今お使いの蓄電池が故障した、または長く使って蓄えられる量が減ってきた。そんなときに気になるのが「交換するといくらかかるのか」です。
蓄電池の交換は、新しく付けるときと同じ費用だけでは済みません。交換ならではの費用と、確かめておきたいことが加わるためです。
- 費用の中身:新しい蓄電池の代金に、今の蓄電池の撤去・処分と、今の太陽光・パワーコンディショナ(パワコン)とのつなぎ方による工事が加わる
- 保証の切れ目:保証期間内で、製品が原因の故障なら、修理の費用がかからない場合がある
- 修理か交換か:故障しているのか、容量が減っただけなのかで、選び方が変わる
- 補助金:福岡県内の市町の補助金には、「既存設備の置換」や「蓄電池だけの導入」を対象外としている制度がある
この記事では、蓄電池の交換(入れ替え)にかかる費用の中身と、交換を決める前に確かめたいことを、メーカーや国・自治体の公式資料をもとに順にまとめます。

目次
蓄電池の交換費用は3つに分けて考える
交換費用の中身
| 費用 | 中身 | 目安 |
|---|---|---|
| 新しい蓄電池 | 蓄電池・蓄電池のパワコンの機器代と工事費 | 国の資料で1kWhあたり17〜22万円(補助金を使わない場合) |
| 今の蓄電池の撤去・処分 | 取り外し、運び出し、処分 | 公的な相場は見つかりませんでした。見積もりで確かめる |
| つなぎ方による工事 | 今の太陽光のパワコンを替えるか、配線・モニターの変更があるか | 今の機器の組み合わせで変わる。見積もりで確かめる |
新しい蓄電池の価格は、国の資料(2024年11月)で、補助金を使わない場合に1kWhあたり17〜22万円(設備費15〜20万円+工事費2万円)が標準的な水準です。たとえば10kWhの蓄電池に入れ替えるなら、新しい蓄電池の分だけで約170〜220万円になります。
※蓄電池の金額は、国の資料の補助金を使わない場合の水準(1kWhあたり17〜22万円)で計算した目安です。資料には、税込か税抜かの明記がありません
容量ごとの目安と、金額に幅が出る理由は、こちらで解説しています。
→ 蓄電池の価格・費用相場|1kWh単価と容量別の目安【2026年】
交換するときに、容量を選び直す
交換は、容量を選び直す機会でもあります。設置したときと比べて、家族の人数や電気の使い方、電気自動車の有無が変わっていることがあるからです。容量が1kWh違うと、国の資料の水準で17〜22万円違います。夜に使う電気の量から容量を考える方法は、こちらで解説しています。
「何年後にいくら」は、今の時点では決められない
これから蓄電池を入れる方が「10年後・15年後の交換費用」を知りたい場合、その時点の製品の価格と工事費は今の水準からは決められません。保証の年数と中身を確かめておくことが、実際の備えになります。寿命と保証の考え方は、こちらで解説しています。
交換を決める前に:保証の切れ目を確かめる
交換を考え始めたら、最初に保証書を確かめましょう。保証期間内なら、費用をかけずに修理してもらえる場合があります。
保証期間内で、製品が原因の故障なら無償の例
たとえばニチコンは、単機能蓄電システム(16.6kWh)のよくある質問で、次のように案内しています。
- 無償保証期間内に、製品が原因で故障した場合は、無償で修理する
- 自然災害やお客様の過失による故障などは、保証の対象外(免責)
- それ以外の有償修理は、そのつど修理費用を見積もる
保証の期間と中身は、メーカーと機種で違います。お使いの機器の保証書で確かめてください。
保証書で確かめること
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| 設置した日 | 保証期間内かどうかを確かめる手がかりになる。連絡するときにも伝える |
| 機器保証の年数 | 本体が故障して動かなくなったときの保証。期間内なら保証の対象になる場合がある |
| 容量保証の有無と条件 | 蓄えられる量が減ったときの保証。「何年後に初期の何%」という条件を下回ると対象になる場合がある |
| 有償の延長保証に入っているか | 入っていれば、機器保証の年数が延びている |
| 自然災害の補償 | 加入しているか(保証書とは別の書類のことがある)。台風などの被害が対象か。地震は対象外としている例がある |
蓄電池は、故障しなくても使い続けると蓄えられる量が減っていきます。「壊れてはいないが、容量が減った」という場合は、容量保証が付いているかどうかで扱いが変わります。
連絡先は「設置した会社」が基本
ニチコンは、修理の相談は「お買い上げの販売会社」に問い合わせるよう案内しています。販売会社がわからないときは、取扱説明書に載っているサービスセンターに問い合わせる流れです。連絡するときは、設置した日、機器の型式と製造番号、故障の状況(点検コードなど)を伝えると話が早く進みます。
エラーが出たときの確かめ方と、連絡するときに伝えることは、こちらで解説しています。
→ 太陽光・蓄電池が故障したら?エラー表示の確かめ方と連絡先
修理か、交換か
