太陽光発電の設置費用を調べると、金額の書き方がサイトごとにばらばらです。「100万円台から」「1kWあたり25万円」「4kWで120万円」——単位も条件も違うので、比べようがありません。
この記事では経済産業省の委員会が公表している実際の費用データを起点にお伝えします。国が制度設計に使っている数字なので、出典がはっきりしています。
そのうえで、なぜ見積金額に幅が出るのか、何を確認すれば比較できるのかをご説明します。省エネ相談室の見積額そのものは、屋根の条件で変わるためこの記事には書けません。ただし判断に必要な相場はお伝えできます。
目次
結論|1kWあたり30.1万円が公的な平均値(既築)
経済産業省の算定委員会のデータ
経済産業省の調達価格等算定委員会(2026年1月)の資料に、2025年に設置された住宅用太陽光発電(10kW未満)のシステム費用が示されています。今ある家に後から載せる場合(既築)の平均は1kWあたり30.1万円、新築の平均は28.9万円です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| システム費用(既築・平均) | 30.1万円/kW |
| システム費用(新築・平均) | 28.9万円/kW |
| 新築の内訳:太陽光パネル | 約47% |
| 新築の内訳:工事費 | 約29% |
| 新築の内訳:パワコン | 約18% |
| 新築の内訳:架台 | 約11% |
| 新築の内訳:その他の機器 | 約1% |
※内訳は新築の平均で、既築の内訳は資料に出ていません。割合は合計28.9万円に対する割合で、値引き(1kWあたり▲1.7万円)があるため足しても100%になりません。金額が税込か税抜かは、資料に明記がありません。
出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について」(2026年1月・調達価格等算定委員会)
パネル本体の価格(1kWあたり13.5万円・1枚あたりの目安)は太陽光パネルの価格は1kWで約13.5万円|1枚あたりの目安でご説明しています。
この30.1万円/kW(既築)・28.9万円/kW(新築)は、FIT制度の買取価格を決めるために国が集計している数字です。設置業者の広告値ではありません。
容量別に計算するとこうなります
| 容量 | 費用の目安(既築・30.1万円/kW) |
|---|---|
| 3kW | 約90万円 |
| 4kW | 約120万円 |
| 5kW | 約151万円 |
| 6kW | 約181万円 |
| 7kW | 約211万円 |
| 8kW | 約241万円 |
| 10kW | 約301万円 |
新築の場合(28.9万円/kW)は、5kWで約145万円です。
省エネ相談室が福岡県内で太陽光を設置した107件では、平均容量6.20kW・中央値5.88kWでした。平均容量で計算すると約187万円の水準です(既築の単価で計算)。
ここから補助金が引かれます。市町村別の実施状況は【2026年度】福岡県の太陽光・蓄電池の補助金を市町村別に解説をご覧ください。
注意|費用はここ数年上がっています
「太陽光は年々安くなっている」と言われますが、直近では逆です。
同じ資料では、新築の平均が2023年の28.3万円/kWから2025年は28.9万円/kWとなっており、2023年以降は「やや増加傾向」とされています。
「待てば安くなる」という前提で判断すると、読み違える可能性があります。これは蓄電池とは事情が違う点です(蓄電池は国の目標価格に向けて下がる方向。蓄電池の価格の記事でご説明しています)。
設置後にかかるお金も含めて考える

設置費用だけで判断すると、あとで想定外の出費が出ます。公的データで分かっている維持費をお伝えします。
定期点検 約3.8万円/回
同じ経済産業省の資料に、定期点検の費用は約3.8万円/回、頻度は3〜5年ごとと示されています。
20年で計算すると4〜6回、15〜23万円程度になります。
パワコン交換 約38.4万円
パワーコンディショナ(パワコン)は20年のうちに一度交換が必要という前提で国は試算しています。
| 金額 | |
|---|---|
| パワコン交換費用(5kW想定) | 38.4万円程度 |
| (前年度の同資料では) | 42.3万円 |
前年度の資料より約4万円下がりました。詳しくはパワコン交換費用の記事でご説明しています。
