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九州電力の卒FIT買取は7円/kWh|売電先を比べる前に確認すべきこと
九州電力の卒FIT買取は7円/kWh|売電先を比べる前に確認すべきこと

FITの買取期間が終わると、九州電力から「太陽光発電設備からの余剰電力買取期間の満了について」という案内が届きます。満了の約4か月前です。

その案内を受けて「売電先を変えたほうが得なのか」を調べ始める方が多いと思います。

この記事では、九州電力の卒FIT買取単価という確定した数字を起点に、判断の順序を整理します。福岡県内で施工している立場からお伝えします。

先に結論をお伝えします。売電先を比べる前に確認すべきことがあります。それは「売る」と「使う」のどちらが有利かです。売電単価を1円2円上げる話より、こちらのほうが金額の差が大きくなります。

目次

九州電力の卒FIT買取単価は7.00円/kWh

公式に公表されている数字です

九州電力の卒FIT後の買取条件は、公式サイトに明記されています。

項目内容
買取単価7.00円/kWh(税込・消費税率10%)
契約期間買取期間満了日の翌日から翌4月の検針日前日まで。以降、双方に異議がなければ1年ごとに自動継続
非化石価値の帰属すべて九州電力に帰属(上記単価には非化石価値相当額を含む)
手続き九電への売電を続ける場合は申込み不要

出典:九州電力「固定価格買取(FIT)制度の買取期間満了後の買取」

この単価は変更される場合があります。九電も「現時点での買取単価であり、変更する場合がある」と明記しています。ご検討の際は必ず九州電力の公式ページで最新の数字をご確認ください。

全国平均と比べると低い水準です

ここは知っておいていただきたい事実です。

経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2025年2月)によると、2024年12月時点で確認できた各小売電気事業者の卒FIT買取メニューの売電価格は次の水準でした。

単価
全国の買取メニューの平均値10.1円/kWh
全国の買取メニューの中央値9.5円/kWh
九州電力7.00円/kWh

九州電力の7.00円は、全国の平均・中央値より低い水準にあります。この事実だけを見れば「他社に変えたほうがよい」と考えるのが自然です。

ただし高い単価には条件が付いていることが多い

同じ資料に、重要な指摘があります。

「10円/kWh水準以上のメニューは、当該小売電気事業者による電気供給とのセット販売や、蓄電池併設等の条件付きであることが比較的多い」(同資料より)

つまり高い単価を掲げるメニューの多くは、その事業者から電気を買う契約とセット、または蓄電池を設置していることが条件になっているということです。国の委員会がこの点を指摘しています。

だから単価だけを並べた比較では判断できません。後述する「比較するときに見る5つのこと」をご確認ください。

何もしなければ自動的にこの単価になります

ここは知っておいていただきたい点です。手続きをしなければ、九電への売電が7.00円で自動継続されます。

「気づかないうちに損をしていた」ということにはなりませんが、逆に「何もしなければ最良の条件になる」わけでもありません。案内が届いたら一度検討する価値があります。

まず確認すべきは「売る」と「使う」の差です

売電単価と購入単価を並べてみます

ここが最も重要な比較です。

1kWhあたり
卒FIT後に売る(九州電力)7.00円
電気を買う(家庭用の一般的な水準)25〜35円程度(契約プランで変動)

つまり1kWhを売って7円受け取るより、1kWh買わずに済ませて25〜35円分を節約するほうが、3倍から5倍の効果があります。

この「買う単価」には公的な参照値があります。経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2025年2月)では、自家消費した電気の便益を27.45円/kWhとしています(大手電力の直近10年間の家庭用電気料金単価の平均に消費税を加味した値)。2026年度の調達価格の算定に使う想定値で、各家庭の実際の単価ではありません。