省エネ相談室にアンケートをいただいたお客様1,301件(2022年〜2026年)の中にも、「長期的に使用したときに故障した場合の対応」を不安なこととして書かれた方がいました。故障したときにすぐ交換になるとは限りません。今の状態によって、考え方が変わります。
| 今の状態 | 考え方 |
|---|---|
| 保証期間内に故障した | まず設置した会社に連絡し、保証の対象になるかを確かめる |
| 保証期間が終わってから故障した | 修理の見積もりと、交換の見積もりを両方取って比べる |
| 故障はしていないが、蓄えられる量が減った | 容量保証の対象かを確かめる。停電への備えとしてなら、そのまま使い続けられる場合もある |
| 蓄電池も、太陽光のパワコンも古くなっている | 蓄電池とパワコンをまとめて替えるかを、あわせて考える |
蓄電池は、寿命が来てもある日突然使えなくなるのではなく、蓄えられる量が少しずつ減っていく形で劣化します。寿命が来たときの選択肢は「そのまま使い続ける」「本体を交換する」「撤去する」の3つです。
修理と交換を比べるときは、次の点も販売店に聞いておきましょう。
- 修理の場合、どの部品を替えるのか、修理したあとの保証はどうなるのか
- 同じ機種の修理部品が手に入るか
- 交換の場合、新しい蓄電池の保証は何年で、どの範囲か
今の太陽光・パワコンとの相性で、費用が変わる
交換の費用がいちばん変わりやすいのが、今の太陽光発電とのつなぎ方です。
今の蓄電池が「単機能型」か「ハイブリッド型」か
| 今の蓄電池 | 交換するときの考え方 |
|---|---|
| 単機能型(蓄電池専用のパワコンがあり、太陽光のパワコンは別) | 蓄電池だけを替えれば済む。太陽光は影響を受けない |
| ハイブリッド型(太陽光と蓄電池を1台のパワコンで動かす) | 太陽光と蓄電池が1台のパワコンで動いているため、交換のときに太陽光側の停止も伴う |
どちらの型かは、パワコンの台数や型番で分かります。分からないときは、保証書や取扱説明書の型番を控えて、販売店に確かめましょう。
太陽光のパワコンの年数もあわせて見る
単機能型の蓄電池を使っている場合、太陽光のパワコンは別の機器です。太陽光のパワコンも交換の時期が近いなら、蓄電池の交換にあわせてハイブリッド型にまとめる選び方もあります。
国の委員会の資料(太陽光発電協会へのヒアリング)では、パワコンは20年間で一度は交換され、38.4万円程度が一般的な相場とされています(5kWの設備を想定)。まとめて替える場合と、蓄電池だけを替える場合で、見積もりを両方取って比べると判断しやすくなります。
今の太陽光と、メーカーが違う場合
新しい蓄電池を、今の太陽光と違うメーカーにする場合は注意が要ります。京セラは、後付けについての案内で、太陽光と蓄電池のメーカーが違う場合、相性が悪いと併設できない可能性があるとしています。また、今のパワコンを外してハイブリッド型の蓄電池を付ける場合は、今の太陽光の設備の保証に影響があるか必ず確認するよう案内しています。交換の場合も、同じ点を確かめておきましょう。
契約の前に、次の2つを聞いておきましょう。
- 新しい蓄電池は、今の太陽光(メーカー・型番)とつなげられるか
- 交換したあとも、今の太陽光パネル・パワコンの保証は続くか
今ある太陽光とのつなぎ方の違いは、こちらで解説しています。
そのほかに、交換で変わりうること
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| 発電・蓄電のモニター | 機器が変わると、今のモニターが使えなくなることがある |
| 停電のときに使える範囲 | 家全体か、決めた部屋だけか。今と同じにするか、変えるかを決める |
| 置き場所 | 新しい機種の大きさや設置条件(屋内・屋外、海からの距離)が今と違うことがある |
| 国(FIT)・電力会社への手続き | 固定価格の買取を受けている太陽光につないでいる場合、手続きが要るかと、誰が行うか |
今の蓄電池の撤去・処分の費用
交換では、今の蓄電池を取り外して処分する費用がかかります。家庭用の蓄電池の撤去・処分について、公的な相場は見つかりませんでした。金額は、見積もりで別の行として書いてもらい、確かめましょう。
そのため、見積書では撤去・処分を「一式」の中に入れず、別の行で書いてもらうと比べやすくなります。
| 確かめること | 見るところ |
|---|---|
| 撤去・処分が見積もりに含まれているか | 「別途」になっていないか |
| 何を撤去するか | 蓄電池本体だけか、蓄電池のパワコン・基礎・配線も含むか |
| 処分の方法 | 誰が、どこで処分するか。メーカーの回収の仕組みを使うか |
蓄電池のメーカーの中には、使い終わった製品を回収・処理するための「広域認定」(廃棄物処理法の特例)を取っているところがあります。国のDR補助金でも、メーカー等がこの認定を蓄電池関連の製品で取っている機種は、補助額の上乗せの対象でした。新しく入れる蓄電池を選ぶときに、将来の処分の方法をあわせて聞いておくのも一つです。
なお、太陽光パネルの撤去・処分は、蓄電池とは別の費用です。パネルの撤去・廃棄の費用は、こちらで解説しています。
→ 太陽光パネルの撤去費用はいくら?住宅用は積立制度の対象外

交換で補助金は使える?