20年の総額で見るとこうなります
5kWのケースで、公的データを積み上げてみます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 設置費用(既築30.1万円/kW×5kW) | 約151万円 |
| 定期点検(3.8万円×5回) | 約19万円 |
| パワコン交換(1回) | 約38万円 |
| 20年の総額 | 約208万円 |
設置費用の約1.4倍が、20年間で必要になる総額です。
これを高いと感じるかは、削減できる電気代と比べて判断することになります。
いくら得になるのか|公的な参照値で計算する
自家消費の価値は27.45円/kWh
調達価格等算定委員会の資料に、自家消費分の便益は27.45円/kWhという値が示されています。太陽光で発電して自宅で使った1kWhは、買わずに済んだ電気代と同じ価値がある、という考え方です。
※27.45円/kWhは、2026年度の調達価格の算定に使う想定値(大手電力の家庭用電気料金単価の10年平均+消費税)で、各家庭の実際の単価ではありません。
もう一つ、設備利用率13.7%という値も示されています。設置容量に対して実際にどれだけ発電するかの割合です。
5kWで計算してみます
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 年間発電量 | 5kW × 8,760時間 × 13.7% | 約6,000kWh |
| うち自家消費(余剰売電比率64.8%より) | 6,000 × 35.2% | 約2,110kWh |
| 自家消費の価値 | 2,110kWh × 27.45円 | 約5.8万円/年 |
| 売電分(1〜4年目・24円/kWh) | 3,890kWh × 24円 | 約9.3万円/年 |
| 売電分(5〜10年目・8.3円/kWh) | 3,890kWh × 8.3円 | 約3.2万円/年 |
| 売電分(11年目以降・九州電力の卒FIT 7.00円/kWh) | 3,890kWh × 7.00円 | 約2.7万円/年 |
| 年間の合計メリット(1〜4年目) | 5.8万円+9.3万円 | 約15.1万円 |
| 年間の合計メリット(5〜10年目) | 5.8万円+3.2万円 | 約9.0万円 |
| 年間の合計メリット(11年目以降) | 5.8万円+2.7万円 | 約8.5万円 |
20年で約200万円。先ほどの20年の総額208万円(設置費用+点検+パワコン交換)とほぼ同じで、20年ではわずかに届きません。
余剰売電比率64.8%(自家消費率35.2%)は、2025年1〜8月の全国平均の実績です(ダブル発電〈エネファームなどとの併設〉を除く。出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について」(2026年1月・調達価格等算定委員会))。
ただし200万円は前提を置いた試算です。次の点で変わります。
- 11年目以降は売電先で変わる — この計算では九州電力の卒FIT買取7.00円/kWhを使っています(卒FITの記事)
- 自家消費率は生活パターンで変わる — 日中に在宅の方は自家消費率が上がり、有利になります
- 電気代の単価が上がれば有利、下がれば不利になります
- 設備利用率13.7%は国の想定値(実績は14.1%) — 屋根の向きと角度、周囲の影で変わります
この計算は「おおよその桁を掴む」ためのものです。ご自宅での実額は屋根を見ないと出せません。
なぜ見積の金額に幅が出るのか
同じ容量でも見積は変わります。要因は5つです。
1. 屋根の形状と面数
ここが最も大きく効きます。切妻屋根(三角形の2面)に対して、寄棟屋根(4面)だと1面あたりの設置枚数が減り、同じ容量を載せるための手間が増えます。
面が分かれるとパネルの配線も分かれ、部材も工数も増えます。
2. 屋根材と施工方法
| 屋根材 | 施工の考え方 |
|---|---|
| スレート(カラーベスト) | 穴を開けて金具を固定。防水処理が必要 |
| 金属屋根(折板・立平) | 掴み金具で固定できる場合があり、穴を開けずに済むことも |
| 瓦 | 瓦を外して支持金具を設置。手間がかかる |
屋根材によって工事費が変わります。また築年数が経っている場合、太陽光を載せる前に屋根の補修が必要になることもあります。
