新着情報

News
太陽光パネルの撤去・廃棄費用はいくら?住宅用は積立制度の対象外です
太陽光パネルの撤去・廃棄費用はいくら?住宅用は積立制度の対象外です

「いつか外すとき、いくらかかるんですか」

設置のご相談をいただく場で、最近このご質問が増えました。「撤去にお金がかかるから太陽光はやめたほうがいい」という話を、どこかで見聞きされた方が多いようです。

結論から申し上げると、国の調査でパネルと架台の廃棄費用は1kWあたり0.57万円(5,700円)、中央値とされています。6.20kWなら約3.5万円です。6.20kWというのは、省エネ相談室が施工事例として掲載している福岡県内の太陽光107件の平均容量です。

ただし、これは「捨てる料金」だけの金額です。屋根から外す工事、足場、運び出しは別にかかります。ここを混ぜて語ると話が合わなくなります。

そしてもうひとつ、住宅用の方にお伝えしたい事実があります。「太陽光パネルの廃棄費用が積立で義務化された」という話は、10kW以上の事業用が対象です。ご自宅の太陽光(10kW未満)は制度の対象外です。

この記事では、公的なデータで分かる部分と、見積書で確認するしかない部分を分けてご説明します。

結論|費用は3つに分けて考える

撤去費用の3区分。取り外し工事と運搬は現地条件、廃棄処分だけが1kWあたり0.57万円という公的データを持つ

「撤去」と「廃棄」は別のお金です

区分内容公的なデータ
① 取り外し工事屋根に登るための足場、パネルと架台の取り外し、屋根の穴の処理、配線の切り離しなし(現地条件で決まる)
② 運搬取り外したパネルを処理施設まで運ぶなし(距離と量で決まる)
③ 廃棄処分パネルと架台を産業廃棄物として処理する1kWあたり0.57万円(中央値)

公的な数字があるのは③だけです。「太陽光の撤去費用は◯万円」と一つの数字で書かれている記事は、この3つを足したうえで、どこかの現場の条件を当てはめています。

容量別の廃棄処分費(③のみ)

容量別の廃棄処分費。3kWで約1.7万円、6.20kWで約3.5万円、9kWで約5.1万円
容量廃棄処分費の目安
3kW約1.7万円
4kW約2.3万円
5kW約2.9万円
6kW約3.4万円
6.20kW(施工事例107件の平均)約3.5万円
7kW約4.0万円
8kW約4.6万円
9kW約5.1万円

1kWあたり0.57万円で計算した数字です。取り外し工事と運搬は入っていません。

1枚あたりにすると

パネル1枚あたりの目安は、1kWあたりの金額に1枚の出力をかけて計算できます。上の0.57万円/kW(パネルと架台の廃棄費用)で計算すると、次のとおりです。

1枚の出力1枚あたりの廃棄処分費の目安
250W約1,400円
400W約2,300円
440W約2,500円

あわせて、環境省が太陽光パネルのリサイクルを行っている中間処理業者(9事業者)に行った調査では、リサイクル費用(解体撤去と収集運搬を除く)は1kWあたり8,000円〜12,000円に分布している、とされています(一般的なパネルを1枚250W・20kgと仮定)。1枚250Wなら約2,000円〜3,000円です。同じ資料では、埋立処分の費用は1kWあたり2,000円程度からとされていて、リサイクル費用との差はまだ大きいとされています。

上の0.57万円/kWは資源エネルギー庁が発電事業者に行ったアンケート、こちらは環境省が処理業者に行った調査で、調べた相手と範囲が違います。環境省の資料でリサイクル費用から除くと明記されているのは解体撤去と収集運搬で、埋立処分の費用に何が含まれるかは書かれていません。足場や取り外し工事を含めた実際の金額は、見積もりで確かめてください。

出典:環境省「太陽光パネルのリサイクル制度について」(太陽光発電設備リサイクル制度小委員会〈第10回〉資料1・2026年1月23日)

