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太陽光発電は何年で元が取れる?経産省データで計算すると14〜22年です
太陽光発電は何年で元が取れる?経産省データで計算すると14〜22年です

「太陽光は10年で元が取れる」という説明を受けたことがある方は多いと思います。

結論から申し上げると、2026年の条件では10年では回収できません。経済産業省が公表している数値で計算すると、自家消費の割合によって14年から22年という幅になります。

この記事では、その計算の中身を全部お見せします。使うのはすべて公的な数値です。省エネ相談室は太陽光を販売している会社ですが、都合のいい前提は置きません。

そして回収年数を左右する最大の要因もお伝えします。容量でも設置費用でもありません。

結論|自家消費の割合で14年〜22年に変わる

経済産業省の資料の値で計算すると、6.20kWで自家消費の割合によって14〜22年です。全国平均(35.2%)なら約22年、70%なら約14年(蓄電池などの費用は別)です。

自家消費率別の回収年数。全国平均の35.2%なら22年、40%で20年、50%で18年、60%で16年、70%なら14年

福岡の施工事例の平均(6.20kW)で計算した表

自家消費率1〜4年目5〜10年目11年目以降回収年数
35.2%(全国平均)15.2万円7.6万円7.0万円22年
40%15.3万円8.3万円7.7万円20年
50%15.6万円9.7万円9.3万円18年
60%15.8万円11.2万円10.8万円16年
70%16.1万円12.6万円12.3万円14年

同じ設備でも、8年の差が出ます。発電した電気を自宅でどれだけ使うか——これが回収年数を決めます。

なぜそうなるのか、順にご説明します。

計算に使った数値(すべて公的資料)

回収年数の計算に使った公的数値の一覧

経済産業省の想定値

項目数値備考
システム費用30.1万円/kW2025年に今ある家(既築)に設置された住宅の平均(新築は28.9万円)
設備利用率13.7%想定値
運転維持費5,740円/kW/年定期点検5回とパワコン交換1回を、5kW・20年で年あたりにならした額
自家消費の便益27.45円/kWh買わずに済んだ電気代の価値
余剰売電比率64.8%→ 自家消費率は35.2%(2025年1〜8月の全国平均の実績。ダブル発電〈エネファームなどとの併設〉を除く)

出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について」(2026年1月・調達価格等算定委員会)

※27.45円/kWhは、2026年度の調達価格の算定に使う想定値(大手電力の家庭用電気料金単価の10年平均+消費税)で、各家庭の実際の単価ではありません。

※運転維持費(年5,740円/kW)は、20年間の定期点検(5回)とパワコンの交換1回の費用を年あたりにならした値です。この記事では20年を超えても毎年同じ額を引いていて、次の交換に備えて積み立てる考え方になります。また、設備利用率13.7%を毎年同じとしていて、パネルの経年による発電量の低下は入れていません。低下を入れると、回収はこの計算より遅くなります。

FIT単価は「二段階」になりました(2025年10月〜)

住宅用FIT調達価格の推移。2023・2024年度は16円、2025年度4〜9月の認定は15円、2025年度下期(10〜3月)と2026年度は1〜4年目24円・5〜10年目8.3円の二段階

ここが最も重要な変更点です。ご存じない方が多いので、先にお伝えします。

年度買取単価
2023年度16円/kWh
2024年度16円/kWh
2025年度(4〜9月)15円/kWh
2025年度(10〜3月)24円/kWh(1〜4年目)
8.3円/kWh(5〜10年目)
2026年度24円/kWh(1〜4年目)
8.3円/kWh(5〜10年目)

前半4年は高く、5年目から3分の1になります。

この二段階は2025年10月から始まっています。同じ2025年度でも、前半(4〜9月)に認定を受けた方は10年間15円で固定です。「単価が上がった」と説明されることがありますが、上がるのは最初の4年だけです。

そして5年目からは売電単価8.3円より、自家消費の27.45円のほうが3倍以上の価値になります。ここが、自家消費率が回収年数を決める理由です。

11年目からは卒FIT価格になります

FIT期間の10年が終わると、売電単価はさらに下がります。九州電力の卒FIT買取単価は7.00円/kWhです(九州電力「FIT買取期間満了後の買取について」・2026年10月14日確認。くわしくは九州電力の卒FIT買取は7円/kWh)。

卒FIT後の売電単価は、九州電力の買取単価(7.00円/kWh)を使っています。全国の買取メニューの中央値(9.5円/kWh・2025年12月時点)で計算すると、全国平均の自家消費率(35.2%)で約20年です。

