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卒FITとは?11年目以降の売電価格と蓄電池を入れるべきかの判断基準
卒FITとは?11年目以降の売電価格と蓄電池を入れるべきかの判断基準

住宅用太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)は、10年で満了します。11年目以降は売電価格が大きく下がるため、「そのまま売り続けるか」「蓄電池を入れて自家消費に切り替えるか」を判断することになります。

この記事では、卒FITの仕組みから11年目以降の買取価格、そして蓄電池を入れるべきかの判断基準までを整理します。省エネ相談室が施工事例として掲載している福岡県内の133件中26件が蓄電池のみの導入で、うち10件は事例の記載から固定価格買取期間の満了をきっかけに検討されたご家庭です。実際に選ばれている選択肢としてお伝えできる内容です。

目次

卒FITとは何か

卒FITの基本。FIT期間10年、2026年度は24円から8.3円、11年目以降は7.00円

卒FIT(そつフィット)とは、固定価格買取制度(FIT)の買取期間が満了すること、または満了した状態を指す言葉です。

固定価格買取制度は10年で満了する

FITは、太陽光発電で発電した電気のうち自宅で使わずに余った分を、国が定めた価格で電力会社が買い取る制度です。住宅用(10kW未満)の場合、この買取期間は10年間と決まっています。

住宅用太陽光の余剰電力の買取は、2009年11月に始まった「余剰電力買取制度」が先駆けで、2012年7月から今の固定価格買取制度(FIT)に引き継がれました。FITが始まった2012年度の住宅用(10kW未満)の買取価格は1kWhあたり42円で、その後、太陽光パネルの価格が下がるにつれて段階的に引き下げられてきました。

満了後は「卒FIT」と呼ばれ、売電価格が下がる

10年が経過すると固定価格での買取が終わり、それ以降は電力会社が個別に設定する価格での買取になります。この価格が、FIT期間中と比べて大きく下がります。

ここで重要なのは、売電できなくなるわけではないということです。太陽光パネル自体は20年以上発電を続けますし、余った電気を売ること自体は続けられます。変わるのは価格だけです。

なお、「出力制御で売電できなくなる」という話を聞いた方もいるかもしれません。九州では、発電が多すぎるときに発電量をおさえる「出力制御」が行われていますが、住宅用(10kW未満)の太陽光は、国の整理で「当面の間、出力制御の対象外」とされています。くわしくは九州電力の出力制御とは?家の太陽光(10kW未満)は対象?をご覧ください。

自分の満了時期を確認する方法

ご自宅の満了時期は、売電を開始した月から10年後です。確認する方法は3つあります。

  • 電力会社との売電契約書に記載された「買取期間」を見る
  • 毎月の売電明細(購入電力量のお知らせ)を確認する
  • 電力会社のWeb会員ページで契約内容を確認する

2009年から2016年ごろに設置されたご家庭は、すでに満了しているか、間もなく満了する時期にあたります。

満了時期が近づくと通知が届く

買取期間の満了が近づくと、電力会社から案内の書面が届きます。ただしこの通知が届いてから検討を始めると、選択肢を比較する時間が足りなくなることがあります。満了の半年前から準備を始めると余裕があります。

11年目以降の売電価格はどのくらい下がるのか

ここが最も気になる部分だと思います。

FIT期間中と卒FIT後の買取価格の差

卒FIT後の買取価格は、大手電力会社では1kWhあたり7〜9円が中心です(2026年時点の各社公表値より)。FIT期間中が20円台から40円台だったことを考えると、大きく下がることになります。

この価格差が「そのまま売り続けるか、自家消費に回すか」を考える理由になります。電気を買う価格が1kWhあたり30円前後であることと比べると、7〜9円で売るより自分で使ったほうが有利という計算になるためです。

買取先は電力会社を選べる

意外に知られていませんが、卒FIT後の買取先は自由に選べます。契約していた電力会社に売り続ける義務はありません。

新電力や小売事業者に乗り換えることで、1kWhあたり10〜12円台になるケースもあります。市場連動型のプランや、期間限定の増額キャンペーンを出している事業者もあります。

買取価格は事業者ごとに異なり、変更もされますので、ご検討の際はその時点の各社の条件をご確認ください。

買取価格だけで選ぶと損をすることがある

ただし、買取単価の高さだけで判断するのは危険です。理由が2つあります。

1つは、キャンペーン価格には期限があることです。数年後に通常価格へ戻る条件になっていることがあります。

もう1つは、売る量そのものを減らしたほうが得なケースが多いことです。1kWhを12円で売るのと、1kWhを自分で使って30円の購入を減らすのでは、後者のほうが3倍近く効果があります。売電単価の比較に時間をかけるより、自家消費の割合を上げる検討をしたほうが効果が大きい場合があります。

