「市から委託を受けて、太陽光パネルの無料点検に来ました」「法律で点検が義務化されました」。こうした訪問や電話をきっかけに、不要な工事や高額な契約に誘われる点検商法について、自治体が注意を呼びかけています。
先に、自治体が公表していることをまとめます。
- 鳥取県境港市は「境港市では業者に太陽光パネルの点検業務などの委託は一切行っていません」としています。県が消費者庁に確認したところ、業者に委託して同じような調査をしている事実はない、とのことです
- 三重県伊勢市は「政府機関が民間業者に、無料点検を依頼している事実はありません!」としています。あわせて、「家庭用太陽光発電装置に点検結果の報告義務はありません!」「経済産業省資源エネルギー庁も『違反事項通知書』という文書は出していません!」とも呼びかけています
点検そのものは、太陽光を長く安全に使うために大切です。ただ、点検は、突然来た業者ではなく、自分で選んだ会社に頼むものです。この記事では、点検商法の手口、本来の点検の頻度と費用、訪問されたときの対応をまとめます。

目次
太陽光の点検商法とは
無料点検を入口に、不要な工事や高額な契約へ誘う
伊勢市は、点検商法を「無料点検」を入口にして、不要な工事や高額な契約に誘う手口として注意を呼びかけています。「無料で点検します」という訪問や電話は、無料点検をかたる訪問販売や点検商法の可能性がある、としています。
太陽光発電・家庭用蓄電池については、伊勢市は次の相談事例を紹介しています(要旨)。
- 「太陽光発電装置の点検が義務化された。」「太陽光パネルの点検を無料で行う。」と訪問や勧誘の電話があり、無料点検のあとに、パワーコンディショナの交換や蓄電池の購入の契約をさせられる
自治体が公表している訪問・電話の言い方
| 言われたこと | 自治体の公表 |
|---|---|
| 「市の委託を受けて、ご家庭の太陽光発電パネルの点検を行っている」(勧誘電話)/消費者庁から委託を受けたと言う訪問 | 境港市:「消費者庁や鳥取県、境港市では、太陽光発電設備の点検業務について、外部業者に委託や依頼は行っていません」 |
| 「2017年4月に施行された改正FIT法により、10kW未満の住宅用太陽光発電の保守点検が法令で義務化された」「定期的な点検が必須」 | 境港市(鳥取県への相談事例):こう迫られ、その場で点検の予約を入れてしまった相談 |
| 「最近太陽光発電で火災の事例があり、政府の依頼で無料で点検をしている」「消費者庁の要請で屋根に登らせて頂き、太陽光を点検する」 | 伊勢市:「政府機関が民間業者に、無料点検を依頼している事実はありません!」 |
| (伊勢市の注意書きより)点検結果の報告を求める/「違反事項通知書」という文書 | 伊勢市:「家庭用太陽光発電装置に点検結果の報告義務はありません!」「経済産業省資源エネルギー庁も『違反事項通知書』という文書は出していません!」 |
国民生活センターも、「市から委託された」と太陽光パネルの無料点検で訪問した事業者に、うその説明で家庭用蓄電池を契約させられた相談事例を公表しています。この事例と、全国の相談の傾向は、こちらの記事で紹介しています。
「点検が義務化された」と言われたら
「義務かどうか」より先に、「誰に頼むか」を自分で決める
訪問した業者が法律の話を持ち出しても、その業者に点検を頼む理由にはなりません。点検が必要かどうか、どんな点検をいつするかは、太陽光を設置した会社やメーカーに、自分から確かめましょう。
伊勢市も「太陽光発電の保守点検は、設置した事業者に依頼するか、県内の『太陽光発電保守点検事業者』に依頼した方が安心です」と案内しています。
本来の点検は、3〜5年ごと・1回約3.8万円が目安
国の委員会の資料(2026年1月)では、太陽光発電協会へのヒアリングの結果として、住宅用の太陽光(5kWの設備を想定)は、発電量の維持や安全のために3〜5年ごとに1回程度の定期点検が推奨され、1回あたり約3.8万円が相場とされています。
点検の時期の目安(設置1年目・5年目・9年目以降は4年ごと)や、点検で見るところは、こちらで解説しています。
「無料」の点検には、点検の費用がかからない代わりに、別の契約へつなげる目的がある場合があります。点検を頼むなら、費用がかかることを前提に、自分で頼む先を選びましょう。

訪問・電話を受けたときの対応
その場でやること
- 「委託」と言われたら、その機関に自分で確かめる:市役所や県の窓口に、自分で調べた電話番号でかける(相手が渡す番号にかけない)
- 屋根に上げない:その場で点検をさせる必要はありません。点検は、設置した会社かメーカーに自分から頼みます
その場で契約しないこと、複数の会社から見積もりを取ること、契約してしまったときのクーリング・オフや相談先(消費者ホットライン「188」)は、こちらの記事にまとめています。
設置後の点検を頼むなら
点検を頼む先は、まず、太陽光を設置した会社とメーカーです。設置した会社がわからない場合は、保証書や契約書、パワーコンディショナに貼られたラベルなどで確かめましょう。
省エネ相談室では、設置後のメンテナンスとして、太陽光パネルの洗浄と点検(枯れ葉や鳥のフンの除去)、接続箱のケーブル・配線の施工状態の確認、架台のボルトのゆるみのチェックなどに取り組んでいます。点検についてのご相談も、お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
「市から委託された」と太陽光の点検に来ました。本当ですか?
自治体に自分で確かめてください。鳥取県境港市は、消費者庁・鳥取県・境港市とも太陽光発電設備の点検業務を外部業者に委託や依頼はしていないと公表しています。三重県伊勢市も、政府機関が民間業者に無料点検を依頼している事実はないとしています。
「点検は義務」と言われました。その業者に頼まないといけませんか?
いいえ。訪問した業者に頼む必要はありません。点検が必要かどうか、どんな点検をいつするかは、設置した会社やメーカーに自分から確かめましょう。
太陽光の点検は、どのくらいの頻度で、いくらかかりますか?
国の委員会の資料(太陽光発電協会へのヒアリング)では、住宅用(5kW想定)で3〜5年ごとに1回程度が推奨され、1回あたり約3.8万円が相場とされています。
無料点検で「壊れている」と言われました。どうすればいいですか?
その場で契約せず、設置した会社かメーカーに連絡して、本当に壊れているかを確かめてください。修理や交換が必要でも、複数の会社から見積もりを取って比べましょう。迷ったら「188」に相談してください。
まとめ
- 自治体の公表:境港市は、消費者庁・鳥取県・境港市とも点検業務を外部業者に委託していないとしている。伊勢市は、政府機関が民間業者に無料点検を依頼している事実はなく、家庭用の太陽光に点検結果の報告義務はないとしている
- 手口:「委託」「義務化」を持ち出して点検し、パワコン交換や蓄電池の契約へつなげる
- 本来の点検:3〜5年ごと・1回約3.8万円が目安(国の資料)。頼む先は設置した会社・メーカー
- 対応:「委託」は自分で確かめる。屋根に上げない