蓄電池を入れるときに使える国の補助金でいちばん大きいのは、経済産業省の「DR補助金」(正式には「家庭用蓄電システム導入支援事業」)です。補助額は1申請あたり最大60万円です。
ただし、2026年に受け付けた分(令和7年度補正)は、2026年5月29日に申請額が予算に達し、受付を終えています。事務局は、公募を再開する予定はないとしています。
2026年10月時点で、蓄電池に使える国の制度として確認できたのは、国土交通省・環境省の「みらいエコ住宅2026事業」(リフォームで蓄電池1戸あたり96,000円)です。こちらは窓などの断熱リフォームとあわせて行うことが条件です。
この記事では、DR補助金の金額の決まり方と条件、今使える国の制度、次の公募に備えて契約前に確かめておきたいことを、国や事務局の公式資料をもとにまとめます。
省エネ相談室にアンケートをいただいたお客様1,301件(2022年〜2026年)の中にも、「蓄電池に対する国の補助金について知りたい」という声がありました。この疑問にお答えする記事です。

目次
2026年10月時点:国の蓄電池補助金の受付状況
まず、今の状況を表にまとめます。
| 制度 | 蓄電池の補助額 | 2026年10月時点の受付 |
|---|---|---|
| DR補助金(経済産業省・令和7年度補正) | 1kWhあたり3.45万円が基準・上限60万円 | 2026年5月29日に予算に達して終了(再開の予定なし) |
| みらいエコ住宅2026事業(国土交通省・環境省)のリフォーム | 1戸あたり96,000円 | 受付中(予算に対する申請額は9%・2026年10月14日時点) |
このほか、お住まいの県や市町村が独自に補助金を出している場合があります。福岡県内の市町村の制度は、こちらの記事にまとめています。
→ 【2026年度】福岡県の太陽光・蓄電池補助金を市町村別に解説
DR補助金とは?蓄電池を「電気の調整役」に使う人への国の補助
電気が足りない時・余る時に、蓄電池を遠隔で動かす約束をする
DRは「ディマンドリスポンス」の略で、電気を使う側が使い方を調整して、電気の需要と供給のバランスを取る仕組みです。
- 電気が足りない時(需給がひっ迫した時):蓄電池の電気を使って、電力会社から買う電気を減らす
- 電気が余る時(太陽光などの発電を止める「出力制御」が起きそうな時):蓄電池を充電して、電気を使う側に回す
DR補助金は、このDRに使える家庭用の蓄電池を新しく入れる人を補助する制度です。事務局は一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)です。
補助を受ける人は、DRの契約かDRメニューへの加入が必要
補助を受けるには、次のどちらかが条件です。
- 蓄電池を遠隔で操作する事業者(「蓄電池アグリゲーター」)とDRの契約を結ぶ
- 電気の小売会社が用意する「DRメニュー」に加入する
この契約や加入は、少なくとも2028年3月31日まで続ける必要があります。アグリゲーターとDRの契約を結ぶ場合、電気が足りない時の操作(蓄電池の電気を使う)は、アグリゲーターが遠隔で制御することが必須とされています。
DR補助金の金額はいくら?3つの計算のうち最も低い額
補助額の決まり方
2026年に受け付けた分(令和7年度補正)の公募要領では、補助額は次の3つのうち、最も低い金額になります。
| 計算 | 内容 |
|---|---|
| ① 容量から計算した額 | 蓄電池の初期実効容量1kWhあたり3.45万円(条件を満たす機種は上乗せあり) |
| ② 費用から計算した額 | 設備費と工事費の合計の3/10以内 |
| ③ 上限額 | 1申請あたり60万円 |
①の「初期実効容量」は、機種ごとに事務局の製品一覧で公開されている値です。カタログの容量と違う場合があるので、補助額を見積もるときは製品一覧の値を使います。
①には、次の上乗せがあります(両方満たせば両方加わります)。
- 故障や災害の時に、早く復旧できる体制と、電池の部品を早く届けられる拠点があるメーカーの機種:1kWhあたり0.2万円
- メーカー等が、廃棄物処理法の「広域認定」を蓄電池関連の製品で取っている機種:1kWhあたり0.1万円
計算してみます
わかりやすくするため、初期実効容量を10kWh、設備費と工事費の合計を120万円、上乗せなしとして計算します(仮の数字です)。
- ① 10kWh × 3.45万円 = 34.5万円
- ② 120万円 × 3/10 = 36万円
- ③ 60万円
最も低いのは①なので、補助額は34.5万円になります。容量の大きい蓄電池でも、①と②の両方が60万円以上にならない限り、上限の60万円にはなりません。

価格にも上限がある(1kWhあたり12.5万円以下)
DR補助金には、蓄電池の値段についての条件もあります。設備費と工事費の合計(税抜)が、蓄電容量1kWhあたり12.5万円以下であることです(2025年度の目標価格)。
たとえば蓄電容量10kWhの蓄電池なら、設備費と工事費の合計が税抜125万円以下でなければ、補助の対象になりません。太陽光のパワーコンディショナと一体になったタイプなどは、比べるときに一定額を差し引ける決まりがあります。
