蓄電池には、太陽光の余った電気を「貯めて使う」か「売る」かを決める運転モードがあります。名前はメーカーで違いますが、たとえばニチコンの蓄電システムでは、余った電気を蓄電池に貯めて自家消費する「グリーンモード」と、余った電気を売電する「売電モード」(機種によっては「経済モード」)があります。
省エネ相談室のアンケートでも、「モードの使い分けが難しい」「2-3ヶ月運用して一番良い状態に設定してほしい。」と書いてくださったお客様がいました。アンケートをいただいた1,301件のうち54件が、不安・不明点として「運用について」に丸を付けています。
どのモードがよいかは、余った電気を売る単価と、電力会社から買う電気の単価のどちらが高いかで考えるのが基本です。ニチコンは、固定価格買取制度(FIT)の買取期間が終わったあとは、グリーンモードをすすめています。この記事では、モードの違いと選び方の考え方、グリーンモードのおすすめ時間設定を生活パターン別の例で、停電への備えの設定とあわせてまとめます。

目次
運転モードの違い(ニチコンの例)
アンケートで記入がいちばん多かった蓄電池メーカーはニチコン(683件)です。ニチコンのよくある質問では、モードが次のように説明されています。
| 機種 | モード | 説明(ニチコンのよくある質問より) |
|---|---|---|
| トライブリッド蓄電システム(ESS-T3) | グリーンモード | 日中の太陽光の余剰分を蓄電池に充電して、なるべく自家消費するモード |
| 同上 | 売電モード | 日中の太陽光の余剰分を売電するモード |
| 単機能蓄電システム(16.6kWh) | グリーンモード | 余剰分を蓄電システムに充電することで、自給自足に近づけた使い方となるモード |
| 同上 | 経済モード | 太陽光で発電した電力の余剰分をすべて売電するモード |
※ニチコンの公式サイトのよくある質問より(2026年10月確認)。モードの名前と中身はメーカー・機種で違うため、お使いの機種の取扱説明書で確かめてください
名前が同じ「経済モード」でも、メーカーによって中身が違うことがあります。モードの名前だけで判断せず、「余った電気を貯めるのか、売るのか」「夜に電気を買って貯めるのか」を確かめましょう。
どのモードがいい?考え方は「売る単価」と「買う単価」の比較
余った電気の行き先で、得になる方が変わる
- グリーンモード:余った電気を貯めて夜などに使うので、電力会社から買う電気が減る
- 売電モード(経済モード):余った電気を売るので、売電の収入が増える
つまり、余った電気1kWhを「売ったときの単価」と、その分「買わずにすんだ電気の単価」の、どちらが高いかで考えます。
買取期間が終わったら、グリーンモードがすすめられている
ニチコンは、トライブリッド蓄電システム(ESS-T3)のよくある質問で、固定価格買取制度の終了後は、太陽光の余剰電力を蓄電池に充電できる「グリーンモード」がおすすめとしています。
参考に、国の資料の値と九州電力の買取単価を並べると、次のとおりです。
| 項目 | 単価 | 出典 |
|---|---|---|
| 買取期間が終わったあとの九州電力の買取単価 | 7.00円/kWh(税込) | 九州電力 |
| 家庭の電気料金の想定値(自家消費の価値) | 27.45円/kWh | 資源エネルギー庁の資料(調達価格等算定委員会・2026年1月) |
27.45円は、2026年度の調達価格の算定に使う想定値(大手電力の家庭用電気料金単価の10年平均+消費税)で、各家庭の実際の単価ではありません。それでも、買取期間が終わって売電の単価が下がると、売るより、貯めて自分で使うほうが1kWhあたりの価値が大きくなりやすいことがわかります。
買取期間中は、売電の単価と電気料金のプランを確かめる
買取期間中の売電の単価は、国の認定を受けた時期によって違います。ご自宅の売電の単価は、電力会社からの買取のお知らせや、売電の明細で確かめられます。あわせて、ご契約中の電気料金のプラン(時間帯で単価が変わるか)も確かめたうえで、どちらのモードにするかを設置した会社に相談しましょう。
卒FITのあとの売電先と蓄電池の考え方は、こちらで解説しています。

グリーンモードのおすすめ時間設定(生活パターン別の例)
安い深夜の電気を貯める使い方もある
