オール電化は、お湯をつくる給湯器と、キッチンのコンロを電気にして、家で使うエネルギーを電気にまとめる住まい方です。給湯はエコキュート、コンロはIHクッキングヒーターにするのが一般的です。
「オール電化にするといくらかかるの?」という疑問には、機器の代金と、電気・ガスまわりの工事の費用で答えが決まります。さらに、太陽光発電や蓄電池と同時に入れる場合は、その分の費用が加わります。
この記事では、次の4つを順番にまとめます。
- オール電化にかかる費用の内訳(何にお金がかかるのか)
- 太陽光・蓄電池と同時に入れる場合の費用の考え方
- 月々の光熱費がどう変わるか(九州電力の試算)
- 費用を抑える方法(国の補助金)と、見積もりで確かめること

目次
オール電化にかかる費用の内訳
オール電化の初期費用は、大きく分けると機器の購入費用と工事費用です。四国電力のよくある質問でも、オール電化にする場合の初期費用はこの2つとされ、金額は設置する機器や工事の内容で変わると案内されています。
どんな項目があるかを整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 主な中身 | 費用が変わるポイント |
|---|---|---|
| エコキュート本体 | お湯をつくるヒートポンプと、お湯をためるタンク | タンクの容量、機能(太陽光と連携する機能など) |
| エコキュートの設置工事 | タンクを置く台(据付用の架台・基礎)、配管、電気の配線 | 置き場所の広さ・地面の状態、今の給湯器からの配管の長さ |
| IHクッキングヒーター本体 | ビルトイン型・据え置き型 | 口の数、グリルなどの機能 |
| IHの設置工事 | ガスコンロの取り外し、200Vのコンセントの設置 | 今のコンロのサイズ、分電盤の空き |
| 電気の工事 | 200Vの専用回路、分電盤やアンペアブレーカーの交換 | 今の家の電気の引き込み方・契約の大きさ |
| ガスまわり | ガス配管の撤去と封止(ふさぐこと) | ガスをすべてやめるか、一部残すか |
| 今の機器の撤去 | ガス給湯器・電気温水器などの取り外し | 撤去するものの種類と数 |
エコキュートとIHの費用は、機種(タンクの容量や機能)と、今の家の電気・ガスの状態で大きく変わります。そのため、この記事では「いくら」と一律の金額を示すのではなく、見積もりにどんな項目が入るかを中心に説明します。
IHにするには、200Vの電気が必要
九州電力は、IHクッキングヒーターには単相200Vの電源が必要としています。日立のよくある質問では、IHを設置するための電気工事として、次のことが挙げられています。
- 家への電気の引き込みが「単相3線式」になっているか(「単相2線式」なら電力会社に切り替えの工事を頼む)
- 契約の大きさ(アンペアブレーカー)が50A未満なら、ブレーカーの交換が必要
- 分電盤に200Vの専用回路をつくる空きがなければ、回路を増やすか、分電盤を交換する
- 分電盤からキッチンまで専用の回路を引き、専用のコンセントをつける(アースの工事も必要)
- 設置する場所にガス配管がある場合は、撤去とふさぐ作業をガス事業者に頼む
日立は、これらの工事の費用は設置する環境や施工の方法で変わるため、販売店か電気工事店に相談するよう案内しています。今の家の電気の状態によって、工事の量が変わるということです。
なお、九州電力によると、システムキッチンのビルトイン型のコンロは、IH・ガスを問わず開口部の枠が一般的に統一された規格になっていて、キッチンまるごとではなく、ガスコンロだけをIHに取り替えることもできます。
工事にかかる日数
九州電力は、エコキュートの設置は通常の工事なら1〜2日で完了するとしています(設置場所の状況で日数が変わる場合あり)。IHは、今使っているガスコンロのサイズによって、工事の内容や日数が変わる場合があるとされています。
