太陽光パネルが汚れていると、発電量が落ちるのでは?と気になる方は多いと思います。洗浄・掃除をしたほうがいいのか、するなら自分でできるのか、業者に頼むべきなのか。
結論からお伝えすると、ふつうの砂ぼこりなどの汚れは雨で流れるため、住宅の太陽光パネルは日ごろの掃除はほとんど要らない、というのがメーカーの案内です。一方で、鳥のフン・火山灰・油煙など、雨では落ちにくい汚れがついたときは、発電量が下がることがあり、販売店・施工店への相談がすすめられています。
この記事では、メーカーの取扱説明書やよくある質問をもとに、
- 洗浄・掃除が要るのはどんなときか
- 汚れでどのくらい発電量が下がるのか
- 自分で屋根に上って掃除をしないほうがよい理由
- 洗浄を頼む前に確かめたいこと
をまとめます。点検の時期や点検で見るところは、こちらで解説しています。

目次
太陽光パネルの洗浄・掃除は必要?メーカーの案内
今回確かめた3社の案内は、「日ごろの掃除はほとんど要らない。ただし落ちにくい汚れは販売店・施工店へ」という考え方で共通しています。
| メーカー | 案内の内容 |
|---|---|
| Qセルズ (ハンファ ジャパン) | 一般の住宅地区では、塵などの汚れは降雨で流されるので、日常的な掃除の必要はあまりない。鳥のフンなどが付いた場合は清掃が必要なので、販売店に相談 |
| パナソニック | ほこりなどの汚れは雨などで自然に流れるので、通常、洗浄は不要。どうしても気になる場合は、屋根に上っての作業は危険なので販売店・施工店に相談 |
| シャープ (産業用の 太陽光の案内) | 通常、汚れは風雨で洗い流されるので清掃の必要はない。激しい汚れがついたときは施工業者に相談 |
※各社のよくある質問より。シャープは非住宅向け(産業用・小規模)のページの案内です
多くの住宅では、太陽光パネルは屋根の傾きに合わせて斜めに設置されているため、雨が降るとガラス面の砂ぼこりが流れ落ちやすいと考えられます。カナディアン・ソーラーの施工者向けの取扱説明書でも、十分な傾き(最低15°)があれば通常は清掃が要らず、雨で一定の清掃の効果が期待できる、とされています。
ただし、どのメーカーも「まったく汚れない」とは言っていません。次の章で、雨では落ちにくい汚れを見ていきます。
雨では落ちにくい汚れ:鳥のフン・火山灰・油煙・塩分
Qセルズの太陽光発電システムの取扱説明書(お客様用)には、次のように書かれています。
「太陽電池モジュールのガラス表面の通常の汚れは、発電には問題ありませんが、鳥のふん、火山灰、油煙などがつき、ガラス表面が著しく汚れた場合は、発電効率が低下して発電量が少なくなります。この場合はお買上げの販売店にご相談ください。」
メーカーの案内に出てくる、気をつけたい汚れは次のとおりです。
| 汚れ | メーカーの案内 |
|---|---|
| 鳥のフン | 少し付いた程度なら発電量は大きくは下がらないが、汚れがひどいと光がさえぎられて発電が下がり、その部分のセル(パネルの中で発電する小さな板)の温度がまわりより上がる(ホットスポット現象)。長い目で見て好ましくない(シャープ)。清掃が必要なので販売店に相談(Qセルズ) |
| 火山灰 | ガラス面が著しく汚れた場合は、発電量が少なくなる(Qセルズ) |
| 油煙 | 同上(Qセルズ)。交通量の多い道路の近くでは油分を含んだ浮遊物が付き、雨だけでは流れない場合がある(シャープ) |
| 塩分 | 海水やしぶきが直接かかる場所には設置できず、海岸に近い地域は販売店に相談(Qセルズ)。塩害地域では、塩分を落とすための定期的な洗浄をすすめるメーカーもある(カナディアン・ソーラーの施工者向けの説明書) |
| 落ち葉・ 花粉など | 雪・フン・種・花粉・葉・枝・ほこりなどを取り除くための定期的な保守が要る(カナディアン・ソーラーの施工者向けの説明書) |
福岡の家で気にしたい「黄砂」と「海の近く」
福岡では、春先に黄砂が気になる方もいらっしゃると思います。黄砂は、東アジアの砂漠域や黄土地帯から強風で舞い上がった砂やちりが、上空の風で運ばれて降ってくる現象です。気象庁の資料によると、国内11地点(福岡を含む)での月別の黄砂の観測日数の平年値(1991〜2020年)は、3月4.4日・4月6.2日・5月2.7日で、春に集中しています。11地点をまとめた数字で、福岡だけの日数ではありません。
黄砂も砂ぼこりの一種です。メーカーの案内のとおり、ふつうは雨で流れることが多いと考えられます。春が過ぎても、晴れた日の発電量が去年の同じ時期より目立って低いままなら、汚れを疑ってみてもよいでしょう(確かめ方は後の章で説明します)。
また、福岡県は糸島市・福津市・宗像市など、海に面した市町が多くあります。海の近くのお住まいは、設置のときから塩害への配慮が要ります。気になる方は、設置した会社にご相談ください。
汚れで発電量はどのくらい下がる?
