「太陽光の売電価格はいくらですか」というご質問を、相談の場でよくいただきます。
2026年度に設置する場合は、1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです。10年間ずっと同じ単価だった従来の制度とは、構造が変わりました。
この記事では、2012年度から2027年度までの売電価格を年度別にすべて並べ、いま設置すると売電収入が年いくらになるかを、施工事例として掲載している福岡県内107件の平均で計算します。
数値はすべて資源エネルギー庁と九州電力の公表値です。省エネ相談室は太陽光を販売している会社ですが、都合のいい前提は置きません。
目次
結論|2026年度は24円と8.3円の二段階

住宅用(10kW未満)の売電価格
| 期間 | 買取単価 |
|---|---|
| 1〜4年目 | 24円/kWh |
| 5〜10年目 | 8.3円/kWh |
| 買取期間 | 10年間 |
出典:資源エネルギー庁 買取価格・期間等|FIT・FIP制度
前半4年は高く、5年目から3分の1になります。これは「初期投資支援スキーム」と呼ばれる仕組みで、設置費用の回収を前半に寄せる設計です。
なお2027年度も同じ24円/8.3円で決定済みです。急いで今年度中に契約する理由は、この単価に関してはありません。
10kW未満の価格は税込です
住宅用(10kW未満)の単価に消費税は加算されません。表示されている24円がそのまま受け取る額です。10kW以上の産業用は「+税」の表記になります。
【注意】二段階になったのは2026年度からではありません
ここは誤解が多いところです。二段階の単価が始まったのは2025年10月からです。
| 認定を受けた時期 | 買取単価 |
|---|---|
| 2025年度の4月〜9月 | 15円/kWh(10年間) |
| 2025年度の10月〜3月 | 24円(〜4年)/8.3円(5〜10年) |
| 2026年度 | 24円(〜4年)/8.3円(5〜10年) |
| 2027年度 | 24円(〜4年)/8.3円(5〜10年) |
同じ2025年度でも、前半と後半で制度がまったく違います。2025年の前半に認定を受けた方は、10年間15円で固定されています。
ご自宅がどちらに当たるかは、認定を受けた時期で決まります。判断に迷う場合は、電力会社との受給契約書をご確認ください。
太陽光の売電価格の推移(2012〜2027年度)

年度別の一覧
住宅用(10kW未満)の調達価格です。2015〜2019年度は、地域によって単価が2つに分かれています。
| 年度 | 出力制御対応機器 設置義務なし | 出力制御対応機器 設置義務あり |
|---|---|---|
| 2012年度(平成24) | 42円 | |
| 2013年度(平成25) | 38円 | |
| 2014年度(平成26) | 37円 | |
| 2015年度(平成27) | 33円 | 35円 |
| 2016年度(平成28) | 31円 | 33円 |
| 2017年度(平成29) | 28円 | 30円 |
| 2018年度 | 26円 | 28円 |
| 2019年度 | 24円 | 26円 |
| 2020年度 | 21円 | |
| 2021年度 | 19円 | |
| 2022年度 | 17円 | |
| 2023年度 | 16円 | |
| 2024年度 | 16円 | |
| 2025年度(4〜9月) | 15円 | |
| 2025年度(10〜3月) | 24円(〜4年)/8.3円(5〜10年) | |
| 2026年度 | 24円(〜4年)/8.3円(5〜10年) | |
| 2027年度 | 24円(〜4年)/8.3円(5〜10年) | |
出典:資源エネルギー庁 過去の買取価格・期間等/買取期間はいずれも10年間。ダブル発電(エネファーム等との併設)は別単価
福岡の方へ|2015〜2019年度は「設置義務あり」の単価です

