、機種によって異なります。たとえば長州産業のパワーコンディショナ(SSITL30E2CSなど)の取扱説明書では、自立運転コンセントから使えるのは「日射のある場合、最大15Aまで」(100Vなので1,500W)とされています。三菱電機も、コンセント1か所につき最大15A(1,500W)と案内しています。専用コンセント1か所あたり最大1,500W(15A)が目安で、実際の上限はお使いの機種で確かめてください。

注意したいのは次の点です。

  • 夜は使えません。発電していないためです
  • 曇りや朝夕は、日射の変化で止まることがあります。つないだ機器が急に止まる場合があります
  • 生命に関わる機器はつながないでください。各社が注意しています
  • 自立運転中は売電されません

電子レンジやドライヤーなど消費電力の大きい家電は、上限に近かったり超えたりすることがあります。使う前に家電の消費電力を確かめ、スマートフォンの充電や照明など必要なものに絞って使いましょう。

自動で切り替わる機種・設定もある

長州産業のパワーコンディショナには「連系自立自動切替」という設定があり、これがオンになっていれば、停電時に手で切り替える操作は不要とされています。お使いの機種にこの設定があるか、オンになっているかは、取扱説明書や設置した会社で確かめておくと安心です。

また、屋外に置くタイプのパワーコンディショナでは、自立運転用コンセントを別に設置する工事が必要な場合があります(長州産業の案内より)。「うちの自立運転コンセントはどこにあるのか」を、停電する前に一度見ておくことをおすすめします。

なお、災害で電気を使うのが危険と判断されるときなどは、自立運転でも使えない場合があります。

蓄電池がある家は夜も使える。ただし範囲は「全負荷・特定負荷」で変わる

停電すると自動で蓄電池からの電気に切り替わる機種がある

蓄電池があれば、昼間に貯めた電気を夜にも使えます。今回メーカーの資料を確認したニチコン・長州産業の蓄電池は、停電すると自動で蓄電池からの電気に切り替わると案内されています。

たとえばニチコンのトライブリッド蓄電システム(ESS-T3シリーズ)では、出荷時の設定のままなら停電時に自動で切り替わり、切り替えにかかる時間は数秒と案内されています。蓄電池に残量があれば蓄電池から、太陽光が発電していれば太陽光の電気も使うように切り替わります。

ただしニチコンは、切り替わる瞬間に電気が一度途切れるため、デスクトップパソコンやハードディスクなど、急に電気が切れると影響を受ける機器はつながないよう注意しています。

家じゅう使える「全負荷」、決めた場所だけの「特定負荷」

停電時にどこまで電気を送るかは、蓄電池のタイプで違います。

タイプ停電時に電気が届く範囲200Vの家電(エアコン・IHなど)
全負荷家の中のすべてのコンセント・家電対応する機種なら使える
特定負荷あらかじめ選んでおいた部屋・コンセントだけ機種と、選んだ範囲による

長州産業は、全負荷タイプを「停電時に家庭内の全ての家電製品やコンセントに電気を供給できる。IH調理器など200V家電も使え、停電時もいつもと変わらない暮らしを送れる」、特定負荷タイプを「あらかじめ選定しておいた家電製品やコンセントに電気を供給する。必要最低限の家電製品を長時間にわたって使用できる」と説明しています。

同じ蓄電池でも、組み合わせる機器でタイプが変わる製品があります。長州産業のスマートPVマルチは、機器の組み合わせで全負荷・特定負荷を選べるタイプです。

全負荷と特定負荷の違いを間取り図で示した図。全負荷は家じゅうの部屋に電気が届き、特定負荷はあらかじめ選んだ部屋(例ではリビングとキッチン)だけに電気が届く

全負荷と特定負荷の選び方、容量との関係は、こちらの記事でくわしく解説しています。

→ 家庭用蓄電池の容量の目安は何kWh?計算方法と選び方

「どれくらいいつもどおりに使えるか」は、残量と使い方しだい

アンケートでは、「停電時に電気がどのくらいいつもの様に使えるか」という声をいただきました。

停電中に使える時間は、蓄電池の残量と、そのときに使う電気の量で決まります。メーカーが目安を出している例を紹介します。

  • ニチコン トライブリッド(ESS-T3シリーズ):4.9kWhの蓄電池が満充電で、冷蔵庫・テレビなどの合計が400W程度なら約10時間(保証値ではありません)
  • ニチコン 単機能型(ESS-U2Mシリーズ・11.1kWh):工場出荷時は容量の30%(約3kWh)を停電用に残す設定で、標準的な家電を約7時間使える(平均的な家庭の試算値で、保証値ではありません)

