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太陽光パネルの設置角度は何度?福岡の最適角と屋根勾配での計算
太陽光パネルの設置角度は何度?福岡の最適角と屋根勾配での計算

太陽光パネルを付けるとき、「パネルは何度に傾けるのがいいのか」「うちの屋根の角度で大丈夫か」が気になる方は多いと思います。

結論から言うと、福岡では次のとおりです。

  • 福岡市の最適な角度は、南向きで約26度:国立研究開発法人NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の日射量データベースで、1年間の日射量がいちばん多くなる角度は26.1度。福岡県内の12地点では25.0〜28.4度
  • 住宅では、屋根の勾配(傾き)がそのままパネルの角度になるのが基本。一般的な4寸〜6寸の勾配は約22〜31度で、南向きなら最適な角度とほぼ同じ日射量になる
  • 角度より、向きのほうが差が大きい:福岡市で4寸勾配の場合、南向きを100とすると、東向き・西向きは約89、北向きは約77(10度ごとのデータから計算した目安)

この記事では、NEDOの日射量データベースと業界団体の資料をもとに、最適な角度の考え方、福岡県内の地点ごとの値、屋根の勾配から角度を計算する方法、向きと角度による日射量の違いをまとめます。

屋根の勾配(寸)と角度の関係。水平に10進んで何上がるか(寸)で角度が決まる。4寸勾配は約22度(計算値21.8度)、5寸勾配は約27度(計算値26.6度)で福岡市の最適な角度26.1度とほぼ同じ、6寸勾配は約31度(計算値31.0度)。角度=tan⁻¹(寸の数÷10)

太陽光パネルの「最適な角度」とは

1年間の日射量がいちばん多くなる角度

太陽光パネルの最適な角度(最適傾斜角)は、パネルを真南に向けたときに、1年間に受ける日射量がいちばん多くなる傾きのことです。NEDOの日射量データベース(MONSOLA-11)では、全国837地点について、この角度を地点ごとに計算しています。

太陽光発電協会の資料では、日本国内では南向き・傾斜30度前後で年間の発電量が最も多くなるとされています。そのうえで、方位が少しずれても、一般的な住宅の屋根である4寸勾配(約22度)で取り付けても、発電量はそれほど大きく落ち込まないとしています。

角度を変えると、なぜ日射量が変わるのか

太陽の高さは季節で変わるため、日射量がいちばん多くなる角度も月ごとに違います。NEDOのデータで福岡市の月ごとの最適な角度を見ると、太陽が低い12月は55.0度、太陽が高い6月は0.9度です。

1年を通して角度を固定するなら、その間をとった角度が最適になります。それが福岡市では26.1度です。

なお、NEDOのデータでは、月ごとに最適な角度へ変えた場合でも、年間の最適な角度に固定した場合と比べて、日射量は約4%多いだけです。住宅の屋根では角度を変えられないので、固定した角度で考えて問題ありません。

発電量は日射量にほぼ比例する

太陽光発電協会の資料では、太陽光発電が発電する電力量は、日射量にほぼ比例するとされています。そのため、この記事では、パネルが受ける日射量で角度や向きの違いを比べます。

ただし、パネルは表面の温度が高くなると出力が下がる性質があり、影や汚れでも発電量は下がります。実際の発電量は、日射量だけでは決まらない点に注意してください。

福岡県内の最適な角度は25〜28度

NEDOの日射量データベースには、福岡県内の12地点のデータがあります。年間の最適な角度と、その角度で南に向けたときの日射量は次のとおりです。

地点(データベースの地点名)年間の最適な角度最適な角度での日射量(1日・1㎡あたり)対応エリア
福岡(福岡市)26.1度3.94kWh福岡市
前原(糸島市)25.4度3.83kWh糸島市
太宰府(太宰府市)26.1度3.77kWh太宰府市
宗像(宗像市)25.3度3.83kWh宗像市
八幡(北九州市)25.4度3.81kWh北九州市
行橋(行橋市)27.0度3.97kWh行橋市
飯塚(飯塚市)26.3度3.84kWh飯塚市
添田(田川郡添田町)25.0度3.63kWh-
朝倉(朝倉市)27.3度3.92kWh朝倉市
久留米(久留米市)27.9度4.00kWh久留米市
黒木(八女市)27.0度3.88kWh八女市
大牟田(大牟田市)28.4度4.14kWh大牟田市