計算の中身|6.20kWで追ってみます

自家消費率35.2%の年間の効果は1〜4年目15.2万円、5〜10年目7.6万円、11年目以降7.0万円で、22年目に回収

省エネ相談室が福岡県内で太陽光を設置した107件の平均容量は6.20kW(中央値5.88kW)でした。この容量で計算します。

まず前提

項目計算結果
設置費用30.1万円 × 6.20kW約187万円
年間発電量6.20kW × 8,760時間 × 13.7%約7,441kWh
運転維持費5,740円 × 6.20kW約3.56万円/年

自家消費率35.2%(全国平均)の場合

発電量7,441kWhのうち、自家消費が約2,619kWh、売電が約4,822kWhになります。

期間自家消費の価値売電収入運転維持費年間の効果
1〜4年目7.2万円11.6万円(24円)−3.56万円15.2万円
5〜10年目7.2万円4.0万円(8.3円)−3.56万円7.6万円
11年目以降7.2万円3.4万円(7.00円)−3.56万円7.0万円

累積で約187万円に届くのは22年目です。

  • 4年目末で約61万円
  • 10年目末で約107万円
  • そこから年7.0万円ずつ → 22年目に到達

5年目に年間の効果が半分に落ちるのが、回収を遅らせる最大の要因です。

自家消費率70%の場合

同じ設備でも、自家消費を7割まで増やせるとこうなります。

期間年間の効果
1〜4年目16.1万円
5〜10年目12.6万円
11年目以降12.3万円

回収は14年。8年短くなります。ただし、自家消費を70%まで増やすための蓄電池などの費用は、この計算に入っていません。

理由は単純です。8.3円で売る電気を、27.45円の価値で使うほうが得だからです。その差は19.15円/kWh。売る量を減らして使う量を増やすほど、効果が積み上がります。

補助金が入るとどうなるか

ここまでは補助金なしの計算です。福岡県内の市町村には独自の補助制度があります(ただし実施していない市町村もあります)。

仮に20万円の補助が出た場合、自家消費率35.2%でも実質負担約167万円 → 回収19年になります。3年短縮されます。

お住まいの市町村の状況は【2026年度】福岡県の太陽光・蓄電池の補助金を市町村別に解説でご確認ください。

自家消費率を上げる方法

回収年数を決めるのは自家消費率です。では、どうすれば上がるのか。

1. 生活パターンを変える(費用ゼロ)

  • 洗濯機・食洗機・乾燥機を昼間に回す
  • エコキュートの沸き上げを昼間に移す(対応機種の場合)
  • 在宅勤務の日は昼間に電気を使う作業をまとめる

これだけで数%は動きます。費用がかからないので、まず試す価値があります。

2. 蓄電池を入れる(費用がかかる)

最も効果が大きいのはこれです。昼に余った電気を貯めて夜に使えば、自家消費率は大きく上がります。

ただし蓄電池自体に費用がかかるため、「太陽光の回収が早くなる」ことと「蓄電池の費用を回収できる」ことは別の話です。ここは分けて考える必要があります。蓄電池側の計算は蓄電池は何年で元が取れる?でご説明しています。

3. オール電化にする

ガスで使っていた分が電気に移るため、電気の使用量そのものが増えます。結果として自家消費できる量が増えます。

正直にお伝えする注意点

この計算は前提を置いた試算です

次の点で結果は変わります。

  • 設備利用率13.7%は「想定値」 — 同じ資料では、実績データの平均は14.1%(2025年1〜8月)、過去4年の平均は14.2%とされています。実際の発電量が想定より多ければ回収は早まります。ただし屋根の方位・角度・影で大きく変わります
  • 30.1万円/kWは「既築(今ある家)」の平均 — 新築は28.9万円/kWです。屋根の条件や工事の内容で変わります
  • 電気代の単価が上がれば有利、下がれば不利 — 自家消費の価値27.45円は、2026年度の調達価格の算定に使う想定値で、各家庭の実際の単価ではありません
  • 運転維持費5,740円/kW/年も想定値 — 同じ資料では、実際に報告された維持費(2025年設置の案件)の平均は1kWあたり年1,045円でしたが、その88%が「0円」でした。その年に点検や修理の費用が発生していない案件が多い可能性がある、と資料は説明しています
  • FIT単価は年度で変わります — 上の計算は2026年度に設置した場合です