太陽光・蓄電池と同時に入れる場合の費用
太陽光発電や蓄電池と一緒にオール電化にする場合は、上の費用に、太陽光と蓄電池の費用が加わります。
太陽光・蓄電池の費用の目安(国の資料)
| 設備 | 目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 太陽光(既築の家) | 1kWあたり30.1万円 | 調達価格等算定委員会の資料(2026年1月)。2025年設置の平均 |
| 蓄電池 | 1kWhあたり17〜22万円 | 経済産業省の資料(補助金を使わない場合の設備費15〜20万円+工事費2万円) |
たとえば、太陽光5kWなら約151万円、太陽光5kW+蓄電池7kWhなら約270〜305万円が、国の資料から計算した目安です。資料には、金額が税込か税抜かの明記がありません。また、単価を足しただけの目安なので、機器の組み合わせしだいで下がることがあります。容量の組み合わせ別の金額は、こちらで解説しています。
→ 太陽光発電の設置費用は1kW30.1万円|容量別の目安と維持費

同時に考えると、見直すところが1回でそろう
太陽光・蓄電池とオール電化は、どれも家の分電盤や電気の契約にかかわる設備です。別々の時期に入れるより、同時に考えると、分電盤・電気の契約・機器を置く場所を1回で見直せます。
- 分電盤と契約の大きさ:IHやエコキュートの200V回路と、太陽光・蓄電池の配線を、まとめて確かめられる
- 電気料金のプラン:オール電化向けのプランに変えるかどうかを、太陽光の売電とあわせて考えられる
- 置き場所:エコキュートのタンクと、蓄電池・パワーコンディショナを、家の外のどこに置くかを一緒に決められる
蓄電池やパワーコンディショナの置き場所の考え方は、こちらで解説しています。
→ 蓄電池・パワコンの設置場所の決め方|契約前に確かめたい7つ
太陽光がある家は、昼の電気をお湯にも回せる
太陽光がある家では、昼に余った電気でエコキュートのお湯を沸かすという使い方もあります。売る電気が減る一方で、買う電気を減らせます。どちらが得になるかの考え方や、昼に沸かすための条件は、こちらで解説しています。
→ エコキュートは昼に沸かす?太陽光・蓄電池がある家の考え方
月々の光熱費はどう変わる?(九州電力の試算)
初期費用とあわせて気になるのが、オール電化にしたあとの月々の光熱費です。九州電力は、4人家族のモデルで、電気・ガス併用とオール電化の光熱費を比べた試算を公開しています。
| 電気・ガス併用 | オール電化(電化でナイト・セレクト) | オール電化(おひさま昼トクプラン) | |
|---|---|---|---|
| 月の光熱費 | 23,555円(電気13,163円+ガス10,392円) | 17,098円 | 16,610円 |
| 差 | ― | 月6,457円少ない(年約7.7万円) | 月6,945円少ない(年約8.3万円) |
※九州電力「オール電化向けの料金プラン」より(2026年10月確認)。4人家族のモデルケースで、電気・ガス併用は高効率ガス給湯器(エコジョーズ)とガスコンロ、オール電化はエコキュートとIHクッキングヒーター。おひさま昼トクプランの試算は、昼にお湯を沸かすタイプのエコキュート(おひさまエコキュート)が前提。ガスは西部ガスの料金で計算。光熱費だけの比較で、初期費用と機器の買い替え費用は別に必要とされています
この試算の条件に、太陽光発電は含まれていません。九州電力も、実際の光熱費は今の料金プラン・地域・機器の効率・使い方で変わるとしています。
料金プランの注意点
九州電力のオール電化向けのプランには、次のような注意点が書かれています。
- 電化でナイト・セレクト:夜(21時〜翌7時・22時〜翌8時・23時〜翌9時から選ぶ)と休日の単価が安く、平日の昼の単価が高いプラン。休日や夜に電気を使う時間を移すことが前提です