※出典:NEDO 年間月別日射量データベース(MONSOLA-11)。1981〜2009年の29年間の平均値です。日射量は、年間の最適な角度で真南に向けた面の、1日あたりの平均です

福岡県内では、最適な角度は25.0〜28.4度の範囲に収まっていて、地点による差は3度ほどです。県南の大牟田・久留米は、ほかの地点より最適な角度がやや大きく、日射量も多めです。

「緯度と同じ角度」ではない

最適な角度は、緯度に近い角度だと言われることがあります。しかし、福岡市の緯度は約33.6度ですが、NEDOのデータでの年間の最適な角度は26.1度です。最適な角度は、地点ごとの日射量のデータで確かめるのが確実です。

福岡市の月別の日射量と、容量ごとの発電量の目安は、こちらで解説しています。

→ 太陽光発電の発電量はどれくらい?容量別の目安と福岡の月別データで解説

向きと角度で、日射量はどれくらい変わる?

福岡市のデータで、パネルの向きと角度ごとの年間の日射量を、最適な条件(南向き・26.1度)を100として比べました。

角度南南東・南西東・西北
0度(水平)93939393
10度97969287
20度100979079
30度100968770
40度98948261

※NEDO MONSOLA-11(福岡)の年間の斜面日射量から計算しました。小数点以下は四捨五入しています。このデータベースは、東向きと西向きを同じ値として整備しています

福岡市の向き・角度別の日射量(南向き・26.1度を100とした比較)。0度(水平)は南・南東南西・東西・北とも93。10度は南97・南東南西96・東西92・北87。20度は南100・南東南西97・東西90・北79。30度は南100・南東南西96・東西87・北70。40度は南98・南東南西94・東西82・北61

この表から、次のことが分かります。

  • 南向きなら、角度の差は小さい:20度でも30度でも、最適な角度とほぼ同じ。10度でも97、水平でも93
  • 向きの差のほうが大きい:30度で比べると、南東・南西は96、東・西は87、北は70
  • 南以外の向きでは、角度がゆるいほうが有利:東・西向きは、10度で92、40度で82。北向きは、10度で87、40度で61

つまり、角度を気にするより先に、どの向きの屋根に載せるかを考えるほうが、発電への影響は大きいということです。

住宅の屋根では、屋根の勾配で角度が決まる

屋根の傾きなりに取り付けるのが基本

地面に架台を組んで設置する太陽光は、角度を自由に決められます。一方、住宅の傾いた屋根に載せる場合は、パネルを屋根の面に沿わせて取り付けるのが基本です。

NEDOの設計・施工ガイドラインでは、勾配のある屋根に設置する場合は、「アレイ面(設置する屋根面)の向きおよび傾斜角度」を、年間の発電量・設備のコスト・保守のしやすさを考えて設定するとしています。また、パネルの面と屋根の面の間に角度がつく場合は、それを考えたうえで、風や雪の荷重を設定するよう求めています。

住宅では、屋根の勾配が、ほぼそのままパネルの角度になると考えてください。

屋根の勾配(寸)から角度を計算する

屋根の勾配は、「4寸」「5寸」のように、水平に10進んだときに何上がるかで表すのが一般的です。たとえば4寸勾配は、水平に10進んで4上がる傾きです。

角度は、次の式で計算できます。

項目内容
計算式角度 = tan⁻¹(寸の数 ÷ 10)
例:4寸勾配tan⁻¹(4 ÷ 10)= 約21.8度
表計算ソフトの場合=DEGREES(ATAN(4/10)) と入力すると21.8が出る