27.45円 ÷ 7.00円 = 約3.9倍。公的な数字で計算しても、自家消費のほうが4倍近く有利という結果になります。

これは単価の構造上そうなります。売電先を探して7円が8円になっても、差は1円です。一方で自家消費に回せば1kWhあたり20円以上の差が生まれます。

だから蓄電池が選択肢になります

昼に発電した電気を、夜に使えるように貯めておくのが蓄電池です。売電単価が高かったFIT期間中は「売ったほうが得」でしたが、7円になると逆転します。

ただし「必ず得になる」とは言えません。理由は3つあります。

  • 設備費用がかかる — 蓄電池の導入費用を回収できるかは、電気の使い方と容量によります
  • 全量を自家消費に回せるわけではない — 蓄電池の容量を超える発電分は売電に回ります
  • 夜間の使用量が少ない家庭では効果が小さい — 貯めても使わなければ意味がありません

判断の考え方は卒FITとは?11年目以降の売電価格と蓄電池を入れるべきかの判断基準で詳しくご説明しています。容量の決め方は蓄電池の容量の目安は何kWh?をご覧ください。

そのうえで売電先を比較する場合

年間5,000kWhを売電した場合の比較。売電3.5万円に対し自家消費なら13.7万円

蓄電池を入れない、あるいは入れても売電分が残る場合は、売電先の比較に意味があります。

単価の一覧はこの記事に載せません

理由をお伝えします。

  • 買取事業者の単価は頻繁に変わります。一覧を作ると古い数字が残り、かえって判断を誤らせます
  • 単価の条件が事業者ごとに違います(電気の契約とセットが前提、地域限定、期間限定など)
  • 特定の事業者を並べること自体が、誘導と受け取られる可能性があります

かわりにご自身で比較するときの見方をお伝えします。

比較するときに見る5つのこと

1. 単価だけでなく条件を見る

「九州電力より高い単価」を掲げる事業者はあります。ただしその単価の適用条件を確認してください。よくある条件はこうです。

  • その事業者から電気を買う契約(購入プラン)とセットであること
  • 一定期間の契約が前提であること
  • 地域や設備容量の制限があること

2. 電気の購入単価も合わせて計算する

ここが見落とされやすい点です。売電単価が2円上がっても、購入単価が1円上がれば差し引きで損をする可能性があります。

家庭では通常、売る量より買う量のほうが多いためです。「売電単価」と「購入単価」を合わせた年間の収支で比べてください。

3. 非化石価値の扱いを確認する

九電の場合、非化石価値は九電に帰属し、その相当額が7.00円に含まれるとされています。事業者によって扱いが異なる場合があるため、単価の内訳として説明があるかを見てください。

4. 契約期間と解約条件を見る

九電は1年ごとの自動継続です。他社に変える場合、最低契約期間や解約時の手数料があるかを確認してください。

5. 手続きにかかる時間を見込む

九電も「お手続きには一定の時間を要する可能性がある」と案内しています。希望日から売電先を変更できない場合があるため、満了の案内が届いたら早めに動くほうが確実です。

年間でいくら変わるのか、試算の仕方

売電先の変更でどれだけ変わるかは、簡単に見積もれます。

年間の余剰売電量(kWh)× 単価の差(円)= 年間の差額

年間の売電量は、これまでの検針票や電力会社のWeb明細で確認できます。

たとえば年間3,000kWhを売電していて、単価が2円上がる場合は年間6,000円の差です。手続きの手間と、購入単価への影響を含めて判断する材料になります。

同じ3,000kWhを自家消費に回せた場合は、7円で売る代わりに25〜35円分を買わずに済むので、年間で54,000〜84,000円相当の差になります。桁が変わることがお分かりいただけると思います。

公的な参照値(27.45円/kWh)で計算すると、3,000kWh×(27.45円−7.00円)=年間61,350円となります。

(いずれも計算例です。実際の売電量・購入単価・自家消費に回せる割合はご家庭ごとに異なります)