ニチコンの単機能蓄電システム(16.6kWh)のよくある質問では、蓄電池のメリットとして、太陽光との組み合わせで自給自足に近づけることに加えて、割安な深夜電力を充電し、昼間の使用量が多い時間帯に使うことで電気料金を節約できる、と説明されています。夜間の電気が安いプランかどうかで、充電の時間の決め方が変わります。
まず、電気料金の「夜間」の時間帯を確かめる
時間の設定で考えたいのは、夜のうちに電力会社の電気で充電するかどうかと、充電する時間帯です。そのために、まずご契約の電気料金のプランで、単価が安い「夜間」が何時から何時までかを確かめます。
たとえば、九州電力の夜間の単価が安い家庭向けのプラン「電化でナイト・セレクト」は、夜間の時間帯を次の3つから選ぶ形です。
| プラン | 夜間(単価が安い時間) | 昼間 |
|---|---|---|
| 電化でナイト・セレクト21 | 21時〜翌7時 | 7時〜21時 |
| 電化でナイト・セレクト22 | 22時〜翌8時 | 8時〜22時 |
| 電化でナイト・セレクト23 | 23時〜翌9時 | 9時〜23時 |
1kWhあたりの単価は次のとおりです。
| 時間帯 | 春・秋 | 夏・冬 |
|---|---|---|
| 平日の昼間 | 24.70円 | 27.59円 |
| 休日の昼間 | 18.57円 | 21.97円 |
| 夜間 | 14.57円 | 14.57円 |
※九州電力「電化でナイト・セレクト」の料金単価(2026年11月1日から・消費税等相当額を含む)。春・秋は3月〜6月と10月〜11月、夏・冬はそれ以外の月です。休日は土曜・日曜・祝日などです。このほかに基本料金・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金がかかります
夜間の電気を貯めて平日の昼間に使うと、1kWhあたり10〜13円ほど安い電気に置き換わる計算です(充電・放電で目減りする分は含めない単純な差です)。一方、休日の昼間(春・秋)との差は4円ほどです。
時間帯で単価が変わらないプランをご契約の場合は、夜に電力会社の電気を買って貯めても単価の差は生まれません。夜間の充電を使う理由は小さくなります。
生活パターン別の時間設定の例
「電化でナイト・セレクト22」(夜間22時〜翌8時)をご契約の場合の例です。21や23をご契約なら、時刻をそれぞれ1時間前か後ろにずらして考えてください。
| 共働きで日中は留守 | 日中も家にいる | エコキュートがある | |
|---|---|---|---|
| 夜間の充電 | 晴れの日が多い季節はしない(または少なめ) | する | する場合は、エコキュートの沸き上げと時間をずらす |
| 充電の時間の例 | 発電が少ない冬だけ、翌5時〜8時 | 翌2時〜8時 | エコキュートの沸き上げが終わってから翌8時まで |
| 蓄電池の電気が主に使われる時間 | 夕方の帰宅後〜夜 | 昼(太陽光で足りない分)と夕方〜夜 | 夕方〜夜 |
| ねらい | 昼に余る太陽光の電気を貯める空きを残す | 平日の昼間の電気を、夜間の電気で置き換える | 蓄電池とエコキュートの両方を、夜間のうちに終わらせる |
共働きで日中は留守のご家庭は、昼に太陽光の電気が余りやすくなります。夜のうちに満充電にすると、昼の余りを貯める空きがなくなり、売電に回ります。買取期間が終わったあとの九州電力の買取単価は7.00円/kWhなので、貯めて夜に使うほうが価値は大きくなりやすいです。発電が少ない冬や雨の日が続くときだけ、夜間に少し充電する使い分けが考えられます。
日中も家にいるご家庭は、昼も電気を使うため、太陽光の余りだけでは満充電にならない日もあります。その場合は、上で紹介したニチコンの説明のように、夜間の電気を貯めて昼間に使う使い方が合います。夜間の終わり(セレクト22なら8時)までに充電が終わるよう、終わりの時刻を合わせます。
エコキュートがあるご家庭で、エコキュートを夜間に沸き上げる設定にしている場合は、次の項目のとおり、時間が重なると蓄電池が満充電にならないことがあります。沸き上げの時間を確かめてから、蓄電池の充電の時間を決めます。
表の時刻は考え方の例です。1〜2か月使ってみて、夜に蓄電池が足りなくなっていないか、昼の余りを売電に回していないかを見て見直しましょう。設定できる項目(充電を始める・終える時刻など)は機種で違うため、取扱説明書で確かめてください。