よくある勾配を角度に直し、福岡市のデータで日射量を比べると、次のとおりです。

屋根の勾配角度南南東・南西東・西北
3寸約16.7度99979181
4寸約21.8度100978977
5寸約26.6度100968873
6寸約31.0度100968669
7寸約35.0度99958465

※NEDO MONSOLA-11(福岡)の10度ごとの値から、間の角度を比例で割り出した目安です。最適な条件(南向き・26.1度)を100としています

5寸勾配(約26.6度)は、福岡市の年間の最適な角度(26.1度)とほぼ同じです。南向きなら、3寸から7寸のどの勾配でも、最適な角度との差は1%ほどに収まります。

勾配の確かめ方

屋根の勾配は、新築時の設計図面に「4/10」「4寸」のような書き方で書かれていることがあります。図面がない場合は、屋根に上って測ろうとせず、施工会社の現地調査で確かめてもらいましょう。

角度を上げる架台は必要?

南向きの屋根なら、上の表のとおり、3寸勾配でも最適な角度との差は1%ほどです。屋根の上で架台を使って角度を上げても、増える日射量はわずかです。そのうえ、NEDOのガイドラインのとおり、パネルと屋根の間に角度がつくと、風や雪の荷重をそれに合わせて検討する必要があります。

住宅の勾配屋根では、屋根なりに取り付けて、載せる面と枚数で発電量を確保するのが現実的です。

なお、太陽光発電協会の資料では、一般的には4寸〜6寸程度の勾配が標準で、ゆるい勾配や急な勾配の屋根には設置できない場合があるとされています。設置できる勾配の範囲は製品によって違います。屋根材や勾配ごとの注意点は、こちらで解説しています。

→ 太陽光パネルを載せられる屋根は?屋根材・形状と雨漏りの注意

どの面に載せるか:屋根の向き別の考え方

南向きの面があれば、まずそこから

福岡市のデータでは、南向きの屋根は、一般的な勾配ならどれも最適な条件とほぼ同じ日射量です。南向きの面があれば、まずそこに載せるのが基本です。

東向き・西向きは、南向きの約9割

東向き・西向きの屋根は、4寸勾配で南向きの約89%です。南向きより少ないものの、十分に発電が見込める向きです。

切妻屋根で、屋根の面が東と西を向いている家では、2面に分けて載せると、載せられる枚数を増やせることがあります。1枚あたりの日射量は南向きより少なくても、枚数が増えれば合計の発電量は多くなる場合があります。

北向きは、勾配が急なほど不利

北向きの屋根は、4寸勾配で南向きの約77%、6寸勾配では約69%です。勾配が急なほど日射量が大きく減ります。北向きの面は日射量が大きく減るため、太陽光パネルの設置にはおすすめしません。まずは南・東・西の面にどれだけ載せられるかを考えましょう。

どの向きでも確かめたいこと

確かめること理由
影近くの建物・電柱・樹木の影がかかると、表の値より発電量が下がる
反射光NEDOのガイドラインでは、パネルの反射光が近隣の建物の住環境に影響しないことを確かめるよう求めている
屋根の端まで並べるかNEDOのガイドラインでは、屋根の端まで並べる場合は、風の荷重について特別な検討が必要になることがあるとしている

なお、NEDOのデータでは、福岡市で積雪が10cm以上になる日の割合は各月とも0.00(小数第2位まで)です。雪を滑り落とすために角度を急にする、といった検討は、福岡市ではほとんど必要ありません。

屋根の向き別の日射量の目安(福岡市・4寸勾配、南向き・26.1度を100とした比較)。南100、南東・南西97、東・西89、北77

自宅の角度で発電量を計算する手順

ご自宅の屋根で、どれくらい発電するかを見当づける手順は次のとおりです。

手順やること
1屋根の勾配(寸)を図面などで確かめ、角度に直す(4寸=約21.8度)
2載せる面の向きを確かめる(南・南東・東など)
3この記事の表で、その向き・角度の日射量の比を見る(福岡市・4寸・東向きなら約89)
4南向きで最適な角度の場合の発電量に、その比を掛ける