汚れによる発電量の低下について、メーカーの資料には次の目安があります。
| 出典 | 内容 |
|---|---|
| シャープ (産業用の 太陽光の案内) | 晴天が続いて砂ぼこりなどが付くと、発電量が3〜5%程度下がることもあるが、雨風で洗い流されるとほぼ元の能力に戻る。平均的な都市部で、汚れによる出力の低下はおよそ5%以下。木の葉や鳥のフンなどが部分的に付いても、発電量が大きく損なわれることはない |
| Qセルズ (太陽光発電 システムの 取扱説明書) | 発電量の目安の計算で、汚れ・配線・回路の損失をまとめて5%と見込んでいる(「その他損失(受光面の汚れ・配線・回路ロス)」。汚れだけの数字ではない) |
ふつうの汚れは雨で流れてほぼ元に戻る、というのはQセルズ・シャープに共通する案内です。低下の程度については、シャープの産業用の案内に「数%程度」「都市部でおよそ5%以下」という目安があります。インターネットでは「洗浄で発電量が大きく上がった」という例も見かけますが、もとの汚れの程度や設置場所によって大きく変わるため、ご自宅にそのまま当てはまるとは限りません。
汚れが原因かを確かめるには
発電量が下がったように感じたら、まずは屋根を見上げる前に、モニターの発電量を確かめましょう。
| 確かめ方 | 見るところ |
|---|---|
| 去年の同じ月と比べる | 発電量は季節で大きく変わるため、先月とではなく去年の同じ月の発電量(kWh)と比べる |
| 晴れた日の昼の発電量を見る | 晴れているのに発電量が0のまま、エラーの表示が出ている場合は、汚れではなく機器の不調の可能性がある |
| 地上から見える範囲を見る | パネルに鳥のフンや落ち葉が目立っていないか、パネルや部品がずれていないか。屋根には上らない |
晴れた日に発電量が0のままなら、汚れよりも機器の不調を疑います。設置した会社に連絡しましょう。

自分で屋根に上って掃除をしないほうがよい理由
「汚れているなら自分で洗えば」と考える方もいるかもしれません。ですが、メーカーの資料を読むと、屋根の上のパネルを自分で掃除するのはおすすめできません。理由は4つあります。
1. 屋根から落ちる危険がある
パナソニックは、汚れが気になる場合でも「屋根に上っての作業は危険」として、販売店・施工店への相談を案内しています。国民生活センターは、脚立やはしごからの転落事故433件のうち半数以上(236件)が60〜70歳代だったとして注意を呼びかけています(2019年公表)。屋根の上の作業は、はしごの上り下りも伴います。
2. 感電のおそれがある
太陽光パネルは、光が当たっている間は発電しています。Qセルズの取扱説明書では、パネルが設置された屋根に上る場合は、パネルに触れないように、とされています(感電の原因になるため)。カナディアン・ソーラーの説明書でも、日中はパネルに電圧と電流が発生しているため感電の可能性がある、とされています。
3. ガラスや部品を傷めるおそれがある
| メーカーの注意 | 出典 |
|---|---|
| パネルのガラス面に乗らない、物を載せない(ガラス割れなどでけがの原因になる) | Qセルズ |
| 人や物を乗せる設計にはなっていないので、絶対に乗らない | シャープ(産業用) |
| パネルの清掃に、シンナー・アルコール・ベンジン・ガソリン・灯油・スプレー・洗剤などを使わない(変色・変質の原因になる) | Qセルズ |
| 乾いた汚れをこすったり、かき落としたりしない(細かな傷の原因になる)。金属のブラシや研磨剤を使わない | カナディアン・ソーラー |
| 気温の高い昼間の清掃は避ける(急な温度変化でガラスが割れるおそれがある) | カナディアン・ソーラー |
洗剤を使ってよいか、どんな水・道具を使うかは、メーカーごとに決まりがあります。たとえばカナディアン・ソーラーの施工者向けの説明書には、洗浄に使う水の条件や水圧の上限まで書かれています。ご家庭で、お使いのパネルの決まりを確かめずに洗剤やブラシ、高圧洗浄機を使うのは避けましょう。
4. 保証の対象外になることがある
カナディアン・ソーラーの説明書では、適切でない清掃の方法でパネルを傷めた場合は、メーカーの保証の対象外になるとされています。保証の条件はメーカーや契約によって違います。お手元の保証書と取扱説明書で確かめてください。
自分でできるのは「地上から見る」まで
汚れについて自分でできるのは、屋根に上らずにできる範囲です。発電量の確かめ方は前の章のとおりです。そのうえで、地上から次の点を見ておきます。
- 鳥のフンがまとまって付いている、白っぽい汚れが広がっているなど、目立つ汚れがないか