売り続けるか、蓄電池で自家消費に切り替えるか

売電7.00円と自家消費27.45円の比較。差は20.45円/kWh

ここが記事の核になる部分です。結論を押し付けるつもりはありませんので、判断の基準をお伝えします。

売電を続ける場合のメリットと限界

売電を続ける最大のメリットは、追加の費用がかからないことです。買取先を切り替えるだけなら初期投資はゼロです。

限界は、単価が下がった以上、収入が大きく減ることです。仮に年間3,000kWhを売っていたご家庭が、40円から8円になれば、年間の売電収入は12万円から2.4万円になります。

蓄電池を入れて自家消費に回す場合の考え方

蓄電池を入れると、日中に発電した電気を貯めて夜間に使えるようになります。売る量を減らし、買う量を減らすという形に変わります。

効果を左右するのは「電気を買う価格」と「売る価格」の差です。買う価格が30円、売る価格が8円なら、その差は22円です。1kWhを自家消費に回すごとに22円分の効果が生まれる計算になります。

一方で蓄電池の導入費用がかかりますので、この効果が費用に見合うかどうかがご判断のポイントになります。

電気を買う量が多い家庭ほど自家消費が有利になる

判断基準として最も分かりやすいのが、現在の電気の購入量です。

毎月の電気代が高いご家庭は、それだけ電気を買っています。蓄電池で買う量を減らせる余地が大きいということです。逆に電気の使用量が少ないご家庭は、蓄電池を入れても減らせる金額が小さくなります。

検針票に記載された1か月の購入電力量(kWh)が判断の材料になります。

日中不在の家庭は蓄電池の効果が出やすい

もう一つの基準が、日中に家にいるかどうかです。

共働きなどで日中不在のご家庭は、発電している時間に電気を使えません。そのため発電した電気の多くが売電に回り、卒FIT後は安く売ることになります。ここに蓄電池を入れると、日中に貯めて夜に使う形に切り替えられるため、効果が大きく出ます。

反対に日中も在宅されているご家庭は、すでに発電した電気をその場で使えている割合が高いため、蓄電池で追加できる効果は相対的に小さくなります。

卒FIT後に蓄電池を入れるときの注意点

すでに太陽光をお使いのご家庭が蓄電池を追加する場合、新築時に同時導入するのとは違う注意点があります。

既設のパワーコンディショナが使えるかを確認する

パワーコンディショナ(パワコン)は、太陽光で発電した直流の電気を家庭で使える交流に変換する機器です。蓄電池を追加するとき、この既設パワコンをそのまま使えるかどうかで費用が変わります。

まず確認するのは、設置年と製造メーカーです。ここから残りの寿命と、蓄電池との組み合わせが可能かが分かります。

単機能型かハイブリッド型かで費用が変わる

単機能型は蓄電池に専用のパワコンが付いているタイプで、太陽光側のパワコンをそのまま残せます。既設設備を活かせるため、初期費用を抑えられます。ただしパワコンが2台になるため設置スペースが必要で、変換ロスもやや大きくなります。

ハイブリッド型は太陽光と蓄電池のパワコンを1台にまとめたタイプです。効率がよく設置スペースも1台分で済みますが、既設のパワコンを交換することになるため、その費用が発生します。

それぞれの詳しい違いは蓄電池の容量と種類の選び方でご説明しています。

パワコンの寿命は10〜15年程度で交換時期と重なる

ここが卒FIT特有の判断ポイントです。

パワコンの寿命は一般に10年から15年程度とされています。つまり卒FITを迎えるタイミングは、パワコンの交換時期と重なりやすいのです。

どうせパワコンを交換するのであれば、この機会にハイブリッド型へまとめたほうが合理的なことがあります。逆に設置から数年しか経っていない場合は、単機能型で既設パワコンを活かすほうが費用を抑えられます。設置年によって答えが変わるということです。

補助金の対象外になる制度がある

これは見落としやすい点です。蓄電池だけの導入は補助対象外としている自治体があります。

たとえば糸島市の補助制度は「発電した電力量の30%以上を自家消費すること」が要件で、蓄電池単体の導入は対象になりません。福岡市も太陽光発電とHEMSの設置が必須条件です。

卒FIT後の蓄電池追加はまさに「蓄電池だけの導入」にあたるため、補助金が使えないケースがあることを前提に検討する必要があります。福岡県内の自治体別の状況は福岡県の太陽光・蓄電池の補助金で市町村ごとに整理しています。