晴れていれば、昼間に太陽光の電気で蓄電池をまた充電できる構成もあります。停電が長引いたときにどうなるかは、組み合わせによって違うため、お使いの機器で確認しておきましょう。

アンケートをいただいた1,301件のうち、蓄電池の記入があるのは1,191件でした。メーカーはニチコン683件、長州産業341件、長府工産119件の順です。同じメーカーでも機種によって停電時の動き方が違うので、ご自宅の型番で確かめることが大切です。

停電したら何をする?操作の流れ

アンケートでは、停電時の操作について「停電時にすぐに対処して使えるか少し不安。」「停電時操作方法に少し不安が残る。」という声がありました。

いざという時に迷わないよう、流れを押さえておきましょう。

太陽光発電だけの場合

  1. 自立運転用コンセントの場所と、取扱説明書の切り替え方を確認する
  2. 主電源ブレーカーをオフにし、続けて太陽光発電ブレーカーをオフにする
  3. パワーコンディショナを「自立運転モード」に切り替える(自動切替の設定がオンなら不要)
  4. 使いたい機器を自立運転用コンセントにつなぐ。上限(1か所あたり最大1,500Wが目安。機種により異なる)を超えないよう、使う家電を絞る
  5. 停電が直ったら、取扱説明書の手順で逆の順番に戻す(自立運転を止める→太陽光発電ブレーカーをオン→主電源ブレーカーをオン)

手順5を忘れないでください。自立運転から元の運転へ自動で戻らない機種があります(三菱電機の案内より)。自立運転のままでは売電されません。長州産業のパワーコンディショナでは、元に戻す操作をしてから約300秒後に元の運転が始まると案内されています。

蓄電池がある場合

  1. 自動で切り替わる機種なら、切り替わったかを室内リモコンなどで確認する(手動の機種は取扱説明書の手順で切り替える)
  2. 蓄電池の残量を確認する
  3. 特定負荷タイプなら、電気が届くコンセントに使いたい機器を集める。全負荷タイプでも、残量を見ながら使う家電を絞る
  4. 停電が直ったら、ふだんの運転に戻っているかを確認する

操作の細かい手順は、メーカー・機種ごとに違います。メーカー別の特徴は、それぞれの記事でも紹介しています。

「いざという時に思い出せない」を防ぐ、設置後の備え

アンケートでいただいた声の中には、「使い方の説明は理解したが、実際停電した時に覚えているか分からないのでその点が不安」「災害対応事前操作方法の小型冊子かカード別にあれば欲しかったです。」というものもありました。

停電はめったに起きないので、説明を聞いた直後は覚えていても、いざという時には忘れてしまいがちです。次の3つを、停電する前にやっておきましょう。

1. 操作メモを書いて、機器のそばに貼る

取扱説明書の手順を、自分の家用に短く書き出しておくと安心です。下の「停電時の操作メモ」を印刷して使ってください。分電盤や室内リモコンのそばに貼っておくと、暗い中でも見つけやすくなります。

印刷用:停電時の操作メモ(わが家用)

項目わが家の場合(書き込んでください)
太陽光のメーカー・パワコンの型番
蓄電池のメーカー・型番
蓄電池のタイプ□ 全負荷 □ 特定負荷 □ 蓄電池なし
停電時に電気が届くコンセント(特定負荷の場合)
自立運転用コンセントの場所
停電時の切り替え□ 自動 □ 手動(手順は下に)
自立運転コンセントの上限(取扱説明書で確認)W
停電に備えて残す蓄電池の残量%
わからないときの連絡先

停電したら

  • 蓄電池あり:自動で切り替わったか、残量はどれくらいかを確認する
  • 太陽光だけ(または手動の機種):主電源ブレーカーをオフ → 太陽光発電ブレーカーをオフ → 「自立運転モード」に切り替える(わが家の手順:        )
  • 使う家電を絞る(自立運転コンセントは1か所あたり最大1,500Wが目安。上の欄に書いた上限を守る)
  • 生命に関わる機器、急に切れると困るパソコンなどはつながない