ここは全国向けの記事では省かれがちですが、福岡にお住まいの方には関係があります。
資源エネルギー庁の資料には、こう明記されています。
北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の供給区域において、出力制御対応機器の設置が義務付けられます。
九州電力の供給区域は「設置義務あり」に該当します。つまり福岡で2015〜2019年度に設置された方は、表の右列(35円・33円・30円・28円・26円)が適用されている可能性が高くなります。
全国のポータルサイトでは左列の数値(33円・31円・28円…)だけが載っていることがあり、ご自宅の実際の単価と食い違って見える原因になります。
確実な確認方法は、電力会社との受給契約書を見ることです。単価が書かれています。
なぜここまで下がったのか
売電価格は、太陽光の設置費用が下がるのに合わせて引き下げられてきました。制度の目的が「普及の後押し」だからです。
2012年度の42円は、当時の設置費用が高かったことの裏返しでもあります。現在の設置費用は1kWあたり30.1万円(2025年設置・今ある家の平均。新築は28.9万円)まで下がっています(太陽光発電の設置費用は1kW30.1万円)。
単価だけを昔と比べても、有利・不利は判断できません。費用と単価の両方が下がっているためです。
いま設置すると、売電収入は年いくらか
施工事例107件の平均容量6.20kWで計算します
省エネ相談室が施工事例として掲載している福岡県内の太陽光107件の平均容量は6.20kW(中央値5.88kW)でした。この容量で計算します。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 年間発電量 | 6.20kW × 8,760時間 × 13.7% | 約7,441kWh |
| 自家消費分 | 7,441kWh × 35.2% | 約2,619kWh |
| 売電分 | 7,441kWh × 64.8% | 約4,822kWh |
設備利用率13.7%は経済産業省の2026年度の想定値、余剰売電比率64.8%(自家消費率35.2%)は2025年1〜8月の全国平均の実績です(ダブル発電〈エネファームなどとの併設〉を除く)。
出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について」(2026年1月・調達価格等算定委員会)
売電収入の目安
| 期間 | 単価 | 年間の売電収入 |
|---|---|---|
| 1〜4年目 | 24円 | 約11.6万円 |
| 5〜10年目 | 8.3円 | 約4.0万円 |
| 11年目以降(卒FIT) | 7.00円 | 約3.4万円 |
10年間の売電収入の合計は約70万円です。(11.6万円×4年+4.0万円×6年)
容量別・月あたりいくらになるか
「月にいくら入るのか」で見たほうが実感しやすい方も多いと思います。同じ条件(設備利用率13.7%・自家消費率35.2%)で容量別に計算しました。
| 容量 | 年間発電量 | 売電量 | 1〜4年目 (月あたり) | 5〜10年目 (月あたり) |
|---|---|---|---|---|
| 4kW | 4,800kWh | 3,111kWh | 約6,200円 | 約2,200円 |
| 5kW | 6,001kWh | 3,888kWh | 約7,800円 | 約2,700円 |
| 6kW | 7,201kWh | 4,666kWh | 約9,300円 | 約3,200円 |
| 6.20kW(施工事例107件の平均) | 7,441kWh | 4,822kWh | 約9,600円 | 約3,300円 |
| 7kW | 8,401kWh | 5,444kWh | 約10,900円 | 約3,800円 |
| 8kW | 9,601kWh | 6,221kWh | 約12,400円 | 約4,300円 |
5年目に、月あたりの売電収入は3分の1になります。ここを織り込まずに家計の計画を立てると、5年目で見込みが崩れます。
2012年度に設置した場合との比較

同じ4,822kWhを売電した場合、42円だった2012年度なら年間約20.3万円、10年で約203万円でした。
現在は10年で約70万円。およそ3分の1です。
これが「売電で儲ける時代は終わった」と言われる理由です。ただし前述のとおり、設置費用も同時に下がっています。回収年数で見た比較は太陽光発電は何年で元が取れる?で計算しています。
「買取価格」で検索された方へ|2つの意味があります
「太陽光 買取価格」という言葉は、状況によって指すものが変わります。
| お立場 | 意味する価格 | 決め方 |
|---|---|---|
| これから設置する | FITの調達価格 | 国が年度ごとに決める。どの電力会社に売っても同額 |
| FIT期間が終わった(卒FIT) | 卒FIT後の買取単価 | 買取事業者が自由に決める。会社ごとに違う |
これから設置する方が売電先を比較する必要はありません。FIT期間中の単価は国が決めた額なので、どこに売っても同じです。
比較する意味があるのは、FIT期間の10年が終わったあとです。
11年目以降は7.00円になります
FIT期間の10年が終わると、売電単価は大きく下がります。九州電力の卒FIT買取単価は7.00円/kWhです。
手続きは不要で、期間満了後は自動でこの単価に移行します。他社へ変更することもできますが、単価差の理由と確認手順は九州電力の卒FIT買取は7円/kWhで整理しています。
卒FIT後にどう判断するかは卒FITとは?11年目以降の売電価格と蓄電池を入れるべきかの判断基準をご覧ください。
売電価格より、いまは自家消費の金額が大きい