住宅用は「廃棄等費用積立制度」の対象外です

廃棄等費用積立制度の対象は事業用10kW以上のみ。住宅用10kW未満は対象外

制度の対象は10kW以上の事業用だけ

太陽光発電の廃棄費用を積み立てる制度があります。「義務化」という言葉で紹介されることが多い制度で、対象となる設備では2022年7月1日から積立てが始まっています。

ただし対象は限られています。資源エネルギー庁の廃棄等費用積立ガイドラインには、こう書かれています。

FIT制度では、適正処理を促すという観点も踏まえ、事業用太陽光発電(10kW以上)については、制度創設以来、廃棄等に必要な費用(以下「廃棄等費用」という。)を想定した上で、その廃棄等費用を織り込んで調達価格を決定してきた。

ご自宅の屋根に載っている太陽光は、ほとんどが10kW未満です。制度の対象ではありません。

事業用(10kW以上)住宅用(10kW未満)
積立制度対象(2012年以降のFIT認定案件すべて)対象外
積立の方法売電収入から源泉徴収的に外部積立—
積立額(2026年度認定)0.60〜1.12円/kWh(設置形態で異なる)—

対象外であることの、いい面と注意する面

いい面は、売電収入から自動で引かれるお金がないことです。事業用の方は、売電単価から積立分を差し引かれた額しか受け取れません。住宅用にはこれがありません。

注意する面は、公的に用意された仕組みもないということです。いつか外すときの費用は、ご自身で用意することになります。義務ではありませんが、頭に入れておく必要はあります。

「義務化されたから積立をしなければいけない」と不安になっている方には、まず対象外であることをお伝えしています。

公的データで分かること

国の調査による廃棄費用

国の調査による廃棄等費用の中央値。パネル+架台0.57万円/kW、スクリュー基礎1.0万円/kW、コンクリート基礎1.4万円/kW

資源エネルギー庁が発電事業者に行ったアンケート調査の結果です。

区分廃棄等費用(中央値)設置形態
パネル+架台(基礎を除く)0.57万円/kW住宅用に最も近い
標準的な設備(スクリュー基礎)約1.0万円/kW地上設置
標準的な設備(コンクリート基礎)約1.4万円/kW地上設置

屋根に設置する住宅用にはコンクリート基礎がありません。そのため基礎を除いた0.57万円/kWが、住宅用に最も近い参照値になります。

この数字には、国自身が注意書きをつけています

同じ資料に、こう書かれています。

太陽光パネルの処理実績が乏しい中での調査結果であることには留意が必要

つまり「まだ実際に捨てられた数が少ない段階の調査」です。今後の処理技術やリユースの広がりで変わる可能性があります。この記事の数字も、確定した相場ではなく現時点の参照値として受け取っていただくのが正確です。

国が想定してきた廃棄費用は下がっています

調達価格の算定で想定してきた廃棄等費用。2012年度1.7万円/kWから2019年度1.0万円/kWへ低下
年度調達価格の算定で想定していた廃棄等費用
2012年度(最も高い)1.7万円/kW 相当
2019年度(最も低い)1.0万円/kW 相当

設置費用そのものが下がってきたため、その5%として計算される廃棄費用も下がってきました。

「資本費の5%」という目安について

FIT制度では、廃棄等費用として設置費用(資本費)の5%が必要になる前提で、売電価格が決められています。事業計画策定ガイドラインでも、5%以上を積み立てる目安が示されています。

ただしこれは10kW以上の案件が対象です。住宅用(10kW未満)の売電価格の算定には、廃棄費用の項目そのものがありません。

参考として、事業用の目安を住宅用に当てはめるとこうなります。

前提1kWあたり6.20kWの場合
2026年度の想定値 25.5万円/kW の5%約1.3万円約7.9万円
2025年設置の実績平均 28.9万円/kW の5%約1.4万円約9.0万円