「回収年数」だけで判断すべきかは別の問題です

回収年数が20年を超えると聞くと、やめたほうがいいと感じられるかもしれません。それはひとつの合理的な判断です。

一方で、次のような見方もあります。

  • パネルの出力保証は20〜35年 — 回収後も発電は続きます(太陽光パネルの寿命)
  • 電気代の値上げに対する備えになる — 自家消費の割合が高いほど影響を受けにくくなります
  • 停電時に日中は電気が使える

ただしこれらは金額では測りにくい価値です。「回収できるから買う」という判断とは別の軸になります。そこを混ぜて説明されると、判断を誤ります。

回収が見込みにくいご家庭

次の条件に当てはまる場合、回収はさらに遠くなります。

条件影響
北向きの屋根、または影が多い発電量そのものが落ちる
屋根が狭く、載る容量が小さい設置費用の単価が上がりやすい
日中はほぼ不在で、電気を使わない自家消費率が上がらない
電気代が月5,000円程度以下削減できる絶対額が小さい
数年以内に転居・建て替えの予定回収期間に届かない
お住まいの市町村に補助金がない初期費用が下がらない

省エネ相談室では、こうした条件に当てはまる場合はそうお伝えします。デメリット全体は太陽光発電のデメリット6つを金額で解説にまとめています。

よくある質問

太陽光は何年で元が取れますか?

公的データで計算すると自家消費の割合によって14年〜22年です。全国平均の自家消費率35.2%なら約22年、70%まで上げられれば約14年(そのための蓄電池などの費用は別)。補助金が20万円出れば3年ほど短縮されます。「10年で元が取れる」は2026年の条件では成立しにくいとお考えください。

なぜ「10年で回収」と言われるのですか?

過去のFIT単価が高かった時期は、実際に10年前後で回収できました。2012年度は42円/kWhでした。現在は2026年度で24円(1〜4年目)・8.3円(5〜10年目)です。前提が変わっているため、古い試算はそのまま使えません。

2026年度のFITが24円なら、有利になったのでは?

最初の4年だけです。5年目から8.3円に下がります。10年間の合計で見ると、単価が上がったとは言えません。むしろ5年目以降は自家消費に回すほうが3倍以上の価値になるため、蓄電池の重要性が上がっています。

元が取れないなら、やめたほうがいいですか?

屋根の条件と電気の使い方次第です。自家消費の割合を上げられるご家庭ほど短くなります(50%なら約18年、70%なら約14年)。逆に日中ほぼ不在で電気代も少ないご家庭では、見送りをおすすめします。

蓄電池を入れれば早く回収できますか?

太陽光の回収は早くなりますが、蓄電池の費用は別に発生します。両方を合わせた総額で判断する必要があります。混同すると「蓄電池を入れれば得になる」と読み違えます。詳しくは蓄電池は何年で元が取れる?をご覧ください。

自分の家だといくらになりますか?

検針票があれば計算できます。ご家庭の使用量と生活パターンから自家消費率を見積もり、屋根に載る容量を確定すれば、この記事と同じ計算をご自宅の条件で出せます。

ご自宅の条件で計算します

この記事の数値は公的な想定値と全国平均です。ご自宅での回収年数は、屋根の条件と電気の使い方で大きく変わります。

省エネ相談室では次のところまでお出しします。

  • 屋根に載る容量(方位・角度・影を確認)
  • ご家庭の使用量から見積もった自家消費率
  • 補助金を引いた後の実質負担額
  • その条件での回収年数

「この条件では回収が見込みにくい」という結論になればそうお伝えします。検針票をお持ちいただくと、その日のうちに大まかな試算までお出しできます。

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まとめ

  • 回収年数は自家消費の割合で14年〜22年(6.20kW・補助金なしの場合。全国平均の35.2%なら約22年)
  • 2026年度のFITは二段階。24円(1〜4年目)→8.3円(5〜10年目)
  • 5年目から自家消費の27.45円が売電8.3円の3倍以上の価値になる
  • 11年目以降は卒FIT価格7.00円(九州電力)
  • 補助金20万円で3年ほど短縮(22年→19年)
  • 設置費用30.1万円/kW(既築)・設備利用率13.7%・運転維持費5,740円/kW/年(いずれも経産省の資料の数値)
  • 「10年で元が取れる」は今の条件では成立しにくい
  • 自家消費率を上げる方法は、生活パターンの変更(費用ゼロ)・蓄電池・オール電化

太陽光は「置けば得する設備」ではありません。発電した電気をどれだけ自宅で使えるかで、結果が8年変わります。

だからこそ、判断の前にご自宅の条件で計算する価値があります。検針票をお持ちください。数字を隠さずお見せします。

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