- おひさま昼トクプラン:エコキュート・蓄電池・電気自動車で、電気を使う時間を昼(10時〜16時)に移せる家が対象。太陽光がある家は、昼に使う電気が増える分、売電の収入が減る場合があるとされています
- どちらのプランも、燃料費調整に上限がないため、燃料の価格が大きく上がったときは、上限があるプラン(従量電灯Bなど)より割高になる場合があります
プランの条件と単価は変わることがあるため、九州電力の案内で今の内容を確かめてから選びましょう。
太陽光でつくった電気を家で使うと、その分、電力会社から買う電気が減ります。国の資料では、自分で使う電気の価値を1kWhあたり27.45円としています(2026年度の調達価格の算定に使う想定値〈大手電力の家庭用電気料金単価の10年平均+消費税〉で、各家庭の実際の単価ではありません)。太陽光の費用を何年で取り戻せるかは、こちらで計算しています。
費用を抑える方法:エコキュートの国の補助金
エコキュートは、国の「給湯省エネ2026事業」(経済産業省)の補助の対象です。
| 補助の種類 | 金額 | 条件 |
|---|---|---|
| 基本額 | 1台あたり7万円 | 性能の要件を満たし、事務局に登録されたエコキュート |
| 性能加算 | 1台あたり3万円 | さらに性能加算の要件を満たす機種 |
| 電気温水器の撤去 | 1台あたり2万円 | エコキュートの設置にあわせて電気温水器を撤去する場合(基本額で補助を受ける台数まで) |
| 電気蓄熱暖房機の撤去 | 1台あたり4万円(2台まで) | 設置にあわせて電気蓄熱暖房機を撤去する場合 |
※給湯省エネ2026事業の公式サイトより(2026年10月確認)。補助の台数の上限は、戸建住宅で2台まで
使うときに知っておきたい点は、次のとおりです。
- 申請するのは事業者:手続きと補助金の受け取りは、登録された「給湯省エネ事業者」が行い、お客様に還元する仕組みです。お客様が直接申請することはできません。依頼する会社が登録事業者かどうかを、見積もりの段階で確かめましょう
- 対象になる期間:2025年11月28日以降に設置工事に着手したもので、予算の上限に達するまで(遅くとも2026年12月31日まで)
- 予算に限りがある:2026年10月29日時点で、申請額(予約を含む概算)は予算の54%とされています。予算の上限に達すると受付は終わります。撤去の加算は別の予算枠で、全体より先に終わることがあります
- 撤去の加算の対象は、電気温水器と電気蓄熱暖房機の撤去:エコキュートの撤去は対象外です
- お客様が自分で買った機器の取り付けだけを頼む工事(施主支給)は対象外
ほかの国の補助金とは、同じ機器で重ねて受けられません。自治体の補助金は、国の費用が入っていないものなら併用できるとされています。太陽光・蓄電池の福岡県内の補助金は、こちらでまとめています。
→ 【2026年度】福岡県の太陽光・蓄電池補助金を市町村別に解説
見積もりで確かめること
オール電化の費用は家ごとに変わるため、見積もりの中身を確かめることが大切です。とくに、太陽光・蓄電池と同時に頼む場合は、項目が多くなります。
| 確かめること | 見るところ |
|---|---|
| 機器ごとの金額が分かれているか | 太陽光・蓄電池・エコキュート・IHが、それぞれ型番つきで書かれているか |
| 電気の工事が入っているか | 200Vの専用回路、分電盤・ブレーカーの交換が必要か、その費用が入っているか |
| ガスまわりの扱い | ガス配管の撤去・ふさぐ作業を誰が行うか、費用が入っているか |
| 撤去と処分 | 今の給湯器・コンロの撤去・処分の費用が入っているか |
| 補助金 | 給湯省エネ2026事業・自治体の補助金を使う前提か、申請は誰が行うか |
| 保証 | 機器の保証と、工事の保証の期間と中身 |