エコキュートと時間が重なると、満充電にならないことも
同じよくある質問では、エコキュートが動く深夜帯などに蓄電池の充電時間帯が重なると、充電に時間がかかったり、満充電にならなかったりする場合がある、とされています。また、充電は基本的に満充電で終わり、満充電になる前に充電時間が終わった場合は、その時刻で充電が終わります。
夜間に充電する設定にしていると、夜に貯めた電気で蓄電池がいっぱいになっていて、昼の太陽光の余った電気を貯められないということも起こりえます。夜間の充電の時間と量は、ご家庭の電気の使い方に合わせて、設置した会社と相談して決めましょう。
停電に備えて、残しておく量の設定
蓄電池の電気を全部使い切ると、急な停電のときに使える電気がなくなります。ニチコンの蓄電システムには、停電に備えて残量を残しておく「非常時安心設定」があります。
- 単機能蓄電システム(16.6kWh):残量を off(0%)・30%・40%・50%・60%・70% から選べる。工場出荷時は30%
- トライブリッド蓄電システム(ESS-T3):20%から残量を設定できる
- どちらも、非常時安心設定を「OFF」にしていれば、蓄電池の容量をすべて使える
残す量を多くするほど停電には強くなりますが、ふだん使える量は減ります。停電のときに何が使えるかは、こちらで解説しています。
→ 太陽光発電は停電時に使える?蓄電池の有無で変わる範囲と備え
自動で設定してくれる機能もある(ニチコンの例)
ニチコンには、インターネットにつないで使う、自動の運転機能があります。
- AI自動制御:翌日の天気・発電量・電力の使い方を予測して、卒FITのご家庭向けに運転の設定を自動で行う(無料)。登録が終わってから7日たつと始まる。ふだんと電気の使い方が大きく違うときなどは、経済効果がマイナスになる場合があり、経済性を保証するものではない、とされています
- 気象警報自動制御:お住まいの地域に大雨・暴風などの気象警報が出たら、自動で充電して停電に備える
これらの外からの指示でモードが変わると、室内リモコンに「リモート」と表示されます。使えるかどうかは機種とインターネットの接続によるため、設置した会社に確かめてください。
省エネ相談室では、ご家庭の電気の使い方をうかがい、太陽光・蓄電池の無料のシミュレーションをしています。設定について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
よくある質問
グリーンモードと経済モードの違いは何ですか?
ニチコンの単機能蓄電システムの例では、グリーンモードは余った電気を蓄電池に貯めて自給自足に近づけるモード、経済モードは余った電気をすべて売電するモードです。名前と中身はメーカーで違うため、取扱説明書で確かめてください。
卒FITのあとは、どのモードがいいですか?
ニチコンは、固定価格買取制度の終了後は、余った電気を蓄電池に充電できるグリーンモードをすすめています。買取期間が終わると売電の単価が下がるため(九州電力は7.00円/kWh)、貯めて自分で使うほうが価値が大きくなりやすいからです。
グリーンモードにしたら、昼間に充電されません。
夜に充電した電気で蓄電池がいっぱいになっていると、昼の余った電気を貯められません。夜間の充電の時間と量、エコキュートの運転時間との重なりを、設置した会社に相談して見直しましょう。
停電に備えて、どれくらい残しておけばいいですか?
ご家庭で停電のときに使いたいものによります。ニチコンの単機能蓄電システムでは、off・30〜70%から選べ、工場出荷時は30%です。残す量を増やすと、ふだん使える量は減ります。
まとめ
- モードの違い:グリーンモードは余った電気を貯めて使う、売電モード(経済モード)は余った電気を売る。名前と中身はメーカーで違う
- 選び方:余った電気を売る単価と、買う電気の単価を比べる。買取期間が終わったら、ニチコンはグリーンモードをすすめている
- 時間設定:ご契約のプランの夜間の時間帯に合わせる(九州電力の電化でナイト・セレクト22なら22時〜翌8時)。共働きで昼に余るご家庭は夜間の充電を少なめに、日中も家にいるご家庭は夜間に充電して昼に使う。エコキュートと時間が重なると満充電にならないことも
- 停電への備え:残しておく量を設定できる(ニチコンの例:off・30〜70%、出荷時30%)