蓄電池の補助金は、「新しく入れる」ことを前提にした制度が中心です。入れ替えの場合は、対象になるかを制度ごとに確かめる必要があります。
国の補助金
国のDR補助金(家庭用蓄電システム導入支援事業)は、2026年に受け付けた分が5月29日に予算に達して終了しています。2026年分の公募要領は、補助の対象を「家庭用蓄電システムを新規で導入する事業」としており、古い蓄電池を入れ替える場合の扱いは書かれていません。次の公募が始まったら、その年の公募要領で確かめる必要があります。
2026年10月時点で受付中の「みらいエコ住宅2026事業」(リフォーム)は、窓などの断熱リフォームとあわせて行うことが条件です。国の補助金の今の状況は、こちらにまとめています。
→ 蓄電池の国の補助金|2026年のDR補助金の金額と今使える制度
福岡県内の市町の補助金
市町の制度の中には、入れ替えや蓄電池だけの導入を対象外と明記しているものがあります。各市町の公式ページの記載は次のとおりです(2026年10月29日確認)。
| 市町 | 入れ替えに関係する条件(公式ページの記載) | 交換で使えるか |
|---|---|---|
| 宗像市 | 「中古設備でなく、既存設備の置換や増設でないこと」。蓄電池は、この事業で入れる太陽光発電設備の附帯設備であることが条件 | 対象外 |
| 糸島市 | 「蓄電池だけの導入は補助対象外」 | 蓄電池だけの入れ替えは対象外 |
| 福岡市 | 未使用品で、SII(環境共創イニシアチブ。国の補助金の事務局)に令和7年度以降登録・公表されている蓄電システム。太陽光とHEMS(家庭のエネルギーを見える化する機器)の設置が条件(どちらも既設でも可。太陽光とHEMSがすでにあれば、蓄電池だけを入れる形でも条件を満たしうる) | 入れ替えを対象外とする記載は見当たらない。申請の前に市の窓口で確かめる |
| みやま市 | 未使用品。蓄電池は「新築または既設の住宅の太陽光発電システムに設置するもの」 | 入れ替えの扱いは記載がない。市の窓口で確かめる。なお、蓄電池と同時に申請する場合、そのシステムを構成するパワコン(ハイブリッド型など)は補助の対象外とされている |
| 上毛町 | 「補助金の交付は1回限り」 | 前に町の補助金を受けたかを含め、町の窓口で確かめる |
どの制度も、予算に達すると期限より前に受付が終わります。また、福岡市の制度では、補助金の交付対象決定の前に設置工事に着手すると、補助を受ける資格を失います。契約・工事の前に申請の順番を確かめるのは、交換でも同じです。
各市町の金額と申請期間は、こちらにまとめています。
→ 【2026年度】福岡県の太陽光・蓄電池補助金を市町村別に解説
前に補助金を使って付けた蓄電池を替えるとき
今の蓄電池を補助金を使って付けた場合は、交換・撤去の前に承認が要ることがあります。補助金で付けた設備には、決められた期間内に交換・廃棄などをするときのルールがあるためです。
| 制度 | 決まり |
|---|---|
| 国のDR補助金(2026年分) | 法定耐用年数(税法で決められた使用年数)の期間内に、譲渡・交換・廃棄などをするときは、事前に事務局の承認が要る |
| 福岡市(令和8年度の制度) | 蓄電池は管理期間8年・処分制限期間6年。期間内に交換・撤去するときは、あらかじめ承認申請が要る。処分制限期間中は、補助金の返還を求められる場合がある |
| 糸島市(令和8年度の制度) | 蓄電池設備は6年。期間内に交換・廃棄などをするときは、あらかじめ市長の承認が要る |
決まりは、補助金を受けた年度の制度によって違います。交付決定の通知など、補助金を受けたときの書類で確かめておきましょう。
交換の見積もりで確かめること
交換の見積もりは、次の項目がそろっているかで比べられます。