ここが2026年度の制度でいちばん重要な点です。
| 電気1kWhの価値 | 金額 |
|---|---|
| 売電(5〜10年目) | 8.3円 |
| 売電(11年目以降・九電) | 7.00円 |
| 自宅で使う(買わずに済ませる) | 27.45円 |
自家消費の27.45円は、大手電力の直近10年(2014〜2023年度)の家庭用電気料金単価の平均に消費税を加えた額です(経済産業省)。2026年度の調達価格の算定に使う想定値で、各家庭の実際の単価ではありません。
5年目からは、売るより自宅で使うほうが3倍以上の価値になります。
売電価格が下がったことは事実ですが、それは「太陽光が不利になった」という意味ではありません。評価の軸が、売電収入から電気代の削減額に移ったということです。
この構造が、蓄電池を検討する方が増えている理由でもあります(太陽光発電と蓄電池をセットで導入する完全ガイド)。
よくあるご質問
売電価格は今後上がりますか?
2027年度までは24円/8.3円で決まっています。それ以降は未定です。長期的には設置費用の低下に合わせて下がる傾向が続いてきましたが、断定はできません。
2026年度に設置すれば、24円が10年続きますか?
いいえ。24円は1〜4年目だけです。5年目からは8.3円になります。ここを勘違いしたまま試算すると、収入を大きく見誤ります。
設置したあとに単価が変わることはありますか?
ありません。認定を受けた年度の単価が、買取期間の10年間そのまま適用されます。翌年度に単価が下がっても影響を受けません。
売電する電力会社は選べますか?
FIT期間中は、どこに売っても単価は同じです。国が決めた額だからです。卒FIT後は事業者ごとに単価が異なるため、そこで比較する意味が出てきます。
急いで契約したほうがいいですか?
売電価格だけを理由にすれば、その必要はありません。2027年度まで同じ単価です。「今年度中に契約しないと単価が下がる」という説明を受けた場合は、根拠をご確認ください。
自分の家だと売電収入はいくらになりますか?
屋根の条件と電気の使い方で変わります。この記事の数値は容量6.20kW・自家消費率35.2%(全国平均)での計算です。日中の在宅時間が長いご家庭では売電分が減り、そのぶん電気代の削減額が増えます。
売電はいつから始まりますか?
電力会社の電線につないで、電気を供給し始めた時点からです。資源エネルギー庁のガイドブックでは、10年の買取期間は、この電力の供給を始めたときから数えるとされています。一方、買取の単価は、国の認定を受けた時点で決まります。契約から売電が始まるまでの流れと期間は、太陽光の申請は何をする?国の認定と電力会社への手続きにまとめています。
ご自宅の条件で計算します
売電価格そのものは全国共通ですが、受け取る金額はご自宅の条件で変わります。
省エネ相談室では次のところまでお出しします。
- 屋根に載る容量(方位・角度・影を確認)
- その容量での年間発電量と売電量
- 1〜4年目・5〜10年目・11年目以降に分けた収入の目安
- 電気代の削減額を含めた総額
すでに設置済みで「自分の単価が何円か分からない」という方のご相談も承ります。検針票と受給契約書をお持ちいただければ確認できます。
まとめ
- 2026年度の売電価格は24円(1〜4年目)/8.3円(5〜10年目)。買取期間は10年
- 2027年度も同額で決定済み。単価を理由に急ぐ必要はない
- 二段階になったのは2025年10月から。2025年度の前半は15円で10年固定
- 2012年度は42円。現在までに単価は大きく下がったが、設置費用も下がっている
- 福岡(九州電力エリア)は2015〜2019年度に「設置義務あり」の高いほうの単価が適用
- 6.20kWの売電収入は10年で約70万円(2012年度なら約203万円)
- 11年目以降は九州電力で7.00円
- 5年目からは売電8.3円より自家消費27.45円が3倍以上の価値になる
売電価格は年々下がってきました。ただ、それだけで太陽光の損得は決まりません。
いまの制度では、発電した電気をどれだけ自宅で使えるかが金額を左右します。ご自宅の条件で計算すると、数字はかなり変わります。