太陽光発電を検討していると、必ず気になるのがデメリットです。
ただ調べてみると、「メリットのほうが大きい」と結論づける記事ばかりで、肝心の欠点があっさり書かれていることが多いのではないでしょうか。売っている側が書いているので、当然そうなります。
省エネ相談室も太陽光を販売している会社です。それでもデメリットは具体的な金額と数字でお伝えします。そのうえでメリットと並べて、判断していただくのが一番だと考えています。
この記事では経済産業省の公的データを使って、良い面も悪い面も数字で示します。
目次
結論|デメリットは6つ、いずれも金額で確認できます
| デメリット | 金額・数字の目安 |
|---|---|
| ①初期費用が高い | 1kWあたり30.1万円(5kWで約151万円・今ある家に設置した場合) |
| ②維持費とパワコン交換がかかる | 点検3.8万円/回+交換38.4万円 |
| ③発電量が天候と屋根の条件に左右される | 設備利用率13.7%(国の想定値。実績は14.1%) |
| ④FIT終了後は売電単価が大きく下がる | 九州電力の卒FIT買取は7.00円/kWh |
| ⑤屋根に穴を開ける工事がある | 屋根材によって施工方法が変わる |
| ⑥近年は価格がやや上がっている | 2023年以降「やや増加傾向」 |
ひとつずつご説明します。
①初期費用が高い
公的データでは1kWあたり30.1万円(今ある家に設置した場合)
経済産業省の調達価格等算定委員会(2026年1月)の資料に、住宅用太陽光のシステム費用が示されています。2025年に設置された住宅の平均は、今ある家に後から載せる場合(既築)で1kWあたり30.1万円、新築で28.9万円です。下の表は既築の値で計算しています。
| 容量 | 費用の目安 |
|---|---|
| 4kW | 約120万円 |
| 5kW | 約151万円 |
| 6kW | 約181万円 |
| 8kW | 約241万円 |
出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について」(2026年1月・調達価格等算定委員会)
これは一般家庭にとって大きな金額です。「電気代が下がる」と言われても、100万円以上を先に出すことになります。
ただし補助金で下がります
福岡県内の市町村には補助金制度があります(ただし実施していない市町村もあります)。市町村別の状況は福岡県の太陽光・蓄電池の補助金にまとめています。
費用の詳しい内訳は太陽光発電の設置費用は1kW30.1万円でご説明しています。
②維持費とパワコン交換がかかる
設置費用だけで判断すると想定が外れます
これは見落とされやすいデメリットです。設置後もお金がかかります。
| 項目 | 金額 | 頻度 |
|---|---|---|
| 定期点検 | 約3.8万円/回 | 3〜5年ごと |
| パワコン交換 | 約38.4万円 | 20年で一度 |
いずれも同じ経済産業省の資料に示されている値です。
20年で計算すると、点検が4〜6回で15〜23万円、パワコン交換で38万円。合計54〜61万円程度になります。
5kWのケースで積み上げると次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 設置費用 | 約151万円 |
| 定期点検(5回) | 約19万円 |
| パワコン交換(1回) | 約38万円 |
| 20年の総額 | 約208万円 |
設置費用の約1.4倍が、20年で必要になります。この点を説明しない見積書は、判断材料として不十分です。
パワコン交換の詳細はパワコン交換費用でご説明しています。
③発電量は天候と屋根の条件で変わる
設備利用率13.7%という現実
「5kWのパネルを載せた」からといって、常に5kW発電するわけではありません。
公的データでは設備利用率13.7%とされています。24時間365日で計算すると、設置容量の13.7%程度が実際の発電量になるという意味です。
5kWなら年間約6,000kWhです。これは全国の平均値であり、次の条件で上下します。
- 屋根の方位 — 南向きが最も有利。東西向きは落ちます。北向きは基本的に適しません
- 屋根の傾斜角度
- 周囲の建物や樹木の影 — 影は想像以上に発電量を落とします
- 天候 — 梅雨時期と冬場は落ちます
「わが家でいくら発電するか」は、屋根を見ないと分かりません。シミュレーションを出す業者は、方位と角度と影の条件を確認しているかを聞いてみてください。
雨の日と夜は発電しません
当たり前ですが、重要な点です。太陽光だけでは、夜間と悪天候時は電力会社から買うことになります。
これを補うのが蓄電池ですが、そのぶん初期費用は増えます。蓄電池の相場は蓄電池の価格・費用相場でご説明しています。
④FIT終了後は売電単価が大きく下がる