見積もりの比べ方は、蓄電池の記事でくわしく解説しています。項目の見方は、オール電化を含めた見積もりにも使えます。
太陽光・蓄電池とエコキュートをあわせて設置した施工事例
省エネ相談室が施工事例として掲載している133件のうち、エコキュートをあわせて設置した事例は8件です。太陽光や蓄電池と一緒に入れた事例を紹介します。
| 施工事例 | 太陽光 | 蓄電池 | あわせて設置した設備 |
|---|---|---|---|
| 八女市 K様邸 | 8.19kW | ― | エコキュート・IHクッキングヒーター |
| 那珂川市 M様邸 | 4.42kW | ― | エコキュート・IHクッキングヒーター |
| 福岡市 S様邸 | 3.34kW | ― | エコキュート・IHクッキングヒーター |
| 行橋市 Y様邸 | 3.99kW | 7.4kWh | エコキュート・IHクッキングヒーター |
| 太宰府市 T様邸 | 3.57kW | 7.4kWh | エコキュート・IHクッキングヒーター |
| 糸島市 N様邸 | 6.60kW | ― | エコキュート |
| 福津市 Y様邸 | 3.87kW | ― | エコキュート |
| 糸島市 S様邸 | ― | 7.7kWh | エコキュート |
このほかの施工事例は、施工事例の一覧からご覧いただけます。福岡県内の市町ごとの情報は、対応エリアのページにまとめています。
太陽光・蓄電池とオール電化を組み合わせたご相談
省エネ相談室では、太陽光発電・蓄電池やオール電化を組み合わせたご提案をしています。ご家庭の電気の使い方をうかがい、太陽光・蓄電池の無料シミュレーションをしていますので、オール電化を含めて検討したい方も、お気軽にご相談ください。
よくある質問
オール電化にする費用は、何で決まりますか?
エコキュート・IHクッキングヒーターの機器の代金と、工事の費用で決まります。工事は、200Vの専用回路や分電盤の交換が必要か、ガス配管の撤去があるかなど、今の家の電気・ガスの状態で変わります。太陽光・蓄電池と同時に入れる場合は、その費用が加わります(国の資料では、太陽光は既築の家で1kWあたり30.1万円)。
オール電化にすると、光熱費はどれくらい変わりますか?
九州電力の4人家族のモデルの試算では、電気・ガス併用の月23,555円に対し、オール電化(電化でナイト・セレクト)は月17,098円で、年約7.7万円少なくなるとされています。光熱費だけの比較で、初期費用は別です。実際の光熱費は、料金プランや使い方で変わります。
エコキュートの補助金は、自分で申請できますか?
国の給湯省エネ2026事業は、登録された事業者が申請し、補助金をお客様に還元する仕組みで、お客様が直接申請することはできません。依頼する会社が登録事業者かどうかを確かめましょう。
工事は何日かかりますか?
九州電力によると、エコキュートの設置は通常の工事なら1〜2日です。IHは今のガスコンロのサイズで工事の内容・日数が変わる場合があります。太陽光・蓄電池を同時に入れる場合の日数は、工事の内容によって変わります。
まとめ
- 費用の中身:オール電化の初期費用は、エコキュート・IHの機器代と、電気・ガスまわりの工事費。工事の量は、今の家の電気の引き込み方・ブレーカー・分電盤で変わる
- 同時に入れる場合:太陽光(既築1kWあたり30.1万円)・蓄電池(1kWhあたり17〜22万円)の費用が加わる。分電盤・契約・置き場所を1回で見直せる
- 月々の光熱費:九州電力の4人家族の試算で、オール電化は月6,457円少ない(年約7.7万円)。初期費用は別
- 補助金:エコキュートは給湯省エネ2026事業で1台7万円(性能加算で+3万円)。申請は登録事業者が行い、予算の上限で終わる
- 見積もり:機器ごとの金額、電気・ガスの工事、撤去、補助金の申請者、保証を確かめる