屋根材ごとの取り付け方や、載せられない屋根の条件は太陽光パネルを載せられる屋根は?屋根材・形状と雨漏りの注意でご説明しています。
今の家に太陽光を後から付ける場合の費用と注意点は、こちらで解説しています。
3. パネルのメーカーと出力
同じ5kWでも、1枚あたりの出力が大きいパネルなら枚数が減り、工事の手間も減ります。一方で高出力パネルは単価が上がります。
「1kWあたりいくらか」で見ると比較できます。枚数や型番だけを見ていると分かりません。
4. 電気工事の条件
分電盤の位置と空き回路、パワコンの設置場所、屋外配線の距離で変わります。パワコンを屋内に置くか屋外に置くかでも工事内容が変わります。
5. 蓄電池と同時に設置するか
ここは総額で考える必要があります。
太陽光と蓄電池を同時に入れる場合、ハイブリッド型のパワコン1台で両方を制御できるため、別々に入れるより機器代と工事費を抑えられることがあります。
逆に、太陽光だけ先に入れて数年後に蓄電池を足すと、単機能型の蓄電池を追加するか、パワコンを交換するかの選択になります。
方式の違いは蓄電池のメーカー比較でご説明しています。
省エネ相談室が価格を抑えられる理由
「安い」と書くだけでは判断材料になりませんので、構造をお伝えします。
販売から施工、アフターまで自社で一貫して行っています
太陽光の業界では販売する会社と工事をする会社が別というケースが多くあります。
| 分離している場合 | 省エネ相談室 | |
|---|---|---|
| 販売 | 販売会社 | 自社で一貫 |
| 施工 | 下請けの工事会社 | |
| アフター・メンテナンス | 別会社、または対応なし | |
| 価格への影響 | 各段階でマージンが乗る | 中間の費用が発生しない |
販売と施工が分かれていれば、その間に中間マージンが発生します。省エネ相談室は販売から施工、設置後のアフターケア・メンテナンスまで自社で行っているため、その分が価格に乗りません。
屋根を見て判断できることも価格に関係します
これは実務的な話です。販売担当者が施工を知らないと、見積の段階で工事の難易度を読めません。結果として「安く見積もって後から追加請求」か「不確実性を織り込んで高く見積もる」のどちらかになります。
施工まで自社なら、屋根を見た段階で工事内容を確定できます。追加費用が発生しにくいのはこの理由です。
ただし「一番安い」とは言いません
正直にお伝えします。省エネ相談室が常に最安値だとは申しません。海外製の安価なパネルを扱う会社もありますし、相見積もりの状況で他社が安いこともあります。
お伝えできるのは「中間マージンが乗らない構造なので、同じ製品・同じ工事条件なら不利にはならない」という点です。比較していただいて構いません。
見積書で確認していただきたいこと
見積書は、1kWあたりの単価(総額÷合計出力kW)、パネルとパワコンの型番と枚数、工事の内訳(足場代を含むか)、保証、シミュレーションの前提を確かめると比べやすくなります。「太陽光発電設置工事 一式」だけの見積書では比較できません。確かめ方はこちらで詳しく解説しています。
→ 太陽光の見積もりの見方|単価・内訳・シミュレーションの確認点
業者選びで確認できることは福岡で太陽光・蓄電池の業者を選ぶ前に確認できる6つのことにまとめています。
よくある質問
太陽光発電の設置費用はいくらくらいですか?
経済産業省の資料では1kWあたり30.1万円(今ある家に設置した場合の平均)です(新築は28.9万円)。5kWなら約151万円が出発点で、ここから補助金が引かれます。ただし屋根の形状・屋根材・電気工事の条件で変わるため、現地を確認したうえでお見積りします。
1kWあたりの単価はどのくらいが妥当ですか?
公的な平均が30.1万円/kW(既築)・28.9万円/kW(新築)です。これを目安に、見積総額÷合計出力(kW)で計算して比べてください。大きく安い場合は保証の内容と足場代の有無、大きく高い場合は屋根の条件を確認する価値があります。
太陽光は年々安くなっているのですか?
直近ではやや上がっています。経済産業省の資料では、新築の平均が2023年の28.3万円/kWから2025年は28.9万円/kWで、2023年以降は「やや増加傾向」とされています。長期的には下がってきましたが、「待てば安くなる」という前提で判断すると読み違える可能性があります。
何年で元が取れますか?