たとえば、南向き・最適な角度で年間1,000kWh発電する容量のパネルを、東向きの4寸勾配に載せる場合は、1,000kWh × 0.89 = 約890kWhが目安です。向きの違う2面に分けて載せる場合は、面ごとに計算して足します。

福岡市以外の地点や、この記事の表にない向き・角度は、NEDOの「日射量データベース閲覧システム」(Windowsのパソコンにダウンロードして使うソフトとデータ。NEDOの掲載ページ)で調べられます。

容量(kW)ごとの年間の発電量の目安は、こちらで計算しています。

→ 太陽光発電の発電量はどれくらい?容量別の目安と福岡の月別データで解説

ただし、この計算は日射量の比だけを使った目安です。実際の発電量は、影・気温・汚れ・パネルの配置で変わります。

省エネ相談室へのご相談

省エネ相談室の無料シミュレーションでは、屋根の向き・角度・影を確かめたうえで、屋根に載る容量と、その条件での年間の発電量をお出ししています。

「うちの屋根は東西向きだけど載せる意味はある?」「勾配がゆるいけれど大丈夫?」といったご相談も、お気軽にどうぞ。無理な営業はいたしません。

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よくある質問

太陽光パネルの最適な角度は何度ですか?

場所によって違います。NEDOの日射量データベースでは、福岡市で南向きに設置した場合の年間の最適な角度は26.1度です。福岡県内の12地点では25.0〜28.4度の範囲です。全国的には、太陽光発電協会の資料で、南向き・30度前後で年間の発電量が最も多くなるとされています。

屋根の勾配から角度はどう計算しますか?

角度 = tan⁻¹(寸の数 ÷ 10)で計算できます。3寸は約16.7度、4寸は約21.8度、5寸は約26.6度、6寸は約31.0度です。表計算ソフトでは「=DEGREES(ATAN(4/10))」のように入力すると計算できます。

屋根の勾配がゆるいと、発電量は減りますか?

南向きなら、ほとんど変わりません。福岡市のデータでは、3寸勾配(約16.7度)の南向きでも、最適な角度の約99%の日射量です。東向き・西向き・北向きの屋根では、勾配がゆるいほうがかえって有利です。ただし、勾配がゆるすぎる・急すぎる屋根には、設置できない製品もあります。

架台で角度をつけたほうがいいですか?

住宅の勾配屋根では、屋根なりに取り付けるのが基本です。南向きなら、勾配のままでも最適な角度との差は1%ほどです。パネルと屋根の間に角度をつけると、風や雪の荷重をそれに合わせて検討する必要もあります。

東向き・西向きの屋根でも、太陽光を載せる意味はありますか?

あります。福岡市のデータでは、4寸勾配の東向き・西向きは、南向きの約89%の日射量です。東と西の2面に分けて載せると、枚数を増やせる場合もあります。

まとめ

  • 福岡市の年間の最適な角度は、南向きで26.1度(NEDO)。福岡県内12地点では25.0〜28.4度
  • 住宅の勾配屋根では、屋根の勾配がほぼそのままパネルの角度になる。角度 = tan⁻¹(寸の数 ÷ 10)で計算でき、5寸(約26.6度)が福岡市の最適な角度とほぼ同じ
  • 南向きなら、3寸〜7寸のどの勾配でも、最適な角度との差は1%ほど(ただし、勾配がゆるすぎる・急すぎる屋根には設置できない製品もある)
  • 角度より向きの差のほうが大きい。4寸勾配なら、南100に対して東・西約89、北約77
  • 南以外の向きでは、勾配がゆるいほうが有利
  • 実際の発電量は影・気温・汚れでも変わる。ご自宅の屋根での発電量は、現地で向き・角度・影を確かめて計算する

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