卒FITを迎える前にやっておくこと

1. 満了時期を確認する

FIT制度による買取期間は、売電を開始した日から法令で定められた期間(住宅用は10年)を経過した月の検針日前日までです。2009年11月以前に開始された場合は2009年11月1日が起点とされています。

満了の約4か月前に九電から郵送で案内が届きます。この案内を保管しておいてください。

2. 年間の売電量を把握する

判断に必要な数字です。年間の売電量が分からないと、売電先を変える効果も蓄電池の効果も計算できません。

検針票、または電力会社のWeb明細で12か月分を確認してください。

3. パワーコンディショナの状態を確認する

ここは見落とされやすい点です。FIT開始から10年経っているということは、パワーコンディショナも10年使っているということです。

パワコンは電子機器のため、一般に10〜15年で交換を検討する時期に入ります。卒FITとパワコンの交換時期は重なりやすいのです。

蓄電池を検討される場合、パワコン交換のタイミングでハイブリッド型にまとめれば機器が1台に減ります。別々の時期に工事するより手間も費用も抑えられます。

詳しくは太陽光パネルの寿命は何年?でご説明しています。

4. 発電量が落ちていないか確認する

10年経つと、発電量は初期より少し落ちています。ただし「落ちすぎている」場合は保証の対象になる可能性があります。

お使いのパネルの出力保証を確認してください。取扱メーカーの例では、出力保証は20年から35年まで幅があります。まだ保証期間内である可能性は十分にあります。

福岡・九州エリアで検討される方へ

九州は日射条件が比較的良いエリアです

福岡県の年間日照時間は、全国平均と比べて不利ではありません。発電量が確保できるということは、自家消費に回せる量も確保できるということです。

各エリアの状況は対応エリアのページでご覧いただけます。

沿岸部では機種の制約があります

蓄電池を追加される場合の注意点です。糸島市・福津市・宗像市・芦屋町・遠賀郡などの海に面したエリアでは、塩害・重塩害への対応が必要になります。

取扱44型番のうち重塩害地域に設置できるのは23型番だけで、メーカーによってはゼロです。詳しくは蓄電池のメーカー比較をご覧ください。

既設の太陽光を残すか、まとめるか

卒FIT後に蓄電池を追加する場合、方式の選択があります。

方式内容向いている場合
単機能型既設の太陽光パワコンをそのまま残し、蓄電池だけ追加パワコンがまだ新しい
ハイブリッド型太陽光と蓄電池を1台のパワコンで制御パワコンの交換時期が近い

取扱型番のなかでは、長州産業の蓄電池8型番がすべて単機能型・ハイブリッド型の両方で使えるため、現地でパワコンの状態を見てから構成を決められます。詳しくは長州産業の記事でご説明しています。

よくある質問

九州電力の卒FIT買取単価はいくらですか?

7.00円/kWh(税込・消費税率10%)です。九州電力の公式サイトに明記されています。ただし変更される場合があるため、検討時は必ず公式ページで最新の数字をご確認ください。

何も手続きしないとどうなりますか?

九州電力への売電が新しい単価(7.00円)で自動的に継続されます。申込みは不要です。契約期間は満了日の翌日から翌4月の検針日前日までで、以降は1年ごとに自動継続されます。

売電先を変えたほうが得ですか?

単価だけでは判断できません。多くの事業者は「その事業者から電気を買う契約」とセットで高い売電単価を提示します。売電単価が上がっても購入単価が上がれば差し引きで損をする可能性があります。年間の収支で比べてください。

売電先を変えるのと蓄電池、どちらが効果が大きいですか?

金額の差では蓄電池のほうが大きくなります。売電単価が2円上がっても差は2円ですが、自家消費に回せば1kWhあたり20円以上(7円で売る代わりに25〜35円を買わずに済む)の差になります。ただし蓄電池には設備費用がかかり、夜間の使用量が少ない家庭では効果が小さくなります。

いつから検討を始めればいいですか?