公的な参照値(自家消費27.45円/kWh、設備利用率13.7%)で5kWを試算すると、年間のメリットは1〜4年目が約15.1万円、5〜10年目が約9.0万円、11年目以降が約8.5万円です(自家消費率35.2%の場合)。設置費約151万円だけなら約15年で届きますが、点検とパワコン交換の費用を毎年ならして差し引くと約22年です。自家消費率が高いご家庭のほうが有利になります。詳しい計算は太陽光発電は何年で元が取れる?をご覧ください。
維持費はどのくらいかかりますか?
公的データでは定期点検が約3.8万円/回(3〜5年ごと)、パワコン交換が約38.4万円(20年で一度)です。20年の総額で約57万円、設置費用と合わせて約208万円(5kWの場合)が目安になります。
蓄電池も同時に入れたほうが安いですか?
総額では有利になるケースが多いです。ハイブリッド型のパワコン1台で太陽光と蓄電池の両方を制御できるため、別々に入れるよりも機器代と工事費を抑えられます。ただし初期費用の総額は当然大きくなるため、ご予算と合わせて判断することになります。
具体的な金額を知りたいのですが
現地を確認したうえでお見積りをお出しします。屋根の形状・屋根材・方位・築年数、分電盤の状況を確認すると工事内容が確定します。他社の見積書をお持ちいただいても構いません。無理な勧誘はいたしません。
費用以外の注意点もあわせて
金額のほかにも、判断の前に知っておいたほうがよい点があります。
発電量が屋根の条件に左右されること、FIT終了後に売電単価が下がること、屋根に穴を開ける工事があること。これらを太陽光発電のデメリット6つを金額で解説にまとめました。メリットも同じ基準で数字を並べています。
太陽光と蓄電池を両方入れる場合の総額
両方をご検討の場合は、合わせた総額で見ておくほうが判断しやすくなります。
公的単価と福岡県内の併用90件の平均構成(太陽光6.11kW+蓄電池9.84kWh)で計算した目安を太陽光発電と蓄電池をセットで導入する完全ガイド|福岡の施工事例133件のうち併用90件と費用相場に掲載しています。
費用が分かったら、回収年数も
設置費用と維持費が見えたら、それを何年で回収できるかが次の判断材料になります。
2026年度のFIT単価(24円→8.3円の二段階)を織り込んだ試算を太陽光発電は何年で元が取れる?にまとめました。自家消費率35.2%(全国平均)なら22年、70%なら14年と幅が出ます。
ご相談はお気軽に
この記事の金額は公的データからの目安です。ご自宅での実額は屋根を見ないとお出しできません。
省エネ相談室では屋根に載る容量を確定し、補助金を引いた後の実質負担額までお出しします。「今は入れないほうがよい」という結論になればそうお伝えします。
まとめ|1kWあたりで見れば比較できます
- 公的な平均は30.1万円/kW(既築)・28.9万円/kW(新築)(経済産業省 調達価格等算定委員会・2026年1月)
- 新築の内訳はパネル約47%・工事費約29%
- 5kWなら約151万円(既築)が出発点。ここから補助金が引かれる
- 直近では費用はやや上がっている(2023年以降「やや増加傾向」)。待てば安くなるとは限らない
- 維持費は定期点検3.8万円/回+パワコン交換38.4万円。20年の総額は約208万円(5kW)
- 年間メリットは1〜4年目約15.1万円・5〜10年目約9.0万円・11年目以降約8.5万円(公的参照値での試算。20年で約200万円)
- 金額の幅は屋根の形状・屋根材・パネル・電気工事・蓄電池同時設置の5要素
- 省エネ相談室は販売から施工、アフターまで自社一貫。中間マージンが乗らない構造
- 見積書は「総額÷kW」で単価を計算し、足場代と保証を確認する
総額だけを並べても比較はできません。1kWあたりの単価に直して、保証と工事内容をセットで見ることが判断の近道です。迷われたら見積書をお持ちください。一緒に確認いたします。