停電が直ったら

  • 自立運転を止める → 太陽光発電ブレーカーをオン → 主電源ブレーカーをオン(わが家の手順:        )
  • ふだんの表示に戻ったかを確認する

2. 台風などの前に、蓄電池の残量を多めに残す

停電に備えて、蓄電池の残量をどれだけ残しておくかを設定できる機種があります。ニチコンのトライブリッド(ESS-T3シリーズ)では、停電時のために残しておく残量を20%から設定できます。

また、気象警報が出ると自動で充電して停電に備える機能を持つ機種もあります(ニチコンのESS-U4M1など。事前に見守りサービスと本サービスの両方に加入していることが条件)。お使いの機種にこうした機能があるか、確かめておきましょう。

3. わからないときに聞く先を決めておく

操作がわからないとき、エラーが出たときに、どこへ連絡するかを操作メモに書いておきましょう。福岡市も、わからない点は設置した会社かメーカーへ問い合わせるよう案内しています。

停電対策で蓄電池を選ぶときに、契約前に確かめたいこと

これから蓄電池を検討する方は、「停電時にどうしたいか」から考えると選びやすくなります。

停電時に、どの部屋・どの家電を使いたいか

冷蔵庫と照明、スマートフォンの充電ができれば十分なら特定負荷、エアコンやIHも含めていつもどおりに暮らしたいなら全負荷が候補になります。

何時間もたせたいか

使いたい家電と時間がわかれば、必要な容量の目安が出せます。容量の決め方はこちらの記事で解説しています。

→ 家庭用蓄電池の容量の目安は何kWh?計算方法と選び方

今ある太陽光とつなげられるか

すでに太陽光発電を設置している家に蓄電池を足す場合、今のパワーコンディショナを残すか、蓄電池と一体型に替えるかで、停電時の動きや費用が変わります。今の機器との組み合わせによって選べるものが変わるため、見積もりの前に、今の太陽光パネルとパワーコンディショナの型番を控えておくと話が早く進みます。

停電時の動きを、契約前に説明してもらう

冒頭でお伝えしたとおり、引渡しのときの「停電時の説明」は、回答1,240件のうち98.2%の方に「4」か「5」を付けていただいた一方で、3つの説明の中では「3」を付けた方(22件)がいちばん多い項目でした。

だからこそ、契約の前に「停電したら、うちではどの部屋で、何が、何時間くらい使えるのか」「切り替えは自動か手動か」を具体的に聞いておくことをおすすめします。

省エネ相談室では、無料でシミュレーションをしています。停電時に使いたい家電があれば、ご相談の際にお伝えください。

無料相談・お見積りはこちら

よくある質問

停電したら、自動で切り替わりますか?

機種によります。蓄電池では、ニチコンのトライブリッドは出荷時の設定で自動、切り替えは数秒と案内されています。太陽光発電だけの場合は、手で「自立運転」に切り替える機種のほか、長州産業のパワーコンディショナのように自動切替の設定がある機種もあります。お使いの機種の取扱説明書で確認してください。

停電中も売電はされますか?

されません。太陽光発電の自立運転中は売電できません。

停電中にエアコンやIHは使えますか?

蓄電池が全負荷タイプで200Vに対応していれば使えます。特定負荷タイプは、その家電が停電時に電気が届く範囲に入っているか、機種が対応しているかで変わります。太陽光発電だけの自立運転は100Vの専用コンセント(1か所あたり最大1,500Wが目安で、機種により異なる)なので、200VのエアコンやIHは使えません。

夜に停電したら、太陽光発電の電気は使えますか?

太陽光発電だけの場合は使えません。夜は発電しないためです。蓄電池があれば、貯めた電気を使えます。

停電が直ったら、何かする必要がありますか?

太陽光発電を自立運転に切り替えた場合は、取扱説明書の手順で元の運転に戻す操作が必要です。自動で戻らない機種があり、自立運転のままでは売電されません。

まとめ

  • 太陽光発電だけ:自立運転に切り替えると、晴れた昼間に、専用コンセントから使える(1か所あたり最大1,500Wが目安で、機種により異なる)。夜は使えない
  • 蓄電池あり:夜も使える。家じゅうか、決めた場所だけかは全負荷・特定負荷で決まる
  • 備え:停電する前に、操作メモを書いて貼る・残量の設定を確かめる・聞く先を決めておく

アンケートをいただいたお客様の満足度や、いただいた声は、こちらでご紹介しています。

→ お客様満足度

太陽光発電と蓄電池をセットで検討している方は、こちらもご覧ください。

→ 太陽光と蓄電池のセット導入ガイド

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