ここが最も大きな誤解が生まれるところです
FIT(固定価格買取制度)の期間は住宅用で10年です。この10年が終わると、売電単価は大きく下がります。
| 単価 | |
|---|---|
| FIT期間中(2025年10月以降の認定) | 24円/kWh(1〜4年目)・8.3円/kWh(5〜10年目) |
| 九州電力の卒FIT買取 | 7.00円/kWh |
| 参考:自家消費の価値(公的参照値) | 27.45円/kWh |
※27.45円/kWhは、2026年度の調達価格の算定に使う想定値(大手電力の家庭用電気料金単価の10年平均+消費税)で、各家庭の実際の単価ではありません。
売電で回収する前提の試算は、5年目から崩れ、11年目にさらに下がります。
逆に言えば、卒FIT後は「売らずに自分で使う」ほうが4倍近く価値が高くなります。ここで蓄電池が効いてきます。
詳しくは九州電力の卒FIT買取は7円/kWhと卒FIT後の選択肢をご覧ください。
何年で元が取れるかは条件で大きく変わります
何年で元が取れるかは、FITの売電単価が5年目から下がること、毎年の維持費、自家消費の割合で大きく変わります。経済産業省の資料の値で年ごとに計算した目安は、こちらで解説しています。
→ 太陽光発電は何年で元が取れる?経産省データで計算すると14〜22年です
⑤屋根に穴を開ける工事がある
屋根材によって施工方法が変わります
太陽光パネルは架台で屋根に固定します。屋根材によって、穴を開けるかどうかが変わります。
| 屋根材 | 施工 |
|---|---|
| スレート(カラーベスト) | 穴を開けて金具を固定。防水処理が必要 |
| 金属屋根(折板・立平) | 掴み金具で固定できる場合があり、穴を開けずに済むことも |
| 瓦 | 瓦を外して支持金具を設置 |
穴を開ける工事では、防水処理の品質が雨漏りリスクに直結します。ここは施工品質の問題です。
また築年数が経っている屋根の場合、太陽光を載せる前に屋根の補修が必要になることがあります。この費用は見積に含まれていないケースがあるので、確認してください。
確認していただきたいこと
- 施工保証があるか、年数は何年か
- 雨漏りが発生した場合の対応窓口はどこか
- 販売会社と工事会社が別か、同じか
3つめが重要です。販売と施工が分かれていると、不具合の際に窓口が曖昧になります。省エネ相談室は販売から施工、アフターケア・メンテナンスまで自社で行っているため、設置した者が対応します。
業者確認のポイントは福岡で太陽光・蓄電池の業者を選ぶ前に確認できる6つのことにまとめています。
⑥近年は価格が上がっている
「待てば安くなる」とは限りません
長期的には太陽光は安くなってきました。ただし直近はやや上がっています。
2026年1月の経済産業省の資料では、新築の平均が2023年の28.3万円/kWから2025年は28.9万円/kWとなっており、2023年以降は「やや増加傾向」とされています。
これは蓄電池とは事情が違う点です。蓄電池は国が目標価格(7万円/kWh)を掲げて下がる方向ですが、太陽光は足元で上昇しています。
メリットも数字で並べます
デメリットだけでは判断できませんので、良い面も同じ基準でお伝えします。
1. 電気を買わずに済む価値は27.45円/kWh
公的な参照値です。発電して自宅で使った電気は、買わずに済んだぶんそのまま得になります。電気代が上がれば、この価値も上がります。
2. 電気代の値上げに対する備えになる
電気代は今後も変動します。自家消費の割合が高いほど、値上げの影響を受けにくくなります。これは金額では測りにくいメリットです。
3. 停電時に電気が使える
自立運転機能があれば、停電時も日中は電気が使えます。ただし夜間は使えません。夜も使いたい場合は蓄電池が必要です。
4. 蓄電池と組み合わせると効果が上がる
卒FIT後は特にそうです。7.00円で売る電気を、27.45円の価値で使えるようになります。
同時に設置する場合、ハイブリッド型のパワコン1台で両方を制御できるため、別々に入れるより総額を抑えられることがあります。
向いているご家庭・向かないご家庭
| 向いている | 向かない |
|---|---|
| 南向きの屋根に十分な面積がある | 北向き、または屋根が狭い |
| 周囲に影を作る建物・樹木がない | 影の影響が大きい |
| 電気代が月15,000円以上 | 電気代が月5,000円程度以下 |
| 20年以上住み続ける予定 | 数年以内に転居・建て替えの予定 |
| 屋根が新しい、または補修済み | 屋根の劣化が進んでいる |
| お住まいの市町村に補助金がある | 補助金がない |
屋根の条件が合わないご家庭に無理に設置しても、発電量が出ず後悔につながります。省エネ相談室では、条件が合わない場合はそうお伝えします。
よくある質問
太陽光発電のデメリットは何ですか?