なお福岡県の「福岡カーボンクレジット倶楽部」は設置後2年以内なら申し込める制度で、こちらは蓄電池のみの設置でも対象になります。

卒FITを迎える前にやっておきたいこと

満了の通知が届いてから慌てないために、事前にできることをまとめます。

現在の発電量と電気の使用量を把握する

判断に必要な数字は2つです。年間の発電量と年間の電気購入量です。売電明細と検針票(またはWeb明細)から確認できます。この2つがあれば、蓄電池を入れた場合の効果を試算できます。

パワーコンディショナの設置年を確認する

前述のとおり、パワコンの設置年で選ぶべき機種が変わります。太陽光の設置時期と同じであることが多いですが、途中で交換されている場合もありますので確認しておきます。

満了の半年前から検討を始める

買取先の比較、蓄電池の検討、補助金の確認と申請を考えると、半年程度の余裕があると落ち着いて判断できます。補助金は先着順で予算枠に達すると終了するため、年度の早い時期に動けるかどうかも効いてきます。

お住まいの自治体の補助制度を確認する

補助制度は自治体によって大きく異なります。福岡県内でも、独自制度がある自治体は限られています。対応エリアのページで市町村別の状況をご確認いただけます。

業者選びで確認できることは福岡で太陽光・蓄電池の業者を選ぶ前に確認できる6つのことにまとめています。見積書の見方や、補助金の話が出たときの確認方法もご説明しています。

九州電力の卒FIT買取単価と売電先の選び方は九州電力の卒FIT買取は7円/kWh|売電先を比べる前に確認すべきことでご説明しています。

パワーコンディショナの交換については太陽光のパワコン交換費用は何で決まる?時期の見極めと蓄電池をまとめる選択でご説明しています。

費用の目安をあわせてご確認ください

卒FIT後の選択肢が見えたら、蓄電池を入れる場合の費用を確認しておくと判断しやすくなります。

公的データでは1kWhあたり17〜22万円(設備費+工事費)。容量別の目安と、国が掲げる目標価格(7万円/kWh)との差についても蓄電池の価格・費用相場で正直にお伝えしています。

蓄電池を入れないという選択も

卒FIT後の対応として、蓄電池を入れないという判断もあり得ます。電気の使用量が少ないご家庭や、数年以内に転居のご予定がある場合です。

見送るべき条件は蓄電池はやめたほうがいい?見送るべき5つの条件で整理しています。

太陽光とセットで考える場合は

蓄電池は太陽光と組み合わせると効果が大きくなります。売電7.00円の電気を、27.45円の価値で使えるようになるためです。

※27.45円/kWhは、2026年度の調達価格の算定に使う想定値(大手電力の家庭用電気料金単価の10年平均+消費税)で、各家庭の実際の単価ではありません。

セットで導入する場合の判断基準・費用・容量の決め方は太陽光発電と蓄電池をセットで導入する完全ガイド|福岡の施工事例133件のうち併用90件と費用相場にまとめています。福岡県内の併用90件の平均構成も出しています。

回収できるかどうかは分けて考える

卒FIT後に蓄電池を入れる場合、「電気代が下がること」と「蓄電池の費用を回収できること」は別です。

公的データで計算すると回収は25〜64年で、機器保証の期間内には届きません。詳しくは蓄電池は何年で元が取れる?をご覧ください。判断材料として先に知っておいていただきたい内容です。

ご相談はお気軽に

卒FIT後に売電を続けるか蓄電池を入れるかは、ご家庭の電気の使い方によって答えが変わります。

売電明細と検針票をお持ちいただければ、現在の発電量と購入量から、蓄電池を入れた場合の効果を試算いたします。既設のパワーコンディショナが使えるかどうかも確認いたします。

「まだ数年あるけれど今から考えておきたい」というご相談も歓迎です。無理な勧誘はいたしません。

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まとめ|卒FITは「売る」から「使う」への切り替え時期

  • FITは10年で満了する。売電できなくなるのではなく、価格が下がる
  • 卒FIT後の買取価格は大手電力で1kWhあたり7〜9円が中心。買取先は自由に選べ、乗り換えで10〜12円台になる場合もある
  • 売電単価より自家消費のほうが効果が大きい。買う価格30円と売る価格8円の差が効いてくる
  • 電気を買う量が多い家庭、日中不在の家庭は蓄電池の効果が出やすい
  • パワコンの設置年で単機能型かハイブリッド型かが変わる。卒FITは交換時期と重なりやすい
  • 蓄電池だけの導入は補助対象外の自治体がある。糸島市・福岡市は太陽光との組み合わせが要件
  • 満了の半年前から検討を始めると余裕がある

卒FITは「損をする節目」ではなく、電気の使い方を見直す機会です。ご家庭の条件に合った選択ができるよう、数字をもとにご説明いたします。

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