この表は「事業用の考え方を借りた試算」です。住宅用に公的に定められた目安ではありません。そのうえで、先の廃棄処分費(約3.5万円)との差額が、取り外し工事と運搬にあたる部分だと考えると、おおよその全体像がつかめます。

なぜ見積の金額は公的データより高くなるのか

図面を見ながら現地の条件を確認する作業員

実際にお見積りを取ると、公的な調査値より高い金額になります。理由は工事の側にあります。

1. 足場

屋根に登ってパネルを外すには足場が必要です。家の形と高さで金額が変わります。2階建てで周囲に十分なスペースがあるか、隣家との距離が近いかで条件が変わります。

2. 屋根の穴の処理

パネルを固定していた金具を外すと、屋根に穴が残ります。ここを処理しなければ雨漏りになります。屋根材の種類(スレート、瓦、金属屋根)で作業内容が変わります。

3. 屋根そのものの状態

設置から20年以上たっていれば、屋根材も寿命を迎えている場合があります。パネルを外すタイミングで屋根の葺き替えをするかどうかで、総額は大きく変わります。

4. 運搬距離と処理施設

パネルは産業廃棄物として処理します。受け入れ先の施設までの距離と、その施設の受入単価で変わります。

5. パネルの枚数と重さ

同じ容量でも、古いパネルは1枚あたりの出力が低いため枚数が多くなります。枚数が多ければ取り外しの手間も運搬量も増えます。

そもそも、外す前に考えられること

発電しているなら、続けるほうが得な場合があります

「FITの10年が終わったから外す」と考える方がいらっしゃいますが、パネルは10年で止まるものではありません。省エネ相談室が取り扱う太陽光パネル23型番の出力保証は、次のとおりです。

出力保証型番数
35年4型番
30年15型番
25年1型番
20年3型番

保証年数の詳しい内訳は太陽光パネルの寿命は何年?耐用年数17年との違いと取扱22型番の保証を解説にまとめています。

発電が続いているなら、その電気を自宅で使う価値のほうが大きいことがあります。九州電力の卒FIT買取は7.00円/kWhですが、電気を買う単価は25〜35円です。自分で使えば、その差が浮きます。

詳しくは卒FITとは?11年目以降の売電価格と蓄電池を入れるべきかの判断基準と九州電力の卒FIT買取は7円/kWhをご覧ください。

パワコンの交換で、あと10年使えることもあります

止まった原因がパネルではなくパワーコンディショナである場合があります。パワコンの寿命は10〜15年で、パネルより先に来ます。撤去の見積を取る前に、どこが止まっているのかを確認したほうが早いです。

太陽光のパワコン交換費用は何で決まる?で、判断の目安をご説明しています。

屋根の工事と一緒にやると、足場代が一度で済みます

屋根の塗装や葺き替えを予定しているなら、そのタイミングに合わせると足場代が1回分で済みます。別々に行うと、足場代を2回払うことになります。

見積書で確認していただきたいこと

見積書と電卓。撤去の見積は内訳を確認する
確認する項目なぜ見るのか
足場が別項目で入っているか最も金額が動く部分。「一式」だと比較できません
屋根の穴の処理が入っているか抜けていると、後から雨漏りの追加工事になります
廃棄処分費が容量または枚数で書かれているか公的な参照値(0.57万円/kW)と比べられます
運搬費が入っているか「処分費」に含むのか別かで、見え方が変わります
産業廃棄物の処理をどこに委託するか適正処理の確認。マニフェスト(管理票)の話ができる業者かどうか
屋根の補修や葺き替えを含むかどうか含む・含まないで総額が大きく変わります

金額の安さより先に、この6つが書かれているかを見ていただきたいです。書かれていない見積書は、比べようがありません。

よくある質問

太陽光パネルの撤去は義務ですか?

住宅用(10kW未満)に撤去の義務はありません。廃棄等費用積立制度の対象も10kW以上の事業用です。ただし、建物を解体する場合や屋根を葺き替える場合には、結果として撤去が必要になります。

廃棄費用はいくらですか?