- 落ち葉や枝がパネルの上や端にたまっていないか
- 鳥がパネルのまわりによくとまっていないか
「パネルが汚れているように見える」「去年より発電量が少ない」と感じたら、自分で洗う前に、設置した会社に相談しましょう。
洗浄を頼む前に確かめたいこと
業者に洗浄を頼むときは、次の点を確かめておくと安心です。
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| お使いのパネルのメーカー・型番 | メーカーごとに、使ってよい洗剤・水・道具の決まりがある。取扱説明書の「お手入れ・点検」の項目を手元に用意する |
| 保証書の内容 | 清掃の方法が原因の傷みは、保証の対象外になることがある |
| 洗剤・水・道具は何を使うか | メーカーの決まりに合っているかを確かめる |
| 洗浄と一緒に点検もするか | 屋根に上る機会に、パネルの割れ・部品のゆるみ・配線も見てもらえると効率がよい |
| 作業の時間帯 | メーカーによっては、気温の高い昼間の清掃を避けるよう決めている |
| 設置した会社に先に相談したか | 設置した会社は、パネルの種類と施工の状態を知っている |
突然の訪問で「洗浄しないと発電が落ちる」と言われたら
突然訪ねてきた業者に「汚れで発電が落ちている」と洗浄を勧められ、その場で契約を迫られても、すぐに決めないようにしましょう。本当に洗浄が要る汚れかどうかは、モニターの発電量と、パネルの取扱説明書の決まりを見てから考えれば十分です。
→ 太陽光の点検商法に注意|「無料点検」「義務化」と言われたら
省エネ相談室の設置後のメンテナンス
省エネ相談室では、設置後のメンテナンスとして、太陽光パネルの洗浄(枯れ葉や鳥のフンの除去)に取り組んでいます。
省エネ相談室にアンケートをいただいたお客様1,301件(2022年〜2026年)の中にも、工事のあとに「メンテナンスなど、今後もよろしくお願いします。」と書いてくださった方がいました。設置したあとも長くお使いいただけるよう、責任を持って取り組んでいます。
パネルの汚れや発電量が気になるときは、お気軽にご相談ください。ほかの会社で設置した太陽光パネルの点検・洗浄も承っています。
よくある質問
太陽光パネルの洗浄・掃除は必要ですか?
住宅用の太陽光パネルは、ふつうの砂ぼこりなどの汚れは雨で流れるため、日ごろの掃除はほとんど要らない、というのがメーカー(Qセルズ・パナソニックなど)の案内です。鳥のフン・火山灰・油煙などの落ちにくい汚れがついたときは、販売店・施工店に相談しましょう。
汚れで発電量はどのくらい下がりますか?
シャープの産業用の案内では、晴天が続いて砂ぼこりが付くと3〜5%程度下がることがあるものの、雨で流れるとほぼ元に戻り、平均的な都市部で汚れによる低下はおよそ5%以下とされています。鳥のフンなどで汚れがひどい場合は、発電が下がるうえ、ホットスポット現象のおそれもあります。
自分で掃除してもいいですか?
屋根の上のパネルを自分で掃除するのはおすすめしません。屋根から落ちる危険、感電のおそれ、ガラスを傷めるおそれがあり、適切でない清掃の方法で傷めた場合はメーカーの保証の対象外になることもあります。自分でできるのは、モニターで発電量を確かめることと、地上から目で見ることまでです。
洗剤や高圧洗浄機を使ってもいいですか?
メーカーによって決まりが違います。Qセルズの取扱説明書では、パネルの清掃に洗剤やシンナー・アルコールなどを使わないように、とされています。水や水圧の条件を決めているメーカーもあります。お使いのパネルの取扱説明書を確かめ、自己判断で使わないようにしましょう。
黄砂が積もったら洗ったほうがいいですか?
黄砂も砂ぼこりの一種で、ふつうは雨で流れることが多いと考えられます。春が過ぎても、晴れた日の発電量が去年の同じ時期より目立って低いままなら、設置した会社に相談しましょう。
まとめ
- ふつうの汚れは雨で流れる:住宅の太陽光パネルは、日ごろの掃除はほとんど要らない(メーカーの案内)
- 落ちにくい汚れは相談を:鳥のフン・火山灰・油煙・塩分などは発電量を下げることがある。販売店・施工店に相談する
- 発電量の低下は数%程度という案内も:シャープの産業用の案内では、都市部の汚れによる低下はおよそ5%以下
- 確かめ方:去年の同じ月の発電量と比べる。晴れた日に0のままなら機器の不調を疑う
- 屋根には上らない:転落・感電・ガラスの傷・保証の対象外のおそれ。洗剤や高圧洗浄機を自己判断で使わない
- 頼む前に:メーカー・型番、保証書、使う洗剤や道具、点検も一緒にするかを確かめる