満了の約4か月前に九電から案内が届きます。売電先を変更する場合は手続きに時間を要する可能性があるため、案内が届いたら動き始めるのが確実です。蓄電池を検討される場合は、現地調査と工事の期間も必要になります。

卒FIT時にパワコンも交換したほうがいいですか?

状態次第ですが、確認する価値はあります。FIT開始から10年経っているということは、パワコンも10年使っているということです。一般に10〜15年で交換検討の時期に入ります。蓄電池を追加する場合、パワコン交換と同時にハイブリッド型でまとめれば機器が1台に減ります。

非化石価値とは何ですか?

再生可能エネルギーで発電された電気が持つ「CO2を出していない」という環境価値のことです。九州電力の場合、非化石価値は九電に帰属し、その相当額が7.00円の単価に含まれるとされています。事業者によって扱いが異なる場合があるため、単価の内訳の説明があるか確認してください。

パワーコンディショナの交換については太陽光のパワコン交換費用は何で決まる?時期の見極めと蓄電池をまとめる選択でご説明しています。

蓄電池を入れる場合の費用

卒FIT後に自家消費へ切り替えるなら、蓄電池の費用を確認しておく必要があります。

公的データでは1kWhあたり17〜22万円(設備費+工事費)。10kWhなら170〜220万円が出発点で、ここから補助金が引かれます。容量別の目安は蓄電池の価格・費用相場にまとめています。

売電単価7.00円と買電単価の差が大きいほど、蓄電池の投資回収は早くなります。ご自宅の使用量で計算しますので、検針票をお持ちください。

太陽光とセットで考える場合は

蓄電池は太陽光と組み合わせると効果が大きくなります。売電7.00円の電気を、27.45円の価値で使えるようになるためです。

セットで導入する場合の判断基準・費用・容量の決め方は太陽光発電と蓄電池をセットで導入する完全ガイド|福岡の施工事例133件のうち併用90件と費用相場にまとめています。福岡県内の併用90件の平均構成も出しています。

7円と27.45円の差を、何年で回収できるか

売電7.00円と自家消費27.45円の差は大きいのですが、その差だけで蓄電池の費用を回収できるかは別の話です。

ご相談はお気軽に

卒FITの案内が届いたけれど何から考えればいいか分からない、という段階でご相談いただいて構いません。

省エネ相談室では年間の売電量とご家庭の電気の使い方から、自家消費に回した場合の試算をお出しします。既設のパワコンの状態も確認し、蓄電池を入れないほうがよい場合はそうお伝えします。無理な勧誘はいたしません。

無料相談・お見積りはこちら

業者選びで確認できることは福岡で太陽光・蓄電池の業者を選ぶ前に確認できる6つのことにまとめています。

まとめ|売電先を比べる前に「売る」と「使う」を比べる

  • 九州電力の卒FIT買取単価は7.00円/kWh(税込)。非化石価値は九電に帰属し、単価に相当額を含む
  • 手続きしなければ自動的にこの単価で継続。満了の約4か月前に案内が届く
  • 電気を買う単価は25〜35円程度。売って7円受け取るより、買わずに済ませるほうが3〜5倍の効果
  • 売電先の変更で得られる差は1〜2円程度。年間3,000kWhなら年6,000円前後
  • 同じ量を自家消費に回せれば年54,000〜84,000円相当。桁が変わる(ただし設備費用と使い方の制約あり)
  • 売電先を比べるときは購入単価も含めた年間収支で見る。単価だけの比較は誤る
  • 卒FITとパワコンの交換時期は重なりやすい。蓄電池を入れるならハイブリッド型でまとめる選択がある
  • 沿岸部では設置できる機種が限られる。重塩害対応は取扱44型番のうち23型番だけ

この記事に他社の売電単価一覧を載せていないのは、数字がすぐ古くなり、判断を誤らせるからです。比較の見方をお持ちいただくほうが確実だと考えています。ご自宅の条件で試算をご希望なら、年間の売電量が分かる検針票をお持ちください。

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