パネルと架台の処分費だけなら、国の調査による中央値で1kWあたり0.57万円です。6.20kWで約3.5万円になります。これに取り外し工事と運搬が加わります。総額は屋根の形状・高さ・屋根材で変わるため、現地を見ないと出せません。

パネルは普通のごみに出せますか?

出せません。産業廃棄物として処理します。処理を委託する業者が適正に処理できるか、確認が必要です。

撤去に補助金はありますか?

住宅用の太陽光の撤去に対する補助金は、福岡県内では確認できていません。設置に対する補助金は市町村ごとにあります。【2026年度】福岡県の太陽光・蓄電池の補助金を市町村別に解説をご覧ください。

10年で外したほうがいいと言われました

その根拠を確認してください。パネルの出力保証は20〜35年です。発電が続いているなら、自宅で使うほうが得になる場合があります。設置から10年で撤去を勧める業者には、理由を聞いていただきたいです。

屋根の葺き替えをしたいのですが、パネルはどうなりますか?

いったん外して、工事後に載せ直すことができます。載せ直す場合は撤去費用ではなく脱着費用になります。この場合も足場は1回で済みます。

撤去費用が心配で設置を迷っている方へ

「いつか外す費用がかかるから太陽光はやめたほうがいい」という判断は、金額を並べてから決めていただきたいです。

公的な参照値でみると、6.20kWの廃棄処分費は約3.5万円です。事業用の目安を借りた試算でも、取り外しを含めて約8〜9万円という水準になります。20年以上使ったあとの金額です。

一方で、その20年で自宅の電気代がどれだけ減るのかは、太陽光発電は何年で元が取れる?で計算しています。並べて見ていただくのが確実です。

デメリットを金額で整理したものは太陽光発電のデメリット6つを金額で解説にまとめています。

太陽光と蓄電池をセットで考えるところから知りたい方は、太陽光発電と蓄電池をセットで導入する完全ガイド|福岡の施工事例133件のうち併用90件と費用相場をご覧ください。

ご相談はお気軽に

太陽光の撤去について相談するご夫婦

省エネ相談室は、販売から施工、アフターまで自社で行っています。設置のご相談だけでなく、他社で設置された設備の撤去や、どこが止まっているのかの確認もお受けしています。

「外すべきか、続けるべきか」の判断からご相談いただけます。設置年、パネルのメーカー、パワコンの型番が分かるものをお持ちいただくと、その日のうちに方向性までお出しできます。

無料相談・お見積りはこちら

まとめ

  • 費用は「取り外し工事」「運搬」「廃棄処分」の3つに分かれる。公的な数字があるのは廃棄処分だけ
  • パネル+架台の廃棄費用は1kWあたり0.57万円(国の調査・中央値)。6.20kWで約3.5万円
  • 住宅用(10kW未満)は廃棄等費用積立制度の対象外。「義務化」の話は10kW以上の事業用
  • 「資本費の5%」も事業用の目安。住宅用に当てはめた試算は参考値として扱う
  • 国の調査値には「処理実績が乏しい中での結果」という注意書きがついている
  • 見積が公的値より高くなるのは、足場・屋根の穴の処理・屋根の状態・運搬距離・枚数のため
  • 外す前に、パワコンの交換で続けられないかを確認する。パネルの出力保証は20〜35年
  • 屋根工事と同時なら足場代が1回で済む
  • 見積書は金額より先に、足場・屋根の穴の処理・処分費の単位・運搬費・委託先・屋根補修の6点が書かれているかを見る

撤去の費用は、パネルそのものよりも屋根と足場の条件で決まります。だからこそ、一つの数字では答えられません。

公的なデータで分かる部分は、この記事のとおりお見せしました。残りは現地を見て、内訳の分かる見積でお示しします。

お電話でのお問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

メールでのお問い合わせ