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| 新しい蓄電池 | メーカー・型番・容量(蓄電容量か、実際に使える量の実効容量か)・方式(単機能型かハイブリッド型か) |
| 1kWhあたりの価格 | 蓄電池の分を容量で割って、国の資料の水準(17〜22万円/kWh)と比べる |
| 撤去・処分 | 別の行で書かれているか。何を撤去し、どう処分するか |
| つなぎ方の工事 | 太陽光のパワコンを替えるか、配線・モニターの変更が含まれているか |
| 手続き | 国(FIT)・電力会社への手続きを誰が行い、費用が含まれているか |
| 保証 | 新しい蓄電池の機器保証・容量保証の年数。交換後の太陽光の保証が続くか |
| 補助金 | 使う制度の名前と公式ページ。申請と契約・工事の順番 |
見積書の見方と、複数の会社を比べる方法は、こちらで解説しています。
省エネ相談室へのご相談
省エネ相談室では、ご自宅の状況や電気の使い方を確かめたうえで、プランとお見積りをご案内しています。調査・お見積りは無料です。
他社の見積書をお持ちいただいても構いません。無理な営業はいたしません。
施工事例として掲載している福岡県内の蓄電池116件は、施工事例一覧でメーカーや容量とあわせてご覧いただけます。
→ 施工事例一覧
よくある質問
蓄電池の交換費用はいくらですか?
新しい蓄電池の代金に、今の蓄電池の撤去・処分と、つなぎ方による工事が加わります。新しい蓄電池は、国の資料で1kWhあたり17〜22万円(補助金を使わない場合)が標準的な水準で、10kWhなら約170〜220万円です(資料には税込か税抜かの明記がありません)。撤去・処分の公的な相場は見つからなかったため、見積もりで別の行に書いてもらって確かめてください。
蓄電池が故障したら、交換しないといけませんか?
すぐに交換になるとは限りません。保証期間内で製品が原因の故障なら、保証の対象になる場合があります。保証期間が終わっている場合は、修理と交換の両方の見積もりを取って比べましょう。まず設置した会社に連絡してください。
蓄電池だけを交換して、太陽光はそのまま使えますか?
今の蓄電池が単機能型なら、蓄電池だけを替えて太陽光はそのまま使えます。ハイブリッド型は、太陽光と蓄電池を1台のパワコンで動かしているため、交換のときに太陽光側の停止も伴います。新しい蓄電池が今の太陽光とつなげられるか、太陽光の保証が続くかも確かめてください。
蓄電池の交換に補助金は使えますか?
制度によります。宗像市は既存設備の置き換えを、糸島市は蓄電池だけの導入を対象外としています。福岡市やみやま市は入れ替えの扱いが書かれていないため、申請の前に市の窓口で確かめてください。国のDR補助金は2026年分の受付が終了しています。
前に補助金を使った蓄電池を交換しても大丈夫ですか?
決められた期間内の交換・撤去には、事前の承認が要る制度があります。福岡市の令和8年度の制度では、蓄電池の管理期間は8年で、期間内の交換・撤去にはあらかじめ承認申請が要ります。補助金を受けたときの書類で確かめましょう。
まとめ
- 蓄電池の交換費用は、新しい蓄電池+今の蓄電池の撤去・処分+つなぎ方による工事の3つで考える
- 新しい蓄電池は、国の資料で1kWhあたり17〜22万円(補助金を使わない場合)。10kWhなら約170〜220万円。撤去・処分は公的な相場がなく、見積もりで別の行に書いてもらう
- 交換の前に、保証書で設置日・機器保証・容量保証・延長保証・自然災害の補償を確かめる。連絡先は設置した会社が基本
- 故障か、容量が減っただけかで考え方が変わる。保証期間が終わっていれば、修理と交換の見積もりを両方取る
- 今の蓄電池が単機能型かハイブリッド型か、太陽光のパワコンの年数、メーカーの組み合わせで、工事の中身が変わる
- 補助金は、宗像市は置き換えが対象外、糸島市は蓄電池だけが対象外。ほかの制度も、入れ替えで使えるかを申請前に確かめる。前に補助金を使った蓄電池は、交換・撤去の前に承認が要ることがある