主に6つです。①初期費用が高い(1kWあたり30.1万円・今ある家)②維持費とパワコン交換(点検3.8万円/回+交換38.4万円)③発電量が天候と屋根の条件に左右される(設備利用率13.7%〈国の想定値。実績は14.1%〉)④FIT終了後の売電単価が下がる(九州電力7.00円/kWh)⑤屋根に穴を開ける工事がある ⑥近年は価格がやや上昇(2023年以降「やや増加傾向」)。いずれも公的データで確認できます。
太陽光発電はやめたほうがいいですか?
屋根の条件とご家庭の電気の使い方次第です。北向きの屋根、影の影響が大きい立地、電気代が月5,000円程度以下、数年以内に転居予定のいずれかに当てはまる場合は見送りをおすすめします。逆に南向きの十分な屋根+電気代が多い+補助金ありなら有利です。
何年で元が取れますか?
何年で元が取れるかは、自家消費の割合で14〜22年と大きく変わります(経済産業省の資料の値・6.20kWで計算。70%に増やすための蓄電池などの費用は別)。FITの売電単価が5年目から下がるためです。くわしくは太陽光発電は何年で元が取れる?経産省データで計算すると14〜22年ですをご覧ください。屋根の条件でも変わるため、現地確認のうえ試算します。
雨漏りが心配です
穴を開ける工法では、防水処理の品質が結果を左右します。施工保証の年数と、不具合時の対応窓口を契約前に確認してください。販売と施工が別会社の場合、窓口が曖昧になりやすい点にご注意ください。
蓄電池も一緒に入れたほうがよいですか?
卒FITが近い、または電気代が多いご家庭では効果が大きくなります。7.00円で売る電気を27.45円の価値で使えるようになるためです。同時設置ならハイブリッド型パワコン1台で済むため、別々に入れるより総額を抑えられます。ただし初期費用の総額は増えます。
デメリットを正直に言う業者は少ないと感じます
ごもっともです。だからこそ「デメリットは何ですか」と直接聞いてみてください。金額と数字で答えられるか、抽象的な話で流すかで、判断できます。見積書に維持費とパワコン交換の説明があるかも確認材料になります。
蓄電池とセットで考える場合は
太陽光は蓄電池と組み合わせると、発電した電気を夜も使えるようになります。とくに卒FIT後は、売電7.00円より自家消費27.45円のほうが価値が高くなります。
セットで導入する場合の判断基準・費用・容量の決め方は太陽光発電と蓄電池をセットで導入する完全ガイド|福岡の施工事例133件のうち併用90件と費用相場にまとめています。
回収年数を詳しく計算しました
「何年で元が取れるか」は、この記事のFAQで簡単に触れましたが、2026年度のFIT単価が二段階(24円→8.3円)に変わったことで計算が大きく変わっています。
公的データで年ごとに追った試算を太陽光発電は何年で元が取れる?経産省データで計算すると14〜22年ですにまとめました。自家消費の割合で8年の差が出ます。
判断材料をお出しします
この記事の数字は全国の公的データです。ご自宅での実際の発電量と削減額は、屋根を見ないと出せません。
省エネ相談室では屋根の方位・角度・影の条件を確認したうえで、発電量と削減額を試算します。維持費とパワコン交換も含めた総額でお出しします。
「条件が合わないので今は見送ったほうがよい」という結論になれば、そうお伝えします。他社の見積書をお持ちいただいても構いません。
まとめ|デメリットは数字で確認できます
- 初期費用は1kWあたり30.1万円(今ある家・5kWで約151万円)。補助金で下がる
- 維持費は点検3.8万円/回+パワコン交換38.4万円。20年の総額は約208万円(5kW)
- 設備利用率は13.7%(国の想定値。実績は14.1%)。屋根の方位・角度・影で変わる
- FIT終了後は売電単価が7.00円/kWhに下がる(九州電力)。売電で回収する前提の試算は5年目から崩れ、11年目にさらに下がる
- 屋根に穴を開ける工法では、防水処理の品質と施工保証が重要
- 近年は価格がやや上昇している(2023年以降「やや増加傾向」)。待てば安くなるとは限らない
- メリットは自家消費27.45円/kWhの価値、電気代値上げへの備え、停電時の電源
- 卒FIT後は蓄電池との組み合わせで効果が上がる(7.00円→27.45円)
太陽光は誰にでも合う設備ではありません。屋根の条件と電気の使い方で、結果が大きく変わります。
デメリットを金額で把握したうえで判断すれば、後悔は避けられます。迷われたら、屋根の写真と検針票をお持ちください。数字を出してご説明します。