参考までに、経済産業省の検討会の資料(2024年11月)では、補助事業を使わずに家庭用蓄電池を入れる場合、設備費は1kWhあたり15〜20万円、工事費は2万円程度が標準的な水準とされています。補助を受けるには、この水準より抑えた価格であることが求められる、ということです。
※検討会の資料の金額は、税込か税抜かが明記されていません。税抜の目標価格(12.5万円)とは、そろえた条件での比較ではない点にご注意ください
蓄電池の価格の相場は、こちらの記事でくわしく解説しています。
→ 蓄電池の価格・費用相場|1kWh単価と容量別の目安【2026年】
前の年度との違い
| 2025年に受け付けた分(令和6年度補正) | 2026年に受け付けた分(令和7年度補正) | |
|---|---|---|
| 1kWhあたりの基準額 | 3.7万円 | 3.45万円 |
| 費用に対する割合 | 1/3以内 | 3/10以内 |
| 上限額 | 60万円 | 60万円 |
| 価格の上限(目標価格・税抜) | 1kWhあたり13.5万円 | 1kWhあたり12.5万円 |
| 公募開始 | 2025年3月26日 | 2026年3月24日 |
| 予算に達して終了 | 2025年7月2日 | 2026年5月29日 |
1kWhあたりの額も、価格の上限も、前の年度より下がっています。内容は年度ごとに変わるので、次の公募が始まったら、その年の公募要領で確かめる必要があります。
受付期間と、受付が早く終わる理由
2年続けて、予定の締切より前に終わっている
2026年分の公募期間は、もともと2026年3月24日から12月10日まででした。なお、実際に交付申請を出せるのは、DRを行う事業者(アグリゲーター・小売電気事業者)の初回登録が公表された日以降で、2026年分は4月中旬からでした。ところが、申請額の合計が予算(家庭用で約54億円)に達したため、5月29日に受付を終えています。前の年度も、12月5日までの予定が7月2日に終わりました。
公募要領には「補助金申請額の合計が予算額に達した場合、申請受付期間内であっても交付申請の受付を終了する」と書かれています。2026年10月7日時点で、2026年分の交付決定は12,218件、総額は約52億3,409万円です。
次の公募は、2026年10月時点で発表されていない
次の年度のDR補助金について、2026年10月時点で事務局や経済産業省の発表は確認できませんでした。過去2回は、どちらも3月下旬に公募が始まっています(交付申請の受付は、DRを行う事業者の登録が公表されてから)。ただし、次も同じ時期・同じ内容で行われるかはわかりません。
「次の補助金が出るまで待つ」かどうかは、補助額だけでなく、待つあいだの電気代や、蓄電池を入れたい理由(停電への備えなど)とあわせて考えることをおすすめします。蓄電池で何年で元が取れるかは、こちらの記事で計算しています。
申請の流れと、契約前にやってはいけないこと
申請は販売店と一緒に行う
DR補助金は、蓄電池を買う人がひとりで申請するものではありません。事務局に登録された販売店(「共同実施事業者」)と一緒に申請します。大まかな流れは次のとおりです。
- 公募要領で条件を確認し、DRの契約(アグリゲーター)かDRメニュー(小売会社)かを決める
- 個人の場合は、申請の前に本人確認(オンラインの認証)を済ませる
- 販売店を選ぶ。公募要領では、複数の販売店から見積もりを取ることが推奨されています
- 販売店と一緒に交付申請をする
- 交付決定の通知を受けてから、契約・工事・支払いをする
- 工事と支払いが終わったら、販売店と一緒に実績報告をする(2026年分は、事業完了から30日以内か、2027年1月14日のどちらか早い日まで)
交付決定の前に「契約・工事・支払い」をすると対象外
いちばん注意したいのはここです。公募要領では、交付決定より前に次のことをすると、理由を問わず補助の対象外になるとされています。
- 蓄電池の売買契約・発注
- 蓄電池の設置工事
- 代金の支払い(信販会社を通した入金も不可)
一方で、見積もりを取ること、電力会社との連系の手続き、DRの契約などは、交付決定の前でも進められます。
「先に契約しておけば、あとで補助金を申請できる」とはなりません。補助金を使う前提で話を進めるなら、契約の前に、交付決定の前後で何をするかを販売店に確かめてください。
ローンや分割払い(個別クレジット)を使う場合にも、信販会社から販売店への入金額が契約金額と違うと対象外になる、などの決まりがあります。ローンを考えている方は、こちらもご覧ください。
補助を受けたあとも、決まりがある
- DRの契約・DRメニューは、2028年3月31日まで続ける
- 補助を受けた蓄電池を、決められた期間(法定耐用年数の期間)内に売る・譲る・捨てるなどする場合は、事前に事務局の承認が必要
- DRの実施状況を、国や事務局が求めたときに報告することに同意する
今も使える国の制度:みらいエコ住宅2026事業(リフォーム)
蓄電池1戸あたり96,000円。ただし断熱リフォームとセット
国土交通省と環境省の「みらいエコ住宅2026事業」では、リフォームの補助の対象に蓄電池が入っています。補助額は1戸あたり96,000円で、対象は、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に令和4年度以降に登録・公表されている定置用リチウム蓄電池です。
ただし、蓄電池だけでは申請できません。次の条件があります。
- 原則として、2016年(平成28年)以前に建てられた住宅であること
- 窓・ドア、外壁・床などの断熱リフォーム(「要件化工事」)を、外に面した窓のある部屋(「トリガールーム」)で行うこと。そのうえで、蓄電池などの工事が補助の対象になる
- 2025年11月28日以降に着手した工事であること
- 申請は、工事が終わったあとに、登録された「みらいエコ住宅事業者」が行う
受付は、交付申請の予約が2026年11月16日まで、交付申請が2026年12月31日までです(どちらも予算に達した時点で終了)。2026年10月14日時点で、リフォームの予算に対する申請額は9%です。
DR補助金と同じ蓄電池で、両方はもらえない
DR補助金の公募要領では、ほかの国の補助金との併用はできないとされています。同じ蓄電池で、DR補助金とみらいエコ住宅2026事業の両方を受けることはできません。
県や市町村の補助金との併用は、制度ごとに違います。DR補助金の公募要領でも、自治体の補助金との併用は、その自治体に確認するよう書かれています。

新しく家を建てる場合
新築の住宅は、リフォームとは別の制度・区分になります。家を建てる予定の方は、建築会社に、その年度に使える制度を確認してください。
補助金を使うつもりなら、契約前に確かめたい5つのこと
国の補助金は、条件や締切が年度ごとに変わり、受付も予算しだいで早く終わります。次の5つを、見積もりの段階で確かめておくと安心です。
1. その補助金は「今」受け付けているか
DR補助金のように、予定の締切より前に終わることがあります。事務局の公式サイトで、受付中かどうかを確かめてください。
2. 選ぶ蓄電池が対象の機種か
DR補助金は、事務局の製品一覧に登録された機種が対象です。みらいエコ住宅2026事業も、SIIに登録・公表された蓄電池が条件です。見積もりに書かれた型番で確かめましょう。
3. 価格が上限を超えていないか
DR補助金では、設備費と工事費の合計(税抜)が1kWhあたり12.5万円以下という条件がありました(2026年分)。次の公募でも価格の条件があるかは、公募要領で確かめる必要があります。
4. 契約・工事・支払いの順番は大丈夫か
交付決定の前に契約や工事をすると、DR補助金は対象外になります。いつ申請し、いつ契約するかを、販売店と先に決めておきましょう。
5. 補助金を「前提」にした話になっていないか
まだ始まっていない補助金や、受付を終えた補助金を前提に「今契約すれば補助金が出る」と勧められたら、一度立ち止まってください。補助金の名前と事務局の公式サイトを聞き、自分でも確かめることをおすすめします。業者選びで確かめたいことは、こちらにまとめています。
省エネ相談室では、無料でシミュレーションをしています。お住まいの地域で使える補助金も含めて、ご相談の際にお気軽にお尋ねください。
よくある質問
2026年に、国の蓄電池補助金(DR補助金)はまだ申請できますか?
できません。2026年に受け付けた分(令和7年度補正)は、2026年5月29日に申請額が予算に達し、受付を終えました。事務局は再開の予定はないとしています。
DR補助金はいくらもらえますか?
2026年分では、「初期実効容量1kWhあたり3.45万円(上乗せあり)」「設備費と工事費の3/10以内」「1申請あたり60万円」の3つのうち、最も低い金額でした。初期実効容量10kWh・費用120万円なら34.5万円です。
次のDR補助金はいつから始まりますか?
2026年10月時点で、次の公募の発表は確認できていません。過去2回はどちらも3月下旬に公募が始まりました(交付申請の受付はその後)が、次も同じとは限りません。
先に契約して、あとから国の補助金を申請できますか?
DR補助金はできません。交付決定の前に契約・発注・支払い・工事をすると、理由を問わず対象外です。
国の補助金と、福岡県や市町村の補助金は一緒に使えますか?
DR補助金の公募要領では、ほかの国の補助金とは併用できず、自治体の補助金との併用は、その自治体に確認するよう書かれています。自治体ごとに決まりが違うため、お住まいの市町村の要綱で確かめてください。
すでに太陽光がある家に、蓄電池だけを後から入れても対象になりますか?
DR補助金は、家庭用の蓄電池を新しく入れる人が対象で、太陽光があるかどうかは条件に入っていません(2026年分の公募要領)。今ある太陽光とのつなぎ方は、こちらの記事で解説しています。
まとめ
- 国のDR補助金:補助額は「1kWhあたり3.45万円」「費用の3/10」「60万円」のうち最も低い額(2026年分)。2026年分は5月29日に受付終了、次の公募は2026年10月時点で未発表
- 今使える国の制度:みらいエコ住宅2026事業(リフォーム)で蓄電池1戸あたり96,000円。断熱リフォームとあわせることが条件で、DR補助金との併用は不可
- 契約前に:受付中か・対象の機種か・価格の上限・契約と交付決定の順番を確かめる
蓄電池の容量の選び方は、こちらの